「さよならの朝に約束の花をかざろう(アニメ映画)」

総合得点
88.9
感想・評価
651
棚に入れた
3475
ランキング
93
★★★★★ 4.2 (651)
物語
4.2
作画
4.5
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

まるいぬ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

今作の「変わらないもの」は

変わるものと変わらないもの

「あの花」「凪あす」などの岡田麿里作品ではこの二つの対比がとても繊細に描かれてきた
満を持して、この岡田麿里初監督作品である「さよ朝」

時間によって変わっていくものと、それでも変わらないもの。
を描いたという今作品ですが、岡田麿里の良さを出し切ったとは言い難いと私は思う。

母子の愛を描いた作品としてはとても良作だと思う。
シングルマザーの母親に育てられたという岡田麿里ならではの作品だったかもしれない。
リアル寄りの(胸糞悪い)描写は岡田麿里作品の魅力の一つで
今作でもそれがスパイスみたいに生かされていた。

ただ、人生を描くというのが岡田麿里の作品に(劇場版の尺にも)合ってなかったと思う。

「あの花」「花いろ」「とらドラ」では
青春時代にスポットを当てて、その中での「変わるものと変わらないもの」を描いてきた。
「さよ朝」では
人の一生という長い年月を描いていて、これまでの作品と比べてスパンが圧倒的に長い。
「変わるもの」が容姿、環境、立場など数多く、圧倒的であるため
魅力であった細かい心情の変化、成長などの描写が薄れているように感じる。
登場人物の関係性が少しずつ変わっていくのを楽しめた「凪あす」「とらドラ」「ここさけ」とは違った演出だった

{netabare}
エリアル(cv.入野自由)の赤ん坊時代、幼児時代、青年時代、兵士時代、おじいちゃん時代と
気づいたら数年が経っている描写が多かった。

・レイリア(cv.茅野愛衣)が娘を大切に思うようになった
・クリム(cv.梶裕貴)が母親をやっていたマキアに軽蔑の言葉を吐くようになった
・エリアルがマキアではなく、ディタ(cv.日笠陽子)を妻に選んでいる
{/netabare}
このあたりの心情の変化は、すでに「変わり終わったもの」として描写されていて、
そこまでの葛藤や決意は描かれていない。
1クールのアニメ作品であれば、それらも細かく物語に組み込めたかもしれない。
岡田麿里なら、より名作に仕上げられたのではと思わずにはいられないのだ。

もちろん今作はマキアの物語で(題名も当初は『マキア』だったとか)
だから、それらが繊細に描かれていないとしても、問題はない。
容姿が変わらないからこそ、マキア自身の変化や成長は対比で素晴らしく表現されていて、
良作だったと思う。
{netabare}
どれだけの変化があっても、それでも変わらない母の愛。を描きたかったのかなと感じ取れた。
{/netabare}

{netabare}
また、今作は、リタがラング(cv.細谷佳正)の告白をあっさり断ることからもわかる通り、(ラングもそれをひきづらない)
代名詞であった恋愛のドロドロは意図的に封印されていて、新しい岡田麿里も見れた作品だと思う。
{/netabare}

ブルーレイが売れない中で、劇場アニメのほうが収入が見込めるのはわかるが、
しかし、これをどうしても1クールで見たかった。
文句なしの完全な名作にして欲しかった。
岡田麿里監督の次回作に期待


以下どうでもいい雑感想
{netabare}
どんなアニメを名作だと人は言うのかって
結局どれを一番最初に見て感動したか、なんじゃないかと思う。
私は「あの花」を一番最初に見て深夜アニメにはまり、「凪あす」で岡田麿里にはまった。
両方とも5本の指に入る名作だと思ってる。
だが名作であるとされる「true tears」をその数年後に見たが、全く心に響かなかった。
「true tears」を一番はじめにみた古参アニオタにとっては、それが一番に見えるのかもしれない。

「さよ朝」で岡田麿里を知った人は、「さよ朝」を名作と言うんじゃないかな。

結局何が言いたいのかというと
もう目が肥えてしまっていて、
同じような感動に慣れてしまっていて、
だから「あの花」を越える作品にはもう出会えないのかもしれないということ。
思い出補正が強すぎるんじゃないかってこと。

一言で言えば期待しすぎたということなんだろうけど
ただ、それを認めてしまうと、どうなのだろう。

私が気づいてない「さよ朝」の魅力をどうか教えて欲しい
「true tears」の話でもいい。
アニメももう潮時だと思わせないで欲しいのです。
{/netabare}

2回目視聴
{netabare}
映画館で見てからだいたい一年ぶりの視聴
どうやら一年前の私はいくらか冷めていたようで,そこまで高評価にはしてなかったみたいなんだけど...

いや〜 泣けた!

クラナドとか,泣けるアニメてのは「ここで泣け!」ていうポイントがあって,
それが分かると逆に冷めちゃうとかいう人もいると思うんだけど,
素晴らしい作品てのは,理性を飛び越えて泣かしにくるからスゴイ.


凪あすスタッフの新作「色あす」はストーリーにいまいち魅力を感じなかったけど,
やっぱり岡田麿里がいれば何か違っただろうなと思ったり...

果たして次のPA+岡田麿里作品はどんなだろう
恋愛か,青春か,母子か
群像劇か,ファンタジーか...
期待して待ちたい.
{/netabare}

投稿 : 2019/01/09
閲覧 : 180
サンキュー:

20

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