「魔法使いの嫁(TVアニメ動画)」

総合得点
81.0
感想・評価
964
棚に入れた
4344
ランキング
418
★★★★☆ 3.6 (964)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

設定も心情も丹念に分類、描写できていて好感できます。

原作コミックは未読。

序盤、私はまず、組み上げるのに骨が折れる魔法世界の諸設定を、
一つ一つ丁寧に区別、定義していく本作の姿勢に共感しました。

例えば本作においては、
魔法使い……精霊など人外の力を借りて世界の理に干渉し魔法の奇跡を起こす者。
魔術師……科学としての魔術を用いて理に干渉し、魔法に類する力を行使する者。
と明確に分類されています。
さらには後に魔女も魔法使いの中の一種として確立された集団と定義されて登場して来ます。

これが他のファンタジー風作品になると、
時に魔法使いは通称、俗称。魔術師は尊称。魔女は蔑称。
くらいのノリでおざなりにする所……。
この魔法ファンタジーは実に愚直に突き詰めて表現して来ます。

こんなに緻密な世界観を編み上げて来るこのアニメの原作者は
きっと凡人が気にも留めないような心情についても、
通り過ぎずに拾い上げてくれるに違いない。

展開は派手な魔法バトルも控え目で、キャラ心理に焦点を当てた
渋いシナリオの繰り返しが続きます。
が、本作がこれから生と死について、愛憎について、
複雑な心模様をどう色分けして定義付けてくるのだろう?
この関心だけで、私の視聴モチベーションを維持するには十分過ぎました。


全体構成も主人公らの成長した心というゴールから逆算して、
各エピソードごとに心のどの部分を感化させるのか。
“育成”テーマが明確に伝わって来ました。

今回は生きる意味と自由について語って聞かせてみようか。
愛することの一例に触れさせてみようか。
嫉妬についての試練を与えてみようか。

さながらRPGで鍛え上げるキャラのスキルボードを
先見的なビルドプランに基づいて埋めていくような計画性が
本作の心情描写にはあったと思います。

お話は毎回パターン化されていながら
着実な手応えを感じながらの鑑賞。
心で観たし、魅せられた良品でした♪


音楽に5点を付けました。
ダウンロード購入したOP2曲などの主題歌、挿入歌も然る事ながら、
本作は劇伴が素晴らしいと思いました。
BGM一曲一曲はそれほど凄い曲だとは思いませんでしたが、
本作は劇伴もまた実に愚直に、己を滅して、正しく劇に伴っていて好感できます。
但し映像と一体になってこそ本領を発揮する劇伴群だと思ったので、
私はサントラ購入意欲とかは全然沸いてこない訳ですが(苦笑)
この音響の仕事には星5つあげたいです。


唯一合わないと言うより、独特だなwと思ったのは、
唐突に挟まれるギャグ、コミカル描写のタイミング。
あの“夫婦”間にしか分らない?独特のノリがあったと思いますw
{netabare} 一向に目を覚まさない魔法使いの骨頭の大口に、
気だるげだった嫁が突如、目をカッと見開いて、薬を喉奥に突っ込み、
強引に覚醒させた図が妙に忘れられませんw{/netabare}


一度は生きることを放棄した少女と、
人間の心境が分らない、なり損ないの魔法使い。
生きるとは?愛とは?家族とは?一体どういうことなの?
意外と答えに窮する純朴な問い掛けに対し、
丹精込めて構築された作品世界が見事に道を指し示していく。
それに引き換え己の引き出しの少なさと来たら……。
そこから芽生えるある種の嫉妬w
そんな心のザワつきすら心地よい良作魔法ファンタジーでした♪

投稿 : 2018/03/26
閲覧 : 308
サンキュー:

40

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