Dkn さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
大作ゲーム“SAOAGGO”『時雨沢恵一』実況プレイ動画
2014年から刊行された時雨沢恵一のライトノベルが原作。
黒星紅白のキャラデザがやたらと丸っこくて可愛らしい。シリーズ通して観ていて、すでに世界観やこれまでの事件は理解していました。1話は想像した通りのガンゲイル・オンラインの世界。今までの主人公たちでは無くGGOの新キャラがメインであり、知らない子たちが戦略の傾向と対策をしゃべり続ける回。
正直眠たかったです。
GGOの世界観説明の回なので前作からのファンにとっては既視感のあるチュートリアルをもう一回やっている気分だった。
1話は(視聴者への)チュートリアルで、
2話は(主人公への)チュートリアルな印象。
設定は現代で普及しつつあるバーチャルリアリティーで、この先無いわけじゃない想像力の膨らむ近未来の世界。
――ちなみに向こうでは2011年、日本では2014年に発売された小説、『ゲームウォーズ』(READY PLAYER ONE)
この作品の映画化が、スティーブン・スピルバーグにより行われ、4月20日に日本でも全国ロードショーです。
小説発行年(日本)、映像化タイミング、そして“VR”の題材。何の因果か奇妙な運命を感じる組み合わせですね。
こちら(GGO)は小規模にしているぶん、丁寧かつじっくりと体験型オンラインゲームの魅力や問題を経ての
ドラマ展開や、FPS(というか体感型Gunfight)を押し出して描いていって欲しいと願っています。
追記:『大作を担う意義』
ゲームプレイをひたすら観る本作に私が思ったのは『ゲーム実況』です。
他人のゲームプレイを傍から見ることに慣れた若者に対して、焼き直したこの世界に求心力があるのかと疑問を持ち始めた時、SAOとは別の作品だと教えてもらい合点がいきました。SAOのバーチャル空間での隔離デスマッチや、現実の大きな事件につながっていく軸はなくオンラインゲームを題材にした堅実で想像の膨らまない世界。良くも悪くもSAOの魅力は隔絶された世界の中でヒーローになり可愛い彼女も出来て最高の友人たちも見つかるような、あの『無敵感』でした。ただ設定だけを流用した本作がSAOのファンに対してのアピールが効かない難点で、設定を壊せず必要以上にいじくり回せない人の作品だということが可能性に蓋をしてしまった。厨二臭いなんて言われようが少し先の未来を見据え現実世界でファンタジーを確立させたSAOとは別物であったと感じます。
小説では文章力によって巧みな魅せ方が出来ているのかもしれませんが映像化した時にパンチの有る出来事が無く、賛否どころか好きか嫌いかだけで別れるほどで、だったら『ソードアート・オンライン』なんてビッグタイトルを冠に付けず、『キノの旅 ONLINE』とでも付けて体感型ゲームをやっていても良かったじゃないか。ネームバリューを考えなければそう思ってしまいますし、これがゲーム実況であると思う部分です。SAOの過去話をやるわけでもクロスオーバーするわけでも無く、本編との関わりや伏線も無い。別の作者が同じ世界を流用してオンラインゲームの楽しさを発信しているだけの本作は、コンテンツを発信するはずの作家が他人の作ったゲーム世界で自分のメイキングしたキャラクターを作って遊んでいるだけの消費者に近く、YouTubeやニコニコ動画のゲーム実況と変わらない。
良く言えば違った形の楽しみ方を出来る作品だと言えるかもしれません。SAOの派生作品として楽しんではいたものの、観なくても良かったほどで、ガンマニア・軍事マニアである時雨沢恵一にしか出せない魅力を期待していただけに残念であったのが素直な感想でした。