「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
10567
棚に入れた
37370
ランキング
44
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

一般人すらタイトルぐらいは知っている

2018.05.11記

という理由でなんとはなしに観てみた、という作品。


私の年齢もあるのでしょうが、「コードギアス」「シュタゲ」「化物語」とあにこれ上位を占める作品群の多くは一般認知度がけっして高いとはいえません。少なくとも1年前の私は知らない。
評価も高くてなおかつ我々の年代層にも知られているものは、「エヴァ」を代表格としてそれこそ二つか三つ数えるくらいでしょう。
「まどマギ」は自分も含めたそんな素人さんでもタイトルぐらいはどこかで聞いたことがあるだろう作品で、私も“有名だから”という理由でアニメの耐性が無い時にこの作品に出会ったわけです。

結果
 
   引きずり込まれました それもけっこう深く…


何回も繰り返し観て(たぶん10回近く・・・)、オーディオコメンタリーにも手を出し、そこから派生していって魔法少女役のCVさん達が出演している別の作品(聾の形、とらドラetc)、音楽を手掛ける梶浦さんが他で劇伴を担当している作品(空の境界、ソードアートオンラインetc)、等々まどマギをきっかけに自分がアニメーションを観るようになった、という記念碑的タイトルです。
おそらくこの拙レビューを見てるあなたにだってまどマギかどうかは知りませんがアニメにはまるきっかけ的な作品がおありかと思います。


思い入れの深い作品のため、これまでなかなかレビューが書けず、現時点でもまとまりきれてないのですが、他の方のレビューにもあるような、

「これをきっかけにアニメを見るようになった」
「これをきっかけに先入観ぬきでまずは見てみようと思うようになった」

自分にとって特別な作品です。

一方で、他人に薦めてもなかなか視聴するまでには至らぬ見た目で損をしている作品でもあります。私の場合、レンタル屋で借りてきたパッケージをちら見してしまった奥さんのゴミを見るような目つきを未だに忘れられません。


3話まで観ろ!とか制約かけたりせず、1クール全12話と短めですので、四の五の言わず全話観てほしいし、おぎやはぎや東野幸治がはまったとか、DAIGO/北川景子夫妻が揃って鑑賞して大号泣したとかいう入りでも構わないのでなるべく多くの人に触れてほしいなと思っています。


ふわっとどんな人におすすめか?に触れます。
自分の嗜好が、人間の内面を深くえぐるもの、単純な善悪二元論に陥ってないものに向いてるので、そのような嗜好をお持ちの方にはおすすめです。また、ただ単に絶望を見せるだけならしんどいのでその先に垣間見える希望がないとやってけないよ、という部分にも解釈の余地はあるものの焦点があたってますので、陰鬱な気分になっておしまい!ということにはならないはず。


以下項目別評価というか全項満点の理由
 ※まだの人はネタバレ開かないでくださいね
■物語
序盤に伏線を蒔いて後半回収するお手本のような作り。全話観た後1話に戻って二回以上楽しめる。1話とて無駄回がないため少ない話数の割に中身が濃い。
{netabare}魔法少女の仕組みが徐々に露わになっていき、少女達が翻弄されていく描写は痛々しい。皆それぞれの正義を持っていてそれぞれ正しいにもかかわらず、お互いに相反せざるを得なかったり、うまくいかずに泥沼にはまっていく描写はリアル。演出も、1話2話のほんわかした導入から3話のEDでのMagia,美樹さやかを軸に魔法少女の仕組みを説明する流れ、8話ラストのキューベーのカット、からの後半エンジンフル回転で視聴者を釘付けにする展開も見事。{/netabare}

■声優
配役に違和感がないのは大前提。上乗せしてチームワークの良さが出てる(とコメンタリーより)。
{netabare}キュウべぇ役加藤英美里さん適任でした。美樹さやか役キタエリさんの明から暗へと流れる一連の演技は素晴らしかった。マンション入口でまどかに弱音を吐くシーン、電車内でホスト2人に突っかかるシーンその他前半の主役美樹さやかをよく表現されている。杏子役野中藍さんも声質が柔らかいので、悪役っぽい登場シーンからのスタートでも「ほんとはいい子」感がにじみ出る絶妙な配役だったと思う。9話の杏子回にそれが出てる。マミさん役水橋さんも艶っぽかった。マミさんだけでなくワルプルギスの夜とたっくんも水橋さんが声をあててたとか。そしてほむら役千和さん、まどか役悠木碧さんについては10話がすごすぎる(語彙力)。ほむらが銃の引き金を弾くシーンは銃声のSEをカットして千和さんの声に任せたとか。脚本、演出も素晴らしいですが演者がこの2人だったからこそ成立した神回です。これまでのクール&強めな印象から一転して貧弱メガネっ子の弱々しいほむらの芝居をした千和さん。同様に所在無げで弱々しい印象から一転してイケイケまどかを演じた悠木さん。ここに至るまでも弱さと強さの両面の描写があり演者の説得力があったからこそ最終話の展開にも納得できたと感じます。{/netabare}

■キャラ
鹿目まどか、暁美ほむら、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子の5人とキュウべぇ
ですが、QBはともかく5人の役割配分がしっかりしていて、各々掘り下げ回のようなものがあり5人それぞれに感情移入しやすい作り。誰一人モブ化せず濃淡はあれどそれぞれキャラへのファンがついている状態かと。キャラ設定がきちんとなされてる証左です。
{netabare}うめ先生のほんわかキャラデザあってこそ絶望した表情とのギャップが活きてもいました。{/netabare}

■作画
好き嫌いはあるようですが、劇団犬カレーの独創的な魔女空間表現を観るだけでも買いです。

■音楽
OP、ED、劇伴ともに作品を邪魔しないどころか盛り上げに一役買っている。
{netabare}曲入れのタイミングも良い。10話のエンディングでコネクト流れた時は鳥肌が立ったというより滂沱の涙ですよ。{/netabare}


それでもって今、こうしてあにこれで拙いレビューを書いてたりする私なわけです。
今さら数年前の作品のレビューを見ているということはランキングから飛んできた人も相応いるはずでしょう。この作品を含めてランキング上位に上がる作品は好き嫌いはあるんでしょうが、それぞれ納得感は得られますので、どんどん見ちゃってやってください。

充実したアニメライフを!




視聴時期:2017年9月

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2018.08.13追記

クララとアリスのClaliSが聴けるのは、
keikoのいたKalafinaが聴けるのは、
週刊少年ジャ…いやまどかマギカだけってのも年月が経ったことを感じさせますね。

劇中歌を担当した彼女たちの組み合わせは二度と(たぶん)見ることはできません。
きっと、彼女たちではなく、新房監督や虚淵さんの脚本、ここで書いてたらキリがないであろう個々の製作パートの面々、うめ先生のキャラ、梶浦さんの劇伴、劇団犬カレーの空間デザイン、演者としての声優さん達、などなどどの歯車が欠けてもおそらくダメだったんだろうなということなんだと思います。
各自その分野のエキスパートが持てる力を最大限発揮して、その才能が共鳴して化学反応をおこし、そしてあのタイミングでしか成立しえなかった奇跡の物語とみてもいいんじゃないでしょうか。


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2019.09.28追記

初見は2017年秋。その後何回かリピートしてます。そしてこの度『マギアレコード』アニメ化記念での再放送で久々に魔法少女たちに会ってきました。観た人たちいるかしら?


2018.05.11 初稿
2018.08.13 追記
2019.09.28 追記
2020.03.15 タイトル修正
2020.10.21 修正

投稿 : 2020/10/21
閲覧 : 894
サンキュー:

108

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