「機動戦士ガンダム00[ダブルオー](TVアニメ動画)」

総合得点
81.0
感想・評価
1537
棚に入れた
7900
ランキング
418
★★★★☆ 4.0 (1537)
物語
4.0
作画
4.1
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

政治色が濃厚、リアル志向ガンダム

SEEDがガンダム視聴のきっかけとなり、これも当然視聴。

リアタイで視聴して、レビュー書けずに放置してました。
ちょっと再視聴一気観でレビュー書きます。

若かりし頃の感想と、おっさんになった今と
二つの視点でのレビューを書きたいと思います。

【作品概要】
 ガンダムシリーズで初めて「西暦」が謳われます。
 西暦2307年。今から約300年先の世界です。
 石油・石炭などの化石燃料が枯渇した時代。
 超巨大太陽光発電施設が唯一のエネルギー源となった時代。
 そんな時代になっても、人はゼロサムゲーム(誰かが得をすれば
 誰かが必ず損をする)を継続し、戦争は継続していました。

 そんな時代に、オーバーテクノロジーの機動兵器ガンダムを以って
 すべての争いに介入し、戦争の根絶を目的に行動する
 異色の組織「ソレスタル・ビーイング」が突如登場(以下CBとします)。
 
 世界を三分する大国アメリカ、ヨーロッパ、アジアと
 CBの思惑が絡み合い、争いが始まります。

【作品に対する感想】
 戦争は一部の人を除いて「無いほうがいい」と思っていると思います。
 しかし世界に戦争は溢れています。
 宗教・民族・資源・領土…いろいろなものが原因で、
 簡単になくせるものではないものです。

 複雑に絡んだ各陣営の思惑が
 従来のガンダムにない魅力になったと思います。
 そして話の密度がものすごく高いと思います。
 個人的には凄く評価高いです。

 10代後半くらいの人は見ない方がいいかもしれません。
 世界の構造に、希望が持てなくなってしまいそうです(笑

1)物語
 政治色濃ゆいです。
 あと用語もビジネス用語が多用され、ちょっと10代には
 理解がきつい内容かも。
 それだけ「リアル」に寄せるということなのでしょう。
 
 また、物語はたくさんの視点から描かれています。
 戦争根絶を目指す、世界への劇薬「CB」
 太陽光発電システムを持つ大国「UNION」「人革連」「UAE」
 太陽光発電システムへの変革から取り残された「アザディスタン」
 戦争屋「サーシェス」
 報道機関「絹江」
 一般人「沙慈」「ルイス」

 中東という難しい世界と深くかかわった物語をよく描いたなと
 リアタイ当時驚きました。

 
 
 ➀4話 対外折衝
  他のガンダムでここまでいやらしい腹の探り合いを
  描いたことってなかったと思うんですよ。(あったらすいません)
  各国は戦略的にCBを追い詰めます。 
  リアリティあっていい話と思います。
  この辺はある程度年齢いってないと分からない味かもしれません。
  {netabare}
  UNION内のアメリカとタリビアの内紛。
  CBはタリビアを戦争ほう助とみなし攻撃します。

  しかし実はアメリカとタリビア政府は繋がっており、
  アメリカがタリビアの防衛に手を貸すことでタリビア国内の
  反米感情を鎮めることができます。
  あわよくばガンダム鹵獲できるチャンスを得ます。
  タリビア政府も国民の反米感情を収め、UNIONに所属する
  大義名分ができると。
  両者はCBを利用し、いくらかの人的損失を対価に
  政治的に有利な材料を得ることができた…と。
  他国からすると、ソレスタルビーイングの行動パターンを知る
  実験にもなるわけで…。
  CBからすると、内紛である以上、アメリカとタリビアの
  助けになるとわかっていても介入しないといけない。
  出来レースに付き合わされることになったわけですね。
  {/netabare}

 ➁8話 大国の威信  
  いかに高性能な機体を持ったCBでも
  物量と戦術いかんでは出し抜ける。
  これも頭を使ったいい話だったと思います。
  {netabare}
  まさか通信障害を逆手にとって位置特定するとは。
  {/netabare}
  6分間の濃密な戦術の応酬はかなりの見ごたえでした。


2)作画
 ➀全体的に
  今見ても十分に耐えられる綺麗さだと思います。
  特に後半のMS戦闘のスピード感は尋常じゃありません。

 ➁キャラデザ 
  リアタイ視聴時、高河ゆんって異色すぎると思った記憶があります。
  ですが慣れれば大丈夫でした。

 ➂MSデザイン
  MSのデザインもかなり現実寄りで、旧式の機体はとくに
  現代の技術の延長で作られた印象が強いです。
  この辺はリアリティの面でかなり好印象でした。
  (ガンプラにするにあたっては逆風かと思われますが)

  エクシア…宇宙刑事みたいな顔が苦手です
  デュナメス…これはかっちょいいです。
        マントはどうかと思いましたが

3)声優
 なんといっても三木眞一郎(ロックオン・ストラトス)の
 ニヒルな声と演技がたまりません。

 あとは皆さんの絶叫は胸を打つものがありました。

4)音楽
 OP 
 ラルクにブリリアントグリーンがガンダム?驚きました。
 
 ED
 ロックというのもやはりガンダムとしては目新しい。
 

 BGMはかなり好きです。
 特に戦闘シーンのはスピード感が半端ないです。

5)キャラ
 バラバラなマイスターが絆を深めていくのが良かったです。
 ➀刹那・F・セイエイ(16)
  電波な発言が多く、女性の寝室に躊躇なく侵入するなど
  主人公としてはかなり評価低いです。
  ただ電波な少年が、人との触れ合いと喪失の中で
  成長していくのは良かったです。

 ➁ロックオン・ストラトス(29)
  マイスターの中で一番年長者で、いい兄貴分ですね。
  一番バランスの取れた人格で、好感度高いです。
  普段は飄々としてますが、テロに直面すると
  心の奥に沈めているものがもやっと顔を見せます。  

 ➂アレルヤ・ハプティズム(19)
  マイスターの中では比較的おとなしいタイプ。
  割と小市民目線で同調できるので、個人的には好きです。

 ➃ティエリア・アーデ
  正論をズバズバいう、人間関係無視の堅物君ですね。
  中性的な顔立ちですが、言葉のナイフが炸裂しまくりです。
  後半ロックオンたちに影響されて粋なジョークが言えるほど
  変化していき、好感度上昇です。


 ➄セルゲイ・スミルノフ(43)
  ロシアの荒熊。豪傑であるものの、非常に理知的かつ人道的。
  00の世界では理想の上司ではないでしょうか。
  しかし「乙女だ」の発言だけは違和感があり過ぎでした。
  
 ➅パトリック・コーラサワー(28) 
  シリアスな物語の中で、唯一の清涼剤です。
  驚異の生還率を誇る、ある意味エースパイロット。
  しかしなんちゅう名前やねん(^^;
  「ありません!」は作中最も笑いを取った一言でした。
  裏表ない所は良い奴なのかもしれません。
 
 ⑦マリナ・イスマイール(24)
  リアタイ視聴時は刹那に対してちょっとおねーさんヒロイン
  ということで、違和感ありましたが、色恋とかそういう
  意味でのヒロインじゃないんですよね。
  24歳で国を背負う決意ってどんなものか、想像もできません。
  今視聴すると、国を背負うにはあまりに力不足。
  
 ⑧グラハム・エーカー(27)
  UNIONのエースで、言い回しが粋なのかクドイのか
  微妙なラインの御仁。
  ちょっと変態さんが入ってる気がしなくもないですが、
  私は嫌いではないです。

 ⑨沙慈・クロスロード(17)
  世界の上の方で起こってることと無縁な一般人代表。
  だったんですけど…。
  次々突きつけられる状況に、心削られていく様に
  一番共感できるキャラじゃないでしょうか。

 ⑩アリー・アル・サーシェス(36)
  到底理解できないキャラですが、
  少なからずこういう人種も存在するということは
  頭に置いておかないといけないと思います。


 
6)好きなシーン
{netabare}
 ➀ロックオンとフェルト 絆を深める
  アレルヤの「し、失礼」の赤面が可愛すぎます。
  
 ➁アレルヤ、スメラギに一杯ねだる
  子供が大人の階段上ってく感じがいいです。

 ➂カダフ師、マリナを諫める
  望む国のため、道を別った二人。
  24歳の若身でありながら国を背負う決意をしたマリナは
  カダフ師のような心の支柱が必要だったと思います。
  しかしカダフ師は保守派を収めるため、逆の立場を選びます。
  良き指導者なんでしょう。

 ➃ごめんね もうはめられないの
  これは胸打つものがありました。
  あれだけ奔放な娘だったルイスがあんなにしおれた状態で
  沙慈に謝るのは観てられませんでした。

  この作品の評価を大きく上げたシーン。
  関係ないと思ってた一般人が無関係でなくなった瞬間。
  ちっぽけな沙慈の努力がすべて消し飛んだ残酷なシーン。
  状況からすると「助かってまだよかった」なんですけど、
  心に負った傷は両者半端じゃないと思います。

 ➄おまえら こんな世界で満足か
  リアタイ視聴時、落涙を禁じえませんでした。
  ティエリアでさえ信頼し始めていた兄貴が…。

  この作品、死者が出た時の喪失感が凄いです。
  それだけ視聴者の心に残る良キャラが多いんでしょう。

{/netabare} 

7)さすがに無茶ではと思ったシーン
{netabare}
 ➀刹那 マリナと邂逅
  リアタイ視聴時は刹那とヒロインがやっと接点持てたと
  あまり気にしてませんでしたが、
  今視聴すると接点を持つための無理矢理なシーンと感じました。

  刹那の装備も拳銃1丁と対テロリストを想定しての装備と思えませんし、
  サーシェスの前で姿晒して殴られておきながら、
  マリナにコードネームを晒す大失態。

  マリナの方もテロから避難しているところで
  素性もわからない刹那を車に入れるなど、危機感無さすぎます。

 ➁ビリー・カタギリべらべら喋り過ぎ
  こいつは守秘義務の意味を分かっとんか。
  人の口に戸は立てられぬ の分かりやすい一例ですね。
  
 ➂アレルヤの脳量子波対策を立てずにミッション投入
  これはさすがにないわと思いました。
  人革連側に対策が立てられるレベルであれば、
  CB側には十分対応可能だったと思うんですよね。
  ましてアレルヤはずっとプトレマイオスにいて、技術的支援を
  得られるところにいたんですから。

 ➃わざわざ戦場に出てきたアレハンドロ・コーナー
  なんでしゃしゃり出てきたがるんでしょうか。
  アホです。
  餅は餅屋。
  おとなしく裏側で自分の役割に徹してればいいんですよ。
  自己顕示欲が強すぎ、自滅したおバカさんでした。


 ➄CBのシナリオで戦争根絶ができるのか
  確かに圧倒的武力で神の視点から介入すれば
  抑止力として機能しているうちは戦争は減ると思います。
  ただ、CBがいなくなったら元の木阿弥です。

  さらに後半大国に疑似太陽炉が渡り、ガンダムに近いMSを
  作れるようになりました。
  大国がCBを滅ぼすシナリオであれば、CB不在となった後は
  持ってる武器が通常MSからガンダムクラスのMSに代わるだけで
  ゼロサムゲームの継続となると思います。
  

{/netabare}

投稿 : 2020/10/10
閲覧 : 347
サンキュー:

10

機動戦士ガンダム00[ダブルオー]のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
機動戦士ガンダム00[ダブルオー]のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

RFCが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ