「月がきれい(TVアニメ動画)」

総合得点
93.7
感想・評価
1790
棚に入れた
7541
ランキング
8
★★★★☆ 4.0 (1790)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

s__masa__ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

素通りしていましたが、名作です!

鑑賞後の率直な感想
「何だ、このアニメ・・・。最高!」

鑑賞後、少し経ってからの感想
「でも、一つ一つの構成要素は目新しくもなく、むしろ手垢が散見されるのに、何故こんなにも魅力的なんだろう?」

舞台・環境:日常、現実
登場人物:普通の中学生(特殊能力などなく、地味目)
物語:恋愛(純愛)
物語の起伏:展開は穏やかで日常レベル
アニメの動き:派手な展開もなく日常描写がほとんど
キャラデザ:普通(萌え要素:薄目、セックスアピール:薄目、個性:薄目)
挿入歌:90-00年代の邦楽名曲をシチュエーションに合わせてバラード化

構成要素から見ると面白く感じさせる特筆すべき要素がない。

ではなぜ魅力的?
{netabare}
現時点での結論は「監督のDJ的構成能力のなせる業(わざ)だ」という事。
●挿入歌がめちゃくちゃ効果的に使われている(選曲、アレンジ、情景とのマッチング)
 90-00年代の邦楽名曲をカバーしたりして使用することは今まであっても、これほど効果的に使用されたのは見た事がない。
●恋愛ものは多くの視聴者を引き付け続けるのは難しいので、笑いの要素を入れて全体的にラブコメになりがちだが、コメディー要素をCパートに詰め込み、本編は恋愛話に徹している。これにより、本編はシリアス、サブはキャッチーなラブコメと見てて飽きず、サブキャラへの理解や好感がアップしてさらに本編を見入る→物語全体を隈なく楽しんでいる自分に気づく。
 このバランス感覚がまさに絶妙。
●昨今、このような男女問わず見れる日常系王道恋愛アニメは少ない。
 この「タイミング」も絶妙だったように思います。(異世界転生モノは、もう満腹です)
 恋愛アニメは多く存在するが、必ず男性用、女性用がハッキリしている。それに、ラブコメ率も高い。
 →これは原作の掲載雑誌がターゲットを明確にしているため。しかし「月がきれい」はオリジナルアニメ。
 「キャラデザ(目が異常にでかいとか)」も「セックスアピール(巨乳キャラ多数とか、イケメンパラダイスとか)」も「キャラ個性(厨二病とかツンデレとか)」もニュートラルで日常的。なので、鑑賞時の「アニメだから大目に見てやろうフィルター」をあまり機能させずに済んだ。これは本当に大事。
●恋愛ものにありがちな三角関係でのメインの男女の心の揺らぎがなく、お互いをずっと好きという展開で感情移入しやすい。
 (本作中でも語られているが、男はめんどくさがり屋なので、ヒロインキャラが主人公以外の男と揺れ動きだすと感情移入できなくなる。)
●EDでのスマホLINE画面でのカップルのやり取りにも仕掛けがある
●展開は少ないが、日常的な中学生恋愛なんてそんなもの。そんな中学生的展開を丁寧に、初々しさを損ねないように優しい視線で描写している。
{/netabare}
上記の要素が効果的に作用して、魅力を生み出している。
これは完全に監督の采配のセンスのなせる業だと思います。

一つ一つがほどほどな魅力でも、組み合わせで輝きだすことがあるし、
すごく良いものでも、タイミングを誤れば、色褪せて見えることがある。

そんなバランス感覚の成功例だと思います。監督、地味にすごい。

◆余談ですが...
当方はM-1好きで、ブラックマヨネーズが優勝した際、審査員の大竹まことがコメントで
「俺はあんまりオーソドックスなのは好きじゃないんだけど、オーソドックスのすごさにちょっとビックリしたね。
こんなオーソドックスですごい奴がいるんだと思ったら、別に新しいことやらなくても十分面白いんだと思って再認識しましたね。」
と仰られていたのを思い出しました。まさにアニメでの「オーソドックスですごい奴」が「月がきれい」だと思いました。

◆追記◆
Amazon Primeで視聴できるので、もう何周もBGM代わりに本作全体を流していて気付いたのですが、挿入歌を歌っているのは東山奈央。この声優さんは本編で先生役での出演でした。まぁ、主人公に対しての親までは上じゃない大人の役割なのです。この先生が歌ってる、と言うのも上記の「何故か魅力的な」構成要素の一部に思えてきました。少女(ヒロインと同世代)の立場で歌っているのではなく、少女を卒業して「純粋な少女時代」を優しい視線で見守る大人の立場で歌っているような、そんな印象が、より私を魅了させているような気がしました。先生役が歌っている、という主張は一切ないのですが、透明感のある少女の声ではなく、少し落ち着いた優しい声色が、無意識にそんな事を思わせてくれ、主人公たちではなく歌い手(少年少女ではなくなってしまった大人)と気持ちがシンクロしているような感覚になります。
もし、ここまで計算して挿入歌の歌い手や、歌い手の配役まで構成していたなら、監督はすごい才能ですね。(多分、ファンの勝手な思い込みだと思いますが...。でも、OP曲もED曲も挿入歌もすべて東山奈央という不自然さには、作意があるとしか思えませんし、その作意が良い演出になっていると思うので、さらに配役や、配役による曲の聞き手の受ける印象まで考えられているような気もしてくるのです。)

ネット上では、こんな私の事を「信者」と呼ぶのでしょうね。

初めまして、信者です。

投稿 : 2018/05/20
閲覧 : 291
サンキュー:

17

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