タック二階堂 さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

入れ替わって欲望解放して子供返りして感情がダダ漏れて…

詳細は公式でも。

全17話。評判が高いのでNetflixにて視聴しました。

まず前提として、主人公である太一の性格…
要は人のために自分を犠牲にするというところが
好きではありません。
また、メインヒロインの伊織よりも、イナバンの
ほうが圧倒的に好みです。見た目も性格も。
その上で、各ブロックについて感想をば。

【ヒトランダム】
文研部5人が、ランダムに人格が入れ替わるという
現象に遭遇。もし、そうなった場合、おそらく
そういうことになるだろうというのを、かなり
ライトに描いています。
いや、たぶん普通の高校生男子なら、しょっぱなに
太一が伊織と入れ替わった時にするようなこと、
たぶんするよね。詳しくは観てください。
フウセンカズラの最後のやり方には驚かされました。
人が死に瀕するとき、どのような感情を抱くのか、
少しわかるような気がしました。
にしても、太一はナチュラル女たらしだなあ…

【キズランダム】
欲望を持つと頭で声がして、激しく実行してしまう
現象。
単純ですが、しょっぱなのイナバンのエロシーンで
もうやられました（あれはBカップじゃないでしょ）。
まあ、ああいうことをするということは、そういう
欲求があったということで、イナバンの太一への
感情がわかり始める発端です。
唯が人を傷つけてしまう（物理）ことを恐れて、
引きこもってしまうのを、みんなで解決します。
喧嘩したことあるので、あの気持ちはすごくよく
わかります。枕に顔埋めてうわああって。
校外学習あたりからイナバンの可愛さが加速して
いきます。

【カコランダム】
2番目のフウセンカズラによって、太一を除く4人が
ランダムに子供返りする現象。
正直、3話しかないのとテレビ版では、ここで終わる
のでイマイチ弱いけど、大きくふたつの出来事が
あります。青木が過去の彼女に会ってふんぎりを
つけて、唯への気持ちを確かめるのと、伊織の
義理の父親（DV男）と母親との確執に決着をつける
という出来事です。
最後にフウセンカズラが現れ、2番目の不始末を
詫びて、過去に戻ってやり直す権利を伊織に提案
するのですが、そんな過去があったから今の私が
あるという伊織は申し出を断り、エンドです。

ぶっちゃけ、ここで終わってもスッキリと良い
最終回だと思うのですが、蛇足的にOVAが4話分
あるんですね。

【ミチランダム】
ここでもあまり評判のよくない蛇足のような物語。
心の中で思った良くない感情が、ランダムに5人の
誰かにダダ漏れてしまう現象。
それによって伊織は、太一の告白を振ってしまう
わけです。キャラ達も理由がわからないように、
観ているこっちもサッパリわからない…

そして伊織はダークサイドに堕ち、クラスからも
孤立するのですが、それによって嫌がらせを文研部に
向けられることに…

これもう制作側もかなりイナバンに思い入れある
のでは？ すごく魅力的に描かれ、最後はハッピー
エンドになるわけです。まあ、伊織から見れば
ハッピーエンド…なのか？って感じですが。

総じて非常に良くできたストーリーだと思います。
惜しむらくは太一という人物の、嘘くさいまでの
自己犠牲精神。いちばん異常行動だと思ったのは、
「ミチランダム」の伊織がクラスで悪い噂を流され
てると知って、自分が告白の時に強引に迫って、
伊織が人間不信になっているという嘘をついたこと。

そんなこと言う？
まあイナバンにもこってり怒られてましたから、
書いた方も異常だとわかっているのでしょう。
こういう太一の性格にまったく共感できなかった
ので、こちらの感情が揺さぶられるほどの作品
にはならなかったのかなという感じです。

主人公とメインヒロイン以外は、実に人物描写が
巧みで、魅力的に描かれているので、肝心なとこ
が残念だなあという感想になってしまいました。