「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)」

総合得点
69.0
感想・評価
461
棚に入れた
1770
ランキング
1873
★★★★☆ 3.3 (461)
物語
2.9
作画
3.9
声優
2.9
音楽
3.7
キャラ
3.2

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退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

if もしも

原作は『if もしも』というオムニバスドラマの一篇で、のちに再編集した映画版が作られた。
AorBの両パターンを見せるというコンセプトで人生の岐路に関わるようなエピソードが多い中、
打ち上げ花火は丸いか平べったいかなんていう結構どうでも良さそうなテーマから、
子供たちのひと夏の出来事、その一瞬を鮮やかに切り取ってみせた名作だ。
そのアイデアも完成度も当時は強烈なインパクトを残し、岩井俊二の快進撃はここから始まった。
今回のアニメ版に合わせて再見したが、子供たちのキラメキがたった45分に本当に見事に凝縮されていた。
子役たちの上手さにも驚いたし(それにしても懐かしい!)、当時の奥菜恵の無敵の可愛さはいまだに語り草だ。

そんなわけで、アニメ版に散りばめられた「if」と「もしも」はドラマへのオマージュ。
前半部は構成から場面設定、セリフ、小ネタに至るまでかなり原作ママで引用している。
アニメ的演出を志向して後半を膨らませた結果、よりファンタジックに「少年版時かけ」になったのはさもありなん。
ただ、元を知らない今のアニメファンには細田版『時かけ』や『君の名は。』の二番煎じにしか映らないのでは。
「岩井俊二のオサレアイデア使って現代版時かけにしてみた!」っていうワクワク感は、
リアタイ世代のただの自己満足でしかないかもしれない。なにしろ思い出フィルターがかかりまくってる。

あとは年齢設定をひとつ引き上げた効果はほとんどなかったと言っていい。
むしろ少年たちのバカな会話は小6のクソガキだったからリアリティがあったし、
大人びた同級生の少女の存在も、少年との関係性にも、子供だからこその説得力があった。
自分の12歳の頃を想像するか、近所にいる小6を見てみて欲しい。
女子が第二次性徴で急激に大人びていく一方で、声変わりもまだでヤンチャ盛りの男子たち。
「うんこ」を連発するのはそんなクソガキどもであって、イケボじゃないのだ。
宮野真守の完成されたイケボで「うんこ」連発されてもリアリティなさすぎでしょう。
俳優たちも十分器用にこなしていたが、その他豪華声優陣も含めて皆、無邪気な子供っぽさに欠けた。
これについては絵も同様。しかし幼稚でもなく大人でもない中途半端な子供っぽさって描けるだろうか。
いや、だからこその中1設定かもしれないが、それならば会話の内容をもっと精査して変えるなり、
いっそのこと高校生にしちゃって青春の青臭さを前面に出すなり、もっと大胆にアレンジするべきだった。

原作ドラマを再見したらほんとにみんなクソガキで生意気で、でもウブで可愛らしくて、だから良かった。
大人になり始める前の、子供時代が終わっていく夏の、ほんの1ページの出来事だったのだ。

脚本大根仁。原作ドラマへの信奉ぶりが仇となったか、SFには不向きだったか。
後半は話が変わっちゃったみたいに急に複雑になって、色々詰め込みすぎてガチャガチャ。
主題歌は文句なし、きらめきと切ない青さが絶妙に混ざっていてとても良かった。

投稿 : 2019/05/27
閲覧 : 472

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