「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(TVアニメ動画)」

総合得点
89.3
感想・評価
6798
棚に入れた
30623
ランキング
83
★★★★☆ 4.0 (6798)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.3

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ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

平塚先生に救われた日々 ※やや酷評

2018.08.03記

原作未読。

タイトルは知ってて、再放送を地上波でやるとのことで視聴決定。本編12話と番外編1話の計13話です。
ラノベ原作特有の長いタイトルものは敬遠される向きもあり好き嫌いが別れそうで、私も普段だったら手に取らなかったでしょうが、地上波でやるとなると視聴のハードルが下がります。

ちなみに巷で言うところの「俺ガイル」ってこの作品のことだったんですね。観始めてしばらく経ってからその事実を知ったというくらいモグリな私です。

舞台は千葉のとある高校。青春に背を向けてぼっちを決め込んでるというか謳歌している主人公比企谷八幡とWヒロイン雪ノ下雪乃&由比ヶ浜結衣を中心に、その他個性的な面々が織りなす学園ものです。
いろいろ問題が発生し、それを八幡が独特な捻くれた方法で解決していく。解決してもハッピーエンドとはならず、周囲には全く理解されない。あまりないタイプの作品なこともあり、独自のポジションを築き上げています。

そういえば、舞台が千葉なのに人名は神奈川の地名ばかりですね。千葉県民に「ライバルは神奈川県?」と聞くと「恐れ多い」「いや特にライバルはいない」と卑屈でぼっちな反応だったりしてですね、なんとなく親和性があるような気がしたりしなかったり。
※リアル千葉県民の皆さまほんとにごめんなさい


話はよくできており、あにこれの評価も極めて高い本作ですが、1点ひっかかるところがどうしても受け入れられず、私の評価は低めです。
そこらへんは総評のあとに後述しときますので、ご興味あればどうぞご笑覧くださいませ。


《総評》

中心となるキャラ3名の設定はいいです。
周囲と孤立して独自路線を歩む二人(ヒッキーと雪乃)と空気を読みまくる結衣の掛け合いはテンポもよく間が絶妙で心地よい。
ヒッキーと雪乃の設定も同じぼっちでも微妙にベクトルがずれているのもうまいと思います。
{netabare}
八幡 筋は通ってないが説得力はある(13話目での雪乃の評)
雪乃 むちゃくちゃ言ってるが筋は通ってる(1話での八幡の評)
{/netabare}
雪乃は筋の通った正論で対処しようとしますが、「落としどころをつける」発想がないため、だいたいは衝突して終わり。一方八幡は、周囲大多数の人間は受け入れられないが独自のヒネたやり方で事態を前に進める力はある。典型的なダークヒーローの立ち位置です。この場合本人はそうは思っていないかもしれませんが、八幡の抱えてしまう孤独に対し共感を覚えることでしょう。ここがこの作品を観るポイントの気がします。
とはいえ周囲に理解者が一人もいないとなかなかやってられないもので、その点結衣の存在は大きく救いでしたね。

{netabare}キャンプ回は結果的にぼっちの女の子を救うもその子にも理解されない寂しさみたいなのが良く描かれており、それでも共感を得ようとは思ってないぜと諦観している八幡の魅力がよく出てました。{/netabare}

転機は9話で伏線回収とおそらく2期に向けてのネタ振りがなされていました。
{netabare}八幡と結衣を繋いだ事故のエピソードにいくばくかの回答をしつつ、八幡からの雪乃評を転換せざるを得ない仕掛けが終盤の推進力となりました。{/netabare}
そういえば、後の文化祭実行委員長相模南もこの回に出てきてました。

{netabare}そしてなんかしらの伏線であることを示唆するのは雪乃のお姉ちゃん陽乃のセリフでしょう。
「また、雪乃ちゃんは選ばれないんだ」
「昔から変わらないな~おそろいでおさがりで」
「みんな最初はそう言ってくれるんだよ。云々」
これがどう絡むかは2期を観てみないと何とも言えません。{/netabare}

で、終盤に突入します。

その他、OPは爽やかでちょっと切なさを感じる良曲。EDのキャラソンは早見さんがわざとキャラっぽく唄ってるんでしょうか?良い意味で気にかかりました。あと何話か忘れましたが、東山さん単独で唄ったバラードバージョンも良かったですね。

あとタイトル詐欺と言っていいくらいラブコメ要素薄めです。
一番ラブコメしてたのは戸塚くんだったんじゃなかろうか。。。

物語というよりキャラクターたちをどう受け止めるかで評価が分かれるといった印象です。


《酷評?たぶん》

ちなみに八幡むかつく!とかはないです。
「働いたら負け。なぜならふんたらかんたら」とか自分の息子が言ったら発狂しそうですが、そこは平塚先生がしっかり鉄槌を下しているので問題なし。彼なりの正義はそれなりに筋が通っており、自分がどう思われてもの報われない自己犠牲はちょっと可哀そうになるくらいでした。

{netabare}違和感は文化祭での相模南の周囲の取り扱いですね。{/netabare}
{netabare}例によって、八幡は屋上で相模をド詰めすることで平たく言うとやっつけるわけですが、筋が通った論を展開してたと思います。ヒッキー、お前は間違ってないよ、と。そして同じく例によって、周囲がドン引きするというおなじみの流れなんですが、、、ちょっと待て。

ここに至るまで、視聴者が相模はダメだと感じる描写は奉仕部の面々だけでなく周りにもわかるように描かれてました。
例えば、代表印を雪乃に渡してその責任放棄っぷりに委員会の面々が引くとか、膨大な事務処理に追われる最中に遅れてやってきて何もせずに撤収しやっぱり委員会の面々が引くとか。これだけやらかしてると、相模のダメ委員長ぶりが校内少なくても同学年に知れ渡っていたことでしょう。彼女が委員長であることは同じクラスの面々も知っていたでしょうから、クラスに長居する彼女に注意するクラスメイトもいたでしょうし、それに対して「文化祭は委員も楽しまなくっちゃ駄目でしょ。大丈夫ダイジョーブ」と右斜め上のリアクションをする彼女の姿も想像できます。

ここまでで相模に対する周囲からの低評価は定着していたものと思えるのです。

そうなると、文化祭本番までに自浄作用が働いて相模を諫める者が現れるか、ド詰め後に八幡へのフォローがありそうなものですが、それがない。

私にとってはリアリティに欠ける終盤ではありました。
ご都合展開をあまり気にしませんのでこのへんスルーできるかとも思ったのですが、残念ながら弾かれちゃったかたちです。

透けて見えるのは、ぼっちから見た理想の物語。
八幡はまた誰にも理解されない。そうあってもらわないと困る。
そこへの非共感なんだと思われます。
{/netabare}
{netabare}本作では奉仕部以外のその他大勢はたいがい「同調圧力に屈している」「本音を隠して建前だけでやり過ごす」「保身のために掌を返す」「きれいごとばかり」良い描かれ方をされてません。構成上、八幡たちとの対立構造を作ることはわかりやすさの演出としては良い。
それとぼっちの対極としての葉山君の存在でしょうか。彼は問題を解決できません。そこを八幡がなんとかしてしまうことで観る者がカタルシスを得ることにも奏功してます。ダメ押しに、彼の所作ひとつひとつに「お前とは住む世界が違う」と観る者に感じさせる力もあったりなんですが。。。

そこが面白いんじゃん、と言われれば元も子もないのであります。

ただ、こうも思うのです。

「いやえーと、現実のその他大勢はそんなに愚かではないよ」と。
ここですな、きっと。
{/netabare}

{netabare}救いは平塚先生です。

「君たちはひねくれてるから社会に適応できるか心配だよ」のスタンスで、時には問答無用で八幡たちを巻き込みます。
結果として奉仕部に八幡を導き、雪乃と化学反応させた判断は正解だったでしょう。第一話から最終話に至るまでの彼ら彼女らの変化はポジティブなものだったと思います。その環境を作ったのはアラサー平塚静、教師の鑑です。{/netabare}


いわゆるぼっち属性は誰しも持ってる要素ですし、そこを掬い上げて共感させる力は充分にある作品でした。自身の持つぼっち属性とのバランスをとって客観的に楽しめれば良し!私はそこには至りませんでした。

それと、2期を観てないのでなんとも評価しづらい部分もあります。
2期を観て掌返すかもしれませんので、それはそれで後の楽しみに取っておこうかと思います。



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2020.09.17追記

2020年4月~6月再放送。コロナの穴埋めですね。
見立ては変わらず。陰キャの理想郷に見えます。陽キャなめんなよ!と。
なお2期は絶賛してます。人間って不思議なものですね。


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2021.08.01追記 プチ総評

その後『続』『完』でシリーズ無事完結し見届けました。
類似製品が見当たらないのは、こねくり回したセリフ回しでいざエンタメしようとするとバランスとるのが難しいからだと思います。バトルものならいざ知らず、人間相関や感情描写のリアリティを求められるラブコメでやれちゃってるのもペー的にはポイント高いです。



視聴時期:2018年4月~6月 地上波再放送

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2018.08.03 初稿
2019.04.24 修正
2020.09.17 追記
2021.08.01 追記

投稿 : 2021/08/01
閲覧 : 906
サンキュー:

80

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