「ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)」

総合得点
84.7
感想・評価
1067
棚に入れた
4657
ランキング
271
★★★★☆ 3.7 (1067)
物語
3.5
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.7

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

思春期を取り戻せ!

初回、巨大人型兵器「フランクス」に搭乗する
少年少女の異様な操作方法に驚かされますw

四つん這いのピッチリ戦闘スーツの少女の骨盤付近から伸びた操縦桿を、
背後から少年が握って男女の意識をシンクロさせて、
地下から現れた異形の敵「叫竜(きょりゅう)」に立ち向かう。
まるで交尾なんかを想起させる奇抜なスタイルw
因みに僕はイチゴちゃんと一緒に乗りたい……。

……と私も惑わされるのは程ほどにしてw
それ以上に序盤、背筋が寒くなるのは、年頃の男女が、そういう格好で任務に当りながら、
色恋沙汰が始まる気配がなかったこと。
それどころか“コドモ”たちの間からは
生殖活動を最終ゴールにした男女交際という概念や
それに関わる知識を丸ごと切除されたような強烈な違和感があります。
そんな“コドモ”たちの中へゼロツーというイレギュラーが来訪することで、
多くの“オトナ”たちが望まない、思春期という“病”が進行していく中で、
徐々に世界の謎が解き明かされていくのが、本作の視聴牽引法。


さらには、この星の「マグマ燃料」を吸い出す、
まるでハリウッドSF映画のエイリアンみたいな、えげつない都市運営法などと併せて、
本作の黒幕からは相当な性格の悪さが滲み出ていますw

なので、終盤、黒幕の正体が明かされた時、私は
{netabare} 一旦は安心しました。一時、生殖活動も含めた肉体を放棄して、“凪のような快楽”を求めたのは
全て人類の自業自得か?と重たい展開を覚悟したので。
異星人に責任転嫁してエンタメとして終ることに一度はホッとしました。

けれど、一方で、完結後、あくまで人類が業を背負いきる形で、
テーマを完遂して欲しかった。という悔恨も残りました。
青春を生きる人間らしさを主張する“コドモ”たちと、
肉体という器の限界を越える進化の素晴らしさを説く“オトナ”たち。
両者による侃侃諤諤(かんかんがくがく)の激論も含めた最終決戦が観たかったという願望もあります。

この議論もまた陳腐と言えば陳腐ですが、
生命科学や家族の価値観変容が進展する今の時代に改めてやる意義はあったと思うので。

20年程前なら、論戦でも“コドモ”が圧勝。“オトナ”たち頭オカシイでしょwでハッピーエンドでしょうが、
今日だと、“オトナ”たちの口車次第では、
かなり際どい接戦になり、主人公たちが正義を失するリスクがあったとも予想されます。
私も“凪のような快楽”に魅惑され、“オトナ”たちに寝返ったかもしれませんw

けれど、青春か?進化か?というテーマを
土壇場で、ファッション感覚で脱ぎ捨てちゃった感じの最終盤には、
ちょっとハシゴを外された感がありました。

中盤、「フランクス」に搭乗しない回を続けてまで、
主人公たちの思春期の進展を執拗に強調しておいて……。
何より、ED主題歌にて「ピスティル」の少女一同がJKアイドルじみたユニット形成する世界線で、
思春期の反抗と歓喜を散々歌唱してテーマを強調しておいて……。
また主題歌のデキがことごとく良かっただけに……。
最後に舌戦なきまま、テーマが宇宙に消えちゃった脱力感が私には残りました。{/netabare}


余談:私がこの世界の核心に触れて嬉しかった点。

{netabare}即ち、「叫竜(きょりゅう)」が恐竜の子孫ではないか?と言う仮説が見出せたこと。

「叫竜」たちは6000万年前に文明を極めた末に、侵略者に対抗すべく、
生殖や既存の肉体を捨てた守護者や「マグマ燃料」に昇華したという解説。
これを耳にして、私は1980年~90年代、
恐竜ブームの最中に夢想された“恐竜人間”を思い出しました。

白亜紀後期の小型獣脚類には体格に対する脳サイズ比率が人類に匹敵する種がいて、
このまま恐竜が絶滅せずに進化したら“恐竜人間”として高度な文明を築いていたに違いない。
と想像を逞しくするのが当時のトレンドの一つで、
恐竜図鑑なんか買うと“恐竜人間”の想像図がもれなく付いて来て、
彼らを題材にしたSF作品なんかも展開されたりしていました。

かつて恐竜少年だった私にとっては、「叫竜」の先祖は“恐竜人間”以外に思い当たりませんw
多分に私の妄想含みですが、何気に、本作で一番、時めいた瞬間でした。

恐竜は6500万年前に絶滅したのではない!
進化し、物質文明すらも超越した彼らは、
常識的な生命の枠から逸脱し、この星を守護する一部となったのだ!

……ロマンチストを気取りたい時に吹かしてみようと思いますw{/netabare}

投稿 : 2018/07/31
閲覧 : 612
サンキュー:

48

ダーリン・イン・ザ・フランキスのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
ダーリン・イン・ザ・フランキスのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

101匹足利尊氏が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ