「ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)」

総合得点
75.8
感想・評価
260
棚に入れた
1207
ランキング
750
★★★★☆ 3.8 (260)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

僕を動かす好奇心

【概要】
2018年8月17日公開。夏休みに起こる魔訶不思議な体験の数々を少年の視線で色彩豊かに描くジュブナイル・ファンタジー「ペンギンハイウェイ」。森見登美彦の原作小説(未読)をスタジオコロリドがアニメ映画化。本編119分。

小学4年生のアオヤマ君は毎日学んだ事をノートに記録している勉強熱心な男の子。夏のある日、海から離れた郊外の街に突然ペンギンが現れる。好奇心を刺激されたなアオヤマ君は友達のウチダ君、そして仲良くしている歯科医院に勤めるお姉さんと協力して不思議な現象の研究を開始する。調査を進めるうちに新しい謎が増えていく。現れては消えるペンギン、ミステリアスなお姉さん、森の奥の草原に浮かんだ透明の大きな球体……果たしてアオヤマ君は世界の謎を解明できるのか?。

 
【感想】
夏休みの自由研究をファンタジーに仕立てたような内容です。結論から言うと観に行って良かったと思います。色々と感心することの多い作品でした。

まずキャスティングが良い。北香耶さんの声は、おませなアオヤマ君のキャラとぴったり合っていました。お姉さんを演じる蒼井優の声はちょっとオバサンっぽくて賛否ありそうですが、大人と子供の対比が重要な作品ですし、気さくさと色っぽさを両方含む彼女の声は良いと思いますね。

作画は良好。夏らしい爽やかな色彩。ペンギンが画面を駆け回るクライマックスシーンは疾走感に溢れています。演出が冴えカノの亀井さんということでお姉さんのおっぱいをどう映すのか期待と不安でいっぱいでしたが、どこかでブレーキがかかったのか、やや抑え気味でしたね。(まぁ小学生目線の物語がオヤジくさくなっては台無しなので、これで正解だと思いますが!)

キャラクターの描写も良かったですね。子供の持つプリミティブな感情をうまく引き出せている。理知的なアオヤマ君のキャラは人によっては苦手かもしれません。でも彼の直向きさは心地よく、観ていて応援したくなるものです。一番僕がお気に入りなのはクラスメイトの才女、ハマモトさん。彼女もまた研究肌のキャラですが、時折感情的になるところ、特に胸の大きなお姉さんに敵意をむき出しにする所が何とも可愛らしい。子供たちを温かく見守りながらサポートをする大人たちも温かみがあって好感を持てました。

そして何より僕がこのアニメで一番評価したいのは、「未知なるものへの探求心」と「大人になりたい」という思いを描けていることです。ストーリーにワクワク感があって、アオヤマ君の気持ちを観ている側がきちんと共有できる。深夜アニメ、特にライトノベル原作の作品を見てみれば、悲しいかな画面に映るのは「自分の世界を守りたい」「大人になんてなりたくない」といった願望が投影されたキャラばかりです。ネットで検索すれば大抵のことはすぐに答えが見つかってしまう環境と、子供が将来に夢や希望を持ちにくい時代。これらを映像作品で表現するのは簡単そうで案外難しい事なのかもしれません。

{netabare}
実は最後まで観ても、怪現象の数々は完全に解き明かされることはありません。アオヤマ君のお父さんが言う「エウレカ」には至らない。それゆえに多かれ少なかれ釈然としないものを感じるかと思います。でも謎に挑んだアオヤマ君はまだ小学生。簡単に謎が解けないからこそ、挑戦心を煽られるのです。より多くを学んで成長し、行く先には偉大なる発見をしてやろうと目を輝かせる彼には目標に向かう道が見えている。それがアオヤマ君の「ペンギン・ハイウェイ」なのでしょう。
{/netabare}

近い将来AI技術の発展により、単純作業化できる仕事はロボットやコンピューターに代替されると予測されています。子供にとって思考力や創造力を磨くことはますます重要になるでしょう。勉学のエッセンスが各所に散りばめられた本作は子供たちにも見て欲しい内容ですね。夏休みの映画としてお勧めできます。

投稿 : 2018/08/19
閲覧 : 348
サンキュー:

30

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