「ソードアート・オンライン アリシゼーション(TVアニメ動画)」

総合得点
85.8
感想・評価
1006
棚に入れた
5199
ランキング
215
★★★★☆ 3.8 (1006)
物語
3.6
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アリシゼーション前半戦 人間の定義を問いかける

原作読破。
劇場版でカセドラルが出てきた時点で映像化されるのは確定と思ってました。
当然視聴開始。


【作品概要】
 キリトが今回飛び込んだ世界アンダーワールド。
 従来のヴァーチャルMMOと違い、研究開発のために作られた仮想世界。
 とある事情によりそこから出られなくなり、脱出を図ります。
 一方外の世界でもアスナ達が消えたキリトを探します。
 SAO集大成ともいうべき、かなり大規模なスケールの物語。
 

【作品に対する感想】
 視聴前4クールと聞いたときは、原作読破組の私としては、
 原作がかなり増長な作品だったので、程よく圧縮してテンポアップして
 3クールくらいにしてほしかったかなと思ってました。
 ところが実際視聴してみるといろいろカットしているにもかかわらず、
 「あ、あそこの説明が欲しかったな」とか思うことが多く、
 前半2クールでも足りないくらいと感じました。。
 
 OPやバトルシーンでの映像の美しさは流石です。
 復習がてら1期を見ると、どれだけ進化しているかわかります。

1)物語
 原作執筆後に作られたSAO OSの内容が上手く盛り込まれていて、
 これはナイスアレンジと思いました。

 人間を細分化していくと、一体何を以て人間というのか
 そんな問いかけを感じます。
 形が人間?ロボットでいいですね。
 心・思考が人間?魂そのものを作ってしまうSTL。
 これは人間と呼べるんでしょうか?


2)作画
 バトルシーンのカロリーの高さは素人目にもすごいと思います。
 同時期に放送されてた禁書目録Ⅲが可哀想なくらいでした。

 ただバトルだけじゃないんですよね。
 アドミニさんの邪悪な微笑みとか、キャラの表情も良かったと思います。
 特にユージオ陥落のところ。
 
 ちょっと要望
 ①「痛み」があまり伝わってこなかった
  今までの「ゲーム」と違ってペインアブソーバーなんてない状態なので、
  ちょっと切られただけでも目茶苦茶痛いはずなんですよね。
  そこをちゃんと表現してほしかったなと思います。

 ②心意の特別さがあまり伝わってこなかった
  ユージオがあっさり心意の腕を使ったところ
  キリトが黒の剣士の衣装に変わったところ
  も少し異常性を表に出してほしかったかなと。
  もっと興奮できたように思えます。 

3)声優
 「ユージオ」島崎信長
  ユージオ役はひと昔前で言うなら石田彰みたいなのを
  想像してました。島崎さんの声もぴったりでした。

 「アリス」茅野愛衣
  黄金の女性騎士=川澄綾子という印象が刷り込まれているうえ
  茅野さんが高めのかわいい声という印象相まって、
  「抑え込んだ声で演じてるな」という感想です。
  整合騎士故無機質感を前面に出しているのでしょうか。
  物語後半からその辺を徐々に変えていくのかなと期待しています。
  
 「アドミニストレータ」坂本真綾
  安っぽいラスボスにならず、貫禄ある演技だったと思います。

 「チュデルキン」高木渉
  ひと昔前であれば千葉繁で間違いなしといったところでしょうか?
  高木さん、ウザい下衆の演技すごかったです。
  前半のBestキャストと思ってます。
 
4)音楽

 OP キリトとユージオのシンクロした剣舞が印象的。
   20話位からのアドミニさんとのバトルはかっこいいんだけど
   ポロリがないかハラハラしました。
   全裸で真面目に剣で戦うアニメはある種珍しいかと。

5)キャラ
 
 ①アスナ
  ここのところキリトのサポートという立ち位置になりがちだった
  (マザロザでもキリトの支えになりたいと言ってますし)
  彼女ですが、キリトがいなくなって自分が動かないといけない
  状況になり、閃光だった頃の彼女が垣間見えます。
  無印の最初の頃キリトが言ったように、アスナはみんなを導けるタイプの
  人材と思うので、やっぱり先頭に立って動く彼女を見るのは凄くしっくりきますね。

 ②ユイ
  原作を読んでるうちは気にならなかったのですが、
  アニメになるとその能力があまりにも凄過ぎて
  もはや一個人の手元に置いておけるレベルじゃない気がします。
  その気になれば原発でメルトダウンを誘発できるレベルじゃないかと

 ③セルカ
  原作のほうはもうチョイ幼いデザインだった記憶なんですが、
  私はアニメの方が好きですね。

 ④ソルティリーナ
  原作の挿絵ではもう少しクールなイメージだったのですが、
  アニメでは私服姿を含め少し柔らかい印象になりました。
  私はアニメの方が好きですね。 

 ⑤ティーゼ
  キャラデザで原作のころから好きでしたが、
  ユージオへの逆プロポーズ(?)の描写でさらに株上昇。

 ⑥ロニエ
  原作では露骨に炉担当的なキャラデザで、いまいち好きではなかったんですが、
  キリトの側付きゆえか、キリトの影響を強く受けている印象でした。
  あと些細な話ですが、ティーゼより大きいことに驚きました。なにが? 

 ⑦ユージオ
  なぜかヒロイン枠扱いされる。
  キリトにとって初めて同世代の親友という設定だったと思いますが、
  それが仮想世界というのはどうなんとは思いました。
  まあ、AIというより魂そのものなので、人間と差があるのかは
  議論の余地がありそうですが。

 ⑧キリト
  ここでも天然タラシ炸裂(笑。
  女性から寄ってくるから仕方ないんでしょうけど。




6)印象的なシーン
{netabare}
 ①魂のコピーの崩壊
  原作の文字情報だけではそこまでおぞましいシーンではなかったのですが、
  アニメになって一変。十分雰囲気は伝わりました。

 ②VSゴブリン
  最初の山、ゴブリンとの戦いは凄い作画で、圧巻でした。
  いままでのSAOは仮想世界ということで、腕を落とされても
  ポリゴンが爆散するだけで、痛みもありませんでしたが、
  今回はだくだく流血するし、リアルな痛みを伴います。
  痛みは恐怖を与え、竦みます。
  アインクラッドでは「痛くないけど、本当に死ぬ」恐怖。
  アンダーワールドでは「本当の激痛があるうえ、もしかしたら死ぬかも知れない」恐怖。

  個人的には「今までと違う」ことを強調するために、
  もっと痛みや恐怖の描写があってもよかったかなと思います。

 ③アスナVS菊岡
  菊岡の考え「10万の人工知能の命は、1人の自衛官の命より軽い」。
  私は今時点ではこの考えに賛成です。
  ただし、人間をどのラインで人間と呼ぶかで変わってきそうです。
  人間と同じ思考が出来る魂があったとして、人との違いは?
  複製できる、出来ないの問題?
  生殖出来る出来ないの問題?
  体があるかないかの問題?
  感情・心は何を以て本物と言えるのか?
  難しい問題ですね。

 ④ティーゼ&ロニエ凌辱
  二つ目の山、ティーゼとロニエの凌辱+ユージオ右目の封印打破

  私はWeb版もラノベ版も読んだことがあるのですが、どこまでやるのかは気になってました。
  と言いますのがSAOがエロ目的で男性視聴者しかいないような作品ならいざ知らず、
  ここは1期のアスナ凌辱に匹敵するかなり胸糞悪いシーンのため、
  女性視聴者が一気に脱落しかねないからです。

  視聴して思ったのは、かなりがっつり映像にしたなと思いました。
  ラノベでは暴行の過程があまり詳しく文字に落としこまれていなかったのを
  アニメではかなり具体的に絵にしていたのでラノベを読んだ時より
  不快感は跳ね上がりました。
  声優さんも結構きつかったのではと思います。
  逃げずにきついシーンを描き切った製作陣に拍手です。
  ルパンダイブは「え?」と思いましたが。

 ⑤アドミニストレータ ユージオシンセサイズ
  蠱惑的な声、瞳、唇、肢体…作画・キャストが一丸となって
  完成したユージオ陥落のシーン。静かなシーンですが、力の入りようは
  よく伝わりました。
  ラノベよりも情報量が少ないため、色香で簡単に陥落したように
  見えるところはちょっとユージオがかわいそうでした。
 
 ⑥VSアドミニストレータ
  蜘蛛さん…
  カーディナルさん…
  ユージオ…
  ものすごい覚悟の上、勝利のためにその身を差し出す。
  激しく動き回る剣劇に加え、キャストさん渾身の演技。
  もうおなかいっぱいです。


{/netabare}

7)余談
 ①SAO女性キャラの扱いが酷い
{netabare}
 改めてみるとSAOはヒロインが高確率で性的に酷い目にあいますね。
 アスナ…リアルでは病室で須郷にくんかくんかされた揚句
     アバターの方は胸まではだけられ、ねぶり回される。
 リーファ…今のところ被害なしですが、アリシゼーション最後のあたりで
      DILに大分やられそうな予感。
 シノン…リアルで新川に押し倒され、脱がされそうになった挙句
     体をなでまわされる。
 ユウキ…無事でした。
 シリカ・リズ・アリス…今のところ無事
 ロニエ・ティーゼ…縛られた揚句、下着姿で散々まさぐられ
          純潔を奪われる寸前まで辱められる。
 これらのシーンを見て気分良くなる人は男女問わずいないと思うんですが、
 明確な敵・ゲスを作るための舞台装置と思えなくもないです。

 {/netabare}

 ②何を以って人とするのかの問いかけ
{netabare}
  いくつかのケースを考えてみます。
  a)ものすごくいい人が交通事故で植物状態となり、
   魂をフラクトライトにコピーして生き続けることが出来るようになりました。
   さてそのフラクトライトを消去することは殺人と言えますか?
  b)逆にものすごく有害な人間が金にものを言わせ、
   フラクトライトを使って魂を残したいと希望しました。
   許せますか?
  c)とある自衛官1名が犠牲になれば日本が救われる作戦があったとします。
   その自衛官には家族がいます。生まれたばかりの娘がいます。
   代替案としてユージオ達人工フラクトタイトが100人犠牲になったら
   クリアできる作戦があったとします。
   どちらを選択しますか?
  c)ここまでSAOを視聴してきた人が、ユイをデリート
   しなければならなくなったとして罪悪感を感じずに出来ますか?
   AIにすぎないと割り切れますか?
  d)とあるのミサカ妹
   実験の為生み出された18万円/人の模造品。
   思考も出来、心もあり、人の形をしたもの。
   これらは人間じゃないものですか?
  e)まどマギの魔法少女
   魂を抜かれた彼女たちは人間ではないですか?
  f)攻殻機動隊のタチコマ
   思考戦車ですが、自己犠牲まで獲得した彼らは
   単なるプログラムと思えますか?
  どれも簡単に答えは出ないと思います。
 {/netabare}

 ③トロッコ問題
  最近ニュースになっている問題ですね。
  全員が助かる選択がもちろん最優なんですが、
  必ずしも常にそれがあるとも限りません。
  さらに限られた時間の中で決めねばなりません。
{netabare}
  アドミニストレータは最終負荷実験の対抗策として
  人界の人の半分をソードゴーレムとして兵器に転用し、
  半分を生かすという判断をしていました。

  やり方としては非道ですが、全滅するのとどっちがいいですか?

  キリト達はそのやり方を非道と断じ、アドミニを屠る選択をしました。
  この時点で具体的な他の対抗策はありません。
  キリト達の選択は感情に流された失策ではありませんか?

  難しい問題です。
  私はアドミニさんは彼女の出来る選択の最良を採っただけと
  解釈しています。
  もちろんそれ以外の方法を整合騎士と模索しなかった点は
  失策だと思いますが。
 {/netabare}

投稿 : 2019/10/14
閲覧 : 250
サンキュー:

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