「僕だけがいない街(TVアニメ動画)」

総合得点
91.6
感想・評価
3355
棚に入れた
15475
ランキング
29
★★★★☆ 4.0 (3355)
物語
4.2
作画
4.0
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

悟が帰り着く場所

2016年冬アニメ。全12話。
放送終了した頃一度視聴し、最近になって原作を読んでから再視聴、その後小説を読みました。
実写映画と実写ドラマは未視聴です。

作画は毎回綺麗でした。キャラデザもシンプルだからこそ表情が豊かでわかりやすく見やすい。
キャラクターも、皆気持ちや行動が理解できて良かったです。
配役も好きです。八代役の宮本充さん、加代の母役の岡村明美さん、悟の母役の高山みなみさんが本当に素晴らしかった。
主人公は俳優の満島真之介さんと土屋太鳳さん。最初は初々しさを感じることの方が多かったけど、演技に慣れて段々とナチュラルになっていって良かったです。もう少し長く聞きたかったなあ…

アニメのラスト、ちょっと忙しいけどとても好きなんですよ。原作ラストも勿論好き。アニメと原作で描きたいことは同じだと思うんですが、それがポジティブな描写かそうではない描写か。原作漫画終了後に書かれた小説版『僕だけがいない街 Another Record』がまた良くて、新しい視点がある。
どのメディアであっても改変を否定しないでいてくれた原作者のお陰だと思います。


{netabare}
アニメ版は悟が帰り着く場所が愛梨の元であることが、もう少し納得しやすい描写になっていたら非の打ちどころが無かったと思います。愛梨の登場シーンが結構少ないので伝わりにくいかも。
でもアニメ制作中はまだ原作が連載中だったからね。原作だと最終盤でさらに愛梨との距離が縮むけど、アニメ終盤は八代の描写に尺を割くべきだと判断したのは妥当ですしね。勿体ないけど仕方ないね。


「僕だけがいない街」という言葉が、悟が素晴らしい未来を迎えるためのものであったことがとても良かったです。

加代が目覚めるかわからない悟の身を案じ続けるということは、過去に囚われ続けるということです。それは悟にとってはかえって辛いと思うんですよね。
自分が居なくても加代が幸せであることで、悟は本当の意味で報われる。アニメではここら辺がちょっとわかりにくいのかな…。
原作だと、周りのキャラクターが度々「悟の加代への気持ちは恋愛感情じゃないんだな」と言うんですけれども。
小学校高学年だと加代から悟への反応は当然だと思うし、最初は私も悟と加代がくっつくと思いましたよ。問題は悟だよ!「しっかりしろ29歳」←本当ですよ!w


悟の帰り着く場所が愛梨の元である理由はもう一つあります。
この18年という大規模なリバイバルにおいて、悟の勝利条件は何なのかということ。
それは「29歳の「現在」で母親が殺されないこと」です。

悟は過去で連続殺人犯と母の接点を断たなければならない。異常なまでに聡い母に犯人を疑わせないためには、加代をはじめとした同級生達を母の目の届く所で殺させてはいけない。
確かに子どもの目線で加代を異性として見る時もあるのですが、何よりも母親を助けるためであり、加代やユウキさんを助けられなかった後悔を繰り返さないためでもある。
つまり悟が加代を助けるのは究極的には「自分自身のため」なのですね。

悟は自分の目的を果たすために「違和感」に徹底して踏み込む必要がありました。一歩踏み込むことの大切さ、信じる気持ちの大切さを最初に悟に気付かせたのは、29歳の時に出会った愛梨です。いかに短い邂逅であっても、愛梨の精神に触れたことが悟の行動をより積極的にしていった。
アニメ版ラストの愛梨に出会ったシーンで、すべてが元の場所に収まったと感じられました。とても好きなラストシーンです。{/netabare}

(2019.12.4)

投稿 : 2019/12/04
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サンキュー:

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