「ゴブリンスレイヤー(TVアニメ動画)」

総合得点
85.6
感想・評価
1035
棚に入れた
4971
ランキング
229
★★★★☆ 3.7 (1035)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

世界を救わない、価値ある冒険

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
それが全てではありませんが、かなりのエログロを含みます。1話を観られるか。観て楽しめるか否か。それですべてが決まる作品かと思います。

最近は、異世界転生モノやローファンタジーの作品が多いですが、こういうハイファンタジーでちゃんと面白い作品は久しぶりですね♪

一番近いのは「灰と幻想のグリムガル」かな? でも、それよりずっとえげつないです。まあ、「黒と現実のゴブリンスレイヤー」といったところでしょうか(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ある意味で、ゴブリンが人間になるまでのストーリー。

本作の魅力としては、まずコンセプトの面白さ。対ゴブリン戦に特化した戦士。このようなシュチュレーションを限定する方法は、例えば、「ちおちゃんの通学路」のようにギャグアニメならばよく見かけるけど、ファンタジーとしてここまで徹底した作品は珍しいと思う。

次に、敵役のゴブリンを大切にした点。ゴブリンを侮りもしなければ恐れすぎもせず、ゴブリンの醜悪さや強さ、弱さ、習性をとことんまで等身大に描いたのは見事(細かいとこれだと、知性ランクによって、各ゴブリンの、食事・戦闘・強姦などの優先順位もちゃんと決めていて、それ通り動かしているところとか)。

この2つの作用により、「視聴者をこの世界の住人にする」という効果が生まれた。ハイファンタジーというのは、世界を丸ごと創造するわけだけど、その中で、「この世界の常識において、ゴブリンとはこうなんだ」という共通理解があるから、ゴブリンスレイヤー達の戦術にも納得がいく。すると、「ご都合主義感」が薄れる。なんか今だったら、私らでもゴブリンと戦えそうな気になるほどw詳しく描いてる。結局ファンタジーなんて、どんな強い敵を出しても、作者の一筆で倒せるわけだからね。ある意味で、原作者が自分の自由を限定している。これができる作家は力があると思う。

もう1つ、特筆すべき点は、ゴブリンスレイヤーが、自分の行為(ゴブリン殺し、復讐)を変に正当化せず、「楽しんでいる」と明言(2話)している点。そして自らを「奴等にとってのゴブリン」としている点。

彼(ゴブリンスレイヤー)は、正義を語らない。ただ、その行為のみで、結果的に人を助けていく。ある意味で、ガンダム(富野さん)にも通じる哲学を感じた。

そんな彼が、最後に「助けてくれ」と頭を下げた。そして、仲間を信頼して戦い、勝った。最後には兜を脱いで素顔をさらし、「冒険者になりたい」と言った。きっと、彼はこの瞬間、「人間」に戻ったのだ。

では、何が彼を人間に戻したのだろうか。これまでの戦いとの違いは、「殺す(攻める)」か「守る」か。また、「故郷の人間(親しい人)を助ける」か。

彼が、ゴブリンになってしまったのは、自らの村が襲われ、姉が殺されたこと。守れなかった、見殺しにしてしまったこと。そのトラウマを彼は、ゴブリンを殺すことで解消してきたが、おそらく、殺すことでは、人間にはなれなかった。

事実、彼は最後はゴブリンを殺すことにはこだわっていない。効率よく「守る」ために、一番たくさんのゴブリンを殺せるところは他人に任せた、ゴブリンロードにしても、実際に倒す部分は神官ちゃんに任せている。殺したゴブリンを数えてもいない。そして、姉さんの言い残した「女の子を守る」という約束も果たし、彼は救われたのだろう。

この過程を丁寧に描くことで、「ゴブリンから人間に戻る」ことを印象づけることに成功している。

他にも、魔法の使用回数や強さのバランスの良さや活用方法、ゴブリンの血を巡るギャグや日常系のなかのクスリとした笑い、絶妙なラブコメの波動、処女同衾の奇跡リザレクションというケシカラン魔法w など、見処はたくさんある。

ただ、2点ほど違和感を感じたのは、6話目で水攻め&火攻め&毒攻め禁止と、ゴブリンを殺す手段を選んだことと、11話で幼馴染ちゃんが逃げない選択をしたこと。ちょっと、それぞれのキャラからいって、その選択はしないだろ、展開重視でとってつけたなと。

あと最後に、スッゴいどうでも良いことを2つ。

①ゴブリンスレイヤーさん、ちょっと「働く細胞」の「白血球さん」とキャラ被ってない(笑)?

②スクロールくれた魔術師のお姉さんのしゃべり方、ちょっと「ピスタチオさん(芸人)」入ってない(笑)?

以上、長いだけのグダグダレビューを閉じますm(._.)m 2期、楽しみです!
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
ゴブリンの性質を丁寧に描き、対ゴブリン戦をしつこく見せたことで、視聴者がゴブリンに詳しくなった。その結果、ゴブリンスレイヤーの戦術に説得力が生まれた点が上手い。

また、ゴブリンを殺すことを正義としていない点が潔く、最終的に、ゴブリンを殺すのではなく、幼馴染を守ることを達成できたゴブリンスレイヤーが、(ゴブリンにとってのゴブリンから)人間に戻ることができたのは感動的なストーリーだった。

あと、魔術師のお姉さんの喋り方がピスタチオさんみたいだった(笑)
{/netabare}

【余談~ エロ・グロの基準 ~】
{netabare}
色んなところで、「私はエログロが苦手」と書いてます。他にも、「ロリ」「百合」「ゾンビ」なども苦手です。

ちなみに、上記は全て、「苦手」「嫌い」ではありますが、「悪い」「ダメだ」とは思いません。趣味なんて、周りに迷惑さえかけなければ、基本的に自由だと思うので。

さて、本作は結構なレベルで「エログロ」でしたが、そこまでの不快感はなく観ることができました。なぜかと考えた時、私は以下のような「エログロ」は大丈夫なようです。

①作品の「主題のために必要不可欠(効果的)なもの」
例えば、「東京喰種」の{netabare}カネキ君の拷問{/netabare}のシーン。あれなんかもかなりグロい内容でしたが、「喰種以上に残忍な人間」「喰種を人間と思わない人間」「それでも人間を諦めきれない喰種」という、この作品で伝えたいことを魅せるためには、必要だったと思います。

②「戦場」でのグロ
例えば、私の大好きな「ロードス島戦記」でも、人は死にます。しかし、それは「戦場」であり、「兵士」の死。人を殺しにいっているのだから、殺されても文句は言えない。覚悟の上での死。(近い感覚として、例えば快楽殺人者が警察に銃殺されても、別に不快には思いません)。

本作は②にあたると思います。「戦場」ではないものの、人間にとってもゴブリンにとっても、譲れない「生存競争」。人間はゴブリンから身を守るため、ゴブリンにしても、「食料」「生殖」が目的ですから、種の保存のために否定はできない。

私が嫌いなのは、「罪もない覚悟もない人が殺されること」「虐殺」です。なんか、「見世物」「パフォーマンス」として「死」を扱っている作品には、不快感を覚えます。

ただ、ゴブリンスレイヤーが洞窟まで行ってゴブリンを殺しているのは、「虐殺」ではないか感じる部分もありますが、「専守防衛」的でもあるし、微妙なラインですね。ゴブリンスレイヤーに「トラウマ」「復讐」という動機があったにせよ、本人が「楽しい」と名言しているわけですし。

この辺、そのエログロを「悪趣味」と感じるかは、実際のところ、明確なラインがあるわけではなく、感覚的な部分もあります。そういう(感覚的な)点でも、私は大きな不快感を感じずに観ることができました。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆5
かなり残酷なエログロ。しかし、それが「戦い」であるなら、私は視聴できます。特にファンタジー世界、相手がモンスターなら。「虐殺」や「犯罪」は無理なんだけどね。残酷ではあるが、残虐ではない。いたって正論だし、なかなか惹き付ける。

2話目 ☆5
ちゃんと戦術的に戦うし、自分を「楽しんでいる」「相手にとっての怪物」と認めた上で、強い動機のもとに戦っているんだな。守護魔法を砦攻めに使うのも良いね。幼馴染と分かって泊めている展開は意外。

3話目 ☆4
なんかあの魔術師のしゃべり方、ピスタチオ(芸人)さんを思い出した(笑) 酒でからむハイエルフ、定番だけど可愛いな(笑)

4話目 ☆4
慣れますよ、の顔(笑) なかなか本格的なダンジョン捜索。高水圧カッター。魔法の在り方がバランス良いな。

5話目 ☆3
剣ひとつで大変だな。ゴブリンスレイヤー、モテモテだな(笑) 日常系やるなら、もっと日常系でも良かったかな。

6話目 ☆3
水攻め、火攻め、毒攻め禁止って、手段を選ぶゴブリンスレイヤーに違和感。

7話目 ☆4
なぜハイエルフが平家物語? てっきり誰か助けにくるかと思ったら、自力でとは。にしても、ゴブリンの思考がちゃんと設定されてるな。その時選ぶことの優先順位というか。

8話目 ☆3
処女同衾の奇跡リザレクション、なんじゃそのケシカラン魔法は(笑) ゴブリンスレイヤー、やはりイケメンだったか(笑) ラブコメの波動が(笑) これは、粉塵爆発だな(笑)

9話目 ☆4
ちゃんと戦術的に戦うのが良いよね。ゴブリンだけトラウマなんだな。フッたな~。イケメンだな~。夢の中でも、、、心を救ったわけだね。

10話目 ☆3
ラ、ラブコメの波動が(笑) 育成も大事、平和な時代ならでは。最近、二日酔いにびびっている自分がいるな(笑) 幼馴染、良いよな~。眩しい日常。戻るべき日々。

特別編
いきなり、サービスシーン(笑) 総集編をぶちこむなら、ちゃんと1ヶ所くらいは見処作らないとね♪

11話目 ☆5
まあ、ギルドからしても、所属の銀等級を守るメリットはあるわな。ゴブリンスレイヤーに仲間が集まる過程は胸熱で、集団戦は戦術的で見処があった。捜索と遊撃という一番リスキーな部分をゴブリンスレイヤー自らやるのも良いな。文句なし。ただ、あの幼馴染ちゃんの評価だけは下がったな。逃げろや。

12話目 ☆4
プロテクションで挟むか。正妻の余裕(笑) ゴブリンから、人間になったストーリー。綺麗に閉めたな。この2話ってアニオリ? 原作通りなら、めっちゃ良いところでしめたな。なるほどね、サイコロか。2期決定? 良いね。
{/netabare}

投稿 : 2019/01/11
閲覧 : 369
サンキュー:

47

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