STONE さんの感想・評価

2.4
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態：観終わった

「ごめんなさい」だけでは、ちょっとあれなんで

　原作は未読。
　結論から書いてしまうと、最後まで乗れないまま終わってしまった。
　これで、こういった系統の話が嫌いとか、キャラが嫌いとかなら、
「ごめんなさい。私には合いませんでした」で終わるんだけど、別にこの手の
作品は嫌いじゃないんだよなあ。
　一応、何故乗れなかったのか、書いてみます。

　まず世界観と言うか、設定がよく判りませんでした。
　作品自体に謎があって、それが徐々に解明されていくようなものなら、
判らない状態というのはむしろ歓迎すべきものだが、キャラには周知のものが
視聴者である自分には判らない。ひどく置いてきぼり感を感じてしまった。
　特に主人公である鉄 大兎の態度だが、基本的には普通の高校生であった
わけだから、スタンスとしてはむしろ視聴者に近いはず。それなのにこの異常
とも言うべき状況に関して戸惑いなく順応している。大兎に説明する形で、
状況を視聴者に判らせるいい機会だと思うのに勿体ない。
　これがファンタジーやSFなどで出てくる、いかにも異世界といった舞台
なら、「そういうものだ」という納得感も多少あるのだが、現代日本の高校が
主舞台で、いきなり軍だの、教会だのと言われてもちょっと・・・。
　ごく当たり前に生徒会長が剣を持って、魔法を使われると困ってしまいます。
やっぱり何らかの説明が欲しい。

　この状況がよく判らない状態で、序盤から目まぐるしい展開。
　いわゆるノンストップアクションみたいな展開は場合によっては好きだったり
するが、それはあるイベントが原因で、次のイベントが発生するような場合。
　前半の多発するイベントは、マクロ的視点で見ればサイトヒメアの封印が
解けたことによる共通性はあるのだが、個々の連続性は弱いために単発感が
強い。
　とにかく中盤までは緩急の緩がないため、反芻する余裕がないんだよねえ。
黒守が登場するくだりでようやく落ち着いた印象。このキャラ、いわゆるイヤな
やつの設定なんだろうけど、ストーリーが落ち着いたという意味で、個人的には
凄く好感度を持ってしまった(笑)。

　大兎の行動の根源はサイトヒメアへの愛があるのだが、もう一人のヒロイン
である時雨 遥という存在がどうも引っ掛かってしまった。
　確かに可愛い女の子が増えることによって作品に華が増すし、多角関係に
なることで恋愛ドラマとしての面白さは増すが、大兎がサイトヒメアと遙の間で
板挟みになっているような状況は、サイトヒメアへの純愛度が弱くなり、大兎の
熱い行動も空回り感を感じてしまう。

　ここまで作品に乗れないと、自分がお馬鹿なのでは？と思って、他の方々の
レビューを読んでみましたが、割と高評価なのは原作既読の方々。
　前述の弱点として捉えた部分も、原作ではちゃんとしており、原作で補完する
ことにより、楽しめる作品になるのか？。
　仮にそうだとすると、これは原作既読を前提とする、原作ファンのための
アニメ作品？。