「転生したらスライムだった件(TVアニメ動画)」

総合得点
87.6
感想・評価
1364
棚に入れた
6329
ランキング
142
★★★★☆ 3.6 (1364)
物語
3.5
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

転生したら超チートスタートの謎生物だった件

【概要】

アニメーション制作:エイトビット
2018年10月 - 2019年3月に放映された全25話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説を改訂し、
マイクロマガジン社のGCノベルズから刊行されている伏瀬によるライトノベル。
原作イラストは、みっつばーが担当。
『月刊少年シリウス』にて、漫画家・川上泰樹によるコミカライズ版が連載中。
監督は、菊地康仁。

【あらすじ】

37歳のゼネコン勤務会社員である三上悟(みかみ さとる)は、
社内のマドンナを射止めた後輩から彼女を紹介されて結婚の相談の打診を受け、
三人で食事の席に赴く路上で後輩を狙った通り魔に遭遇し、包丁が刺さって死亡。

死の間際に、どこからか頭の中に声が届き、ユニークスキル「大賢者」「捕食者」などを獲得。

異世界の洞窟にて小さなスライムに転生した彼は暴風竜ヴェルドラと出会いリムルの名を貰い、
リムルは自分とヴェルドラにテンペストの姓を与えて対等の友人となる。
過去に勇者に封印され消滅を待つのみだったヴェルドラではあるが、
リムルの提案でスキル「捕食者」で封印ごとスライムの体内(異空間)に収容。
かなり時間がかかるが「大賢者」の能力で封印の解析と解除をすることに。

リムルは、モンスターを倒し捕食して様々なスキルを手に入れながら洞窟から脱出。
外に出たリムルは、手始めにゴブリンの集落に請われて牙狼族との争いを解決し、
ともに暮らしていける街づくりを始める。時には戦い時には世界を見聞して、
リムルは次々と出逢った亜人や魔物たちの信頼と尊敬を集めていく。
街の発展とともに、その規模は増していくばかりであった。

【感想】

なろう版は全話流し見状態。書籍版はノータッチ。
コミックはシリウスで連載してる本編のみ把握している状態。

おおまかにいうと超強力な固有スキルを持った強すぎるスライムに転生した元サラリーマンが、
異世界で国を作ったり冒険したり戦争したりする話。

コミカライズは売れているのですが、アニメの批評を読むと決して評価は高くはないですね。

なろうものの定番の主人公無双ものにしては、主人公の性格は悪くないはずが、
その主人公にモヤモヤしてる人が多いですね。
それは多分声の問題もあって、全方位に上から目線でイキリの印象があるのでしょうかね。

スライム要素がマスコット的な見た目だけで、
冗談みたいな脳内会話で手に入れた超高性能万能コンピューターみたいな大賢者。
SaGaみたいな瞬時にスキルゲットの超学習能力(スロット制限なし)と無限倉庫(なろう定番)と、
炎無効(あれ?スライムってSaGaシリーズでは炎が弱点でしたよね?)
んで、最強のドラゴンを取り込んで魔素を燃料代わりにしている。

職人が作った武器を簡単に量産コピーしたり、リムルの代わりに考えてくれる「大賢者」が優秀すぎて、
うん、初期チートが充実しすぎるうえに強力なスキルを代償なしに次々獲得していく主人公。
成果や結果がすべてで過程や努力のハードルが極端に低く簡略化されまくった、
我々現実の人間の世界では通用しない、
この作品世界で主人公に適用される異世界ルールの超御都合主義。

それは挫折することを前提にしていない超ヌルゲー状態。
イベントモンスター以外は全部一撃死で、バランスが崩壊してるRPGみたいですね。
本当は主人公リムルは一期時点では全く世界最強では無いのに絶対負ける気がしない、
強敵が出てきても手持ちのスキルと籠絡で全部解決ですし、
基本的にドキドキハラハラなピンチらしいピンチがない。

主人公への安心感があるから良いとの意見も聞くのですが、
バトル要素を抱えた作品では、解決の手順にいたるまでのありがたみの薄さ、
そして緊迫感の薄さが致命的に思いました。

一応は国造りの側面があるストーリーなのですが、
次々とモンスターがリムルに心服して『流石はリムル様!』の繰り返しでワンパターン。

遺恨など民族感情の対立とか利害関係の難しさとかリアルでは複雑なのですが、
細かい事抜きにして皆仲良くの綺麗事がリムルの国では常識になってしまう、
あまりにも聞き分けの良すぎる点。『喧嘩しても一緒に酒を酌み交わせばみんな友達』
本宮ひろ志ワールド共通の世界観は、選挙権を持つ年齢に達している人からみれば、
嘘っぽく見えてしまうと思いました。人間よりもモンスターのほうが根っこが単純という前提でしょうが。

本当は二期相当のエピソードも知っていて詳細は言いませんが、
リムル陣営に被害があっても強化イベントの前ふりでしか無く、
強い魔物がガンガン集まってくるしリムル陣営がパワーアップしまくりで根本的に無双系。
リムルと仲間たちに愛着を持てるか否かで、かなり印象が変わりますかと。

となるとキャラにアイドル的な価値を感じるか?
漫画版だとリムルやらイケメン・美少女やら、かなり魅力的な作画でファンを取り込んでる感じ、
アニメ版も作画は整っていて十分問題ないクオリティですが、流石に漫画版ほどの絵の魅力はないかと。
媒体違いで制作コストが段違いですので、比較すべきではないですけどね。

本当の問題は絵じゃなくて、ストーリー構成かな?
後半になるほどカットされたエピソードが多く、
登場人物の色々なキャラの人柄を示す描写、様々な出会いや交わりなど削られているのですね。

削られたと言えば、ミリムに専用武器を作ってプレゼントする話。約束するシーンがあっても、
アニメではプレゼントするエピソードがまるごと削除とか構成が雑ですよね。

そのくせに視聴者サービスのつもりなのか露骨に入浴シーン増やすとか安直な媚びが宜しくないですね。
あと、アニメの中で「月刊少年シリウス」を出現させての宣伝が多すぎてウザい。
と、力の入れどころが間違っていませんか?

一方で漫画版だと構成が比較的丁寧なうえに、リムルの女装とか、
人間が人助けをするとか、リムルが人間相手に政治的な駆け引きで一本とられるとか、
アニメ版で無かった楽しめる要素が多め。やっぱり漫画版のほうが出来が良いですね。
人の魅力は安易な媚びよりも描写の積み重ねにあるのに、そこを放棄したらマイナスですよね。

漫画版を原作にしていると言いつつアニメでは尺の都合で数々の細かい話を削られたと思いきや、
二期で登場予定のディアブロを早く出したいという要望が原作サイドからあったとはいえ、
原作にないディアブロの新規書き下ろし過去エピソードを本編後に1話使って放送したり、
総集編の「ヴェルドラ日記」を最期にやったりで構成の印象が悪い。

ディアブロの話は楽しめたものの、終始リムルを褒め称えるだけの「ヴェルドラ日記」が酷い。
主人公リムルへの感想は視聴者が持てばいいだけで、作中で持ち上げすぎるとかえって安っぽくなる。
ただでさえチート主人公ものには拒否感を示す層が根強いのに煽るような内容で、
ヴェルドラとイフリートのつまらないコントと褒め殺しみたいなノリのリムル賛美で、
漫画版には比較的好意を持ってる自分でも、
最期にきついものを見せられたなあ…と一期を観る上で締まらない終わり方!
としか、言いようがありませんね。

なろうもの共通の問題点は一旦棚上げするにしても、ストーリー構成の雑さが見過ごせないレベル。
見たいものが見られず、見たくないものを見せられたという点で不満が残るアニメ化内容であり、
二期に不安を持ってしまうのが正直なところでした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2019/12/28
閲覧 : 702
サンキュー:

83

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