かがみ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
終わりある日常を祝葬するということ
野球チーム「リトルバスターズ」には何かの大会に出て勝ち進むとかそういう目標はない。彼らは野球をするのは、いつか終わりあるこの日常を精一杯楽しみ祝葬する為である。
そういう意味で本作はいわゆる「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」「リンダリンダリンダ」などで確立した「矢口フォーマット」を美少女ゲームに応用した作品であり、いわゆる「ポスト決断主義」の系譜に位置付けられるように思われる。
東浩紀氏が「動物化するポストモダン」で述べるように「大きな物語」が失墜した現代において、人は誰もがデータベースから「小さな物語」を読み込んで生きていくしかない。そこで鍵となってくるのは異なる「小さな物語」を生きる他者同士の緩やかなつながりである。本作の後景にはそういった成熟した時代の想像力が見て取れる。