「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(TVアニメ動画)」

総合得点
94.7
感想・評価
1804
棚に入れた
7649
ランキング
3
★★★★☆ 4.0 (1804)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

kurosuke40 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

よくわからないけど、時は進んでいく

原作未読。電気羊も。

独特の心地良い読後感に包まれた作品でした。
これが現実を相対化するというものなのでしょうか。

心が変われば世界は異なって見えると言いますが、青ブタは心が壊れる前に先に世界が壊れます。
思春期症候群というのは、心が壊れる寸前の一種のガイガーカウンターなのかもしれません。

空気的な存在の桜島先輩は空気になり、
古賀は世界を未来視し、納得できる世界を選択する。
心の葛藤が存在の分裂になる双葉に、
姉のようになりたいという思いが、姉の姿になってしまう豊浜、
そして、心の傷が肉体の傷になる梓川兄弟。

心が世界に語り掛け、世界が答える。
作中では、取って付けたかような量子力学で現象を解釈していますが、
心が世界に投射された、の一言の方がなんとなくしっくり来る気がします。

EDの「読めないカルテ」とは世界と私の関係の隠喩で、
私の存在自体が(世界の)症状であり、症状そのものがまた私である、ということでしょうね。
文脈は違うけど「現実の上に己の像を刻み込みたいという荒々しい情念が人間を特徴づけている」という言葉が青ブタにはぴったりな気がします。
またEDはひとりひとり歌い上げるのが良い。

基本的には世界の改変は明らかにフィクションな現象なのですが、
その分、最後のかえでの話は魅せられました。

過去のトラウマから逃れるため、花楓は眠り、かえでが誕生する。
(作中では解離性健忘症(記憶喪失)と述べられるけど、実情は二重人格の発症と主人格の冬眠でしょう)
耐えられず精神的に病む母。かえでを見ようとしない父。かえでの消失にメランコリーに陥る兄。
再発する胸の傷と唐突かつ適切なタイミングで現れる翔子さん。胸の傷に触れない桜島先輩。

どこまでが現実的で、どこまでが青春症候群なのか、わからなくなってくる。
私はどこまでが普通のことと思っていたのだろうか。特に母と父。
母と父の症状は青春症候群なのだろうか、そうじゃないのだろうか。
私が現実的だと思っていた根拠と微レ存での説明の間にいかほどの差があるのか。
こう羅列されただけで、わかんなくなってくる。

そして、安易にかえでが戻ってくるハッピーエンドにはせず、物語的な印象も与えてくれない。
ただただ彼女の誕生日だから奔走する咲田があるだけ。
不可思議の中で、考えるより先に私たちは現実の問題に立ち向かっていかなくてはいけないと言われているみたいです。
そんな感覚の終わり方は嫌いではなかったです。


蛇足

個人的に咲田は心の動きに敏いので好印象でした。
彼がああ言えばこう言うのは、真っすぐ見られたくないというのもあるのでしょうね。
不愉快を煽る余計な言葉使いですが、自分から注意をそらす防御に見えます。

童貞シャウト、という命名は笑った。

神や妖怪の代わりに、微レ存という言葉が置かれてるなーという印象。
ただ彼・彼女らの心の問題が主題であって、物語の妖精的法則に深く突っ込むのはナンセンスでしょう。
(SFとしては論外なんでしょうけど)

惜しむべきは個別EDが特典になってしまったことですね。。

終わり方が悪くなかったので、映画行くか微妙だな。
私の中でこのままの感覚で終わりでもいいかもしれない。
翔子さんのトリックはなんとなく想像がついちゃってるし。
シュレーディンガーの猫のままに。

投稿 : 2019/03/12
閲覧 : 196
サンキュー:

12

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