「桜蘭高校ホスト部(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
1757
棚に入れた
9174
ランキング
264
★★★★☆ 3.9 (1757)
物語
4.0
作画
3.8
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
4.2

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

茶番劇。

【概要】

アニメーション制作:ボンズ
2006年4月 - 9月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は、『LaLa』に連載されていた少女漫画作品。原作者は葉鳥ビスコ。
監督は五十嵐卓哉。

【あらすじ】

政治家や大企業の子女である超お坊ちゃま&超お嬢様が通う宮殿のようなスーパー金持ち学校・桜蘭高校。
そこに入学し、学年首席の学力で特待生となり授業料免除されている主人公・藤岡ハルヒ。
学園では庶民は珍獣の如く珍しく、静かに勉強できる場所を探しているうちに入り込んだ第三音楽室。
しかし、第三音楽室はスクールカーストの頂点であるホスト部の部室であり、
ハルヒはそこで学内でも極めてモテモテ連中であるある部員たちに目をつけられてしまった。
金も権力もあり暇を持て余しているイケメンを自負する部員連中に絡まれたハルヒは、
飾られていた数百万円もする壺をアクシデントで割ってしまう。
その壺を弁償するために働くことになったハルヒは、むさ苦しいメガネくんと思いきや、
メガネを外し身なりを整えるとホスト部連中に劣らぬ逸材であり、
お嬢様だらけの女生徒相手の売上で返済したほうが早いと7人目のホストとして入部することになる。
そして、ハルヒは実は女の子であることが判明するのだった。

【感想】

原作の少女漫画もアニメもヒットし実写ドラマ化された作品であり、
男装の少女ホスト1人と6人のIKEMENホスト軍団の、おもしろおかしいコメディで人気を得たようである。

楽しく!明るく!賑やかな作風を心がけて映像化されていて、見始めたときは面白そう!
と最初は思ったのだが、視聴を続けているうちに話のノリに飽きてきたかな。

ぶっちゃけた話、この作品はハルヒとホスト部のキャラの魅力で引っ張っていくスタイルに見える。
だがしかし、このアニメ。ホスト部のIKEMENキャラに付与されているのは見た目・キャラ属性・特技であって、
魅力を付加するためのメンタル面の描写がかなり弱いように見える。

スーパー金持ちとか格闘技が強いとか腹黒策士系キャラとかそんなの紙に書いた設定と変わらない。
単に性格悪くて自己憐憫な甘ったれた双子お坊ちゃまを小悪魔系という言葉で誤魔化してもいる。

要するにホスト部員はモブ女生徒や視聴者への見世物に過ぎず、感情移入や共感の対象では無いのである。

そんなホスト部員が大人たちを踏み台にしたり噛ませ犬にする展開があるのだが、
時速200キロで走れる。ダンプカーを素手で持ち上げられる。な設定と違いが無く有り難みが無い。
こんなものは、なろう主人公の神チート俺TUEEEEEEで異世界無双と同じ発想である。
個人的にはイケメンキャラは好きなのだが見た目だけでなく行動や考え方に拠るものも大きく、
ホスト部では上っ面なモテモテと作者から与えられた能力ばかりで、性格イケメンが一人も存在しないのが痛い。

そんなホスト部を両の眼をハートマークにしてキャーキャー言うモブ女生徒はマヌケそのものでしか無い。
ホスト部のイケメン設定で心のこもってない台詞でカッコつけて女キャラを口説くだけで、
ホスト部に通うモブ女生徒連中はIKEMEN設定の見た目と口の巧さとキャラ付けに夢中になってるだけで、
仮にも、お客様ごっこで彼らに話を合わせて付き合ってあげているのでなく本気でホスト部の虜なのであれば、
作者は、モブお嬢様方をバカミーハーでチョロい存在としてしか扱っていないように思えるのは穿ち過ぎだろうか?

更には他の男キャラなんてホスト部を引き立てるための雑魚・空気・イロモノであるか、
情けない舞台装置でしか無いのが基本であるし、ホスト部至上主義過ぎて、虚構世界としても歪である。

大人の扱いも雑でホスト部の好感度上げの養分であるか、金持ちホスト部に傅く存在でしか無い。
もっとも想定された読者・視聴者が未成年の少女?だから、
作品世界そのものがホスト部の踏み台でしかなくても特は問題は無かったのだろうが。

キャラの内面を掘り下げるエピソードがあると思えば、ホスト部の悩みなんて殆どがバカバカしい類である。
三男だから家が継げないのがどうの、カワイイのが好きなのに自分の本当の心を押し殺した過去だの、
自分の努力や資質と無関係に恵まれた立場で生まれ育ったくせに、どうでもいいことで問題扱いしている。
フィクションとはいえ、悩みというのもおこがましい軽さである。

そっくりな双子ホストキャラが自分たちをどっちがどっちか見分けてもらえないために、
周りを見下しまくる捻くれたBOYになってしまった過去とか本当にくだらない。
コイツラの心を須王環が変えた、オアシス環に救われたという話にせよ、もっと深刻な悩みは無かったの?と思ってしまう。
自分が好きな少女漫画、もしくは女性作家によるアニメはキャラ同士の恋愛や友情の描写の細やかさが心に響くのではあるが、
それらと比較すると、桜蘭高校ホスト部は心の機微にリアリティが皆無でキャラの描き方が雑であるようにしか見えない。

そもそも少女漫画を牽引するのはヒロインと相方のカップリングであるが、
この作品に関してはギャグ最優先で恋愛部分の描写が少なく、
主人公である藤岡ハルヒも感情の起伏が小さく心情を読み取りにくい。
ハルヒに関してはクーデレキャラなのだろうが、
男女間にドキドキする展開に非常に薄かったという点で、ちと評価するのに厳しい作品かな?思った。

「恋愛まんがってアレ ようするに恋愛で 殴り合ってるのでは?」

と言ったのは、『柚子森さん』の作者・江島絵理ではあるが、
ホスト部は他の少女漫画と比較すると恋愛ガチバトルとまでは行かない。
カレカノもシナリオにある程度問題あるのかもしれないが、ホスト部と比較すると宮沢雪野と有馬総一郎のエモさが尊い。

読者(視聴者)的にハルヒになった気分で、IKEMENたちに振り回されるホスト部活動の温さに癒やしや安らぎを感じる。
ホスト部最高!部員たち最高!とキャラの人格に疑問を持たずに萌えられれば幸せかもしれないが、
そもそもがメガネ策士やショタボーイや朴念仁や陰険双子は属性と特質と特技で武装してはいるが人格に萌え要素が無い。
彼らに人間的な魅力を感じられずにハイハイ!良かったですね!止まりの自分には観ていて多少厳しかったかな。
チャラチャラ巫山戯てるだけならまだマシで、シリアスぶっても1ミリも心に響かないのである。

例外的にハルヒとのカップリングが作者から約束されているキング須王環だけは、いい人描写が徹底されているが、
過去エピソードなど見ると好感度上げイベントのための、将来のホスト部員の捻くれが作為的でアクセサリー感覚。
ピアノが上手いという設定もキャラの付加価値にしようとしているのがミエミエで観ててなんとも思わなかった。
特技も欠点も小道具感がアリアリ。

主人公が性別を隠した男装設定であるために女性同士の友情描写ゼロ。大人はイロモノか空気かホスト部の噛ませ犬。
原作漫画と比較してもホスト部員と親族の関係描写が希薄。人と人の繋がりとか友情面の描写に薄く、
ハルヒとホスト部員を肯定させるための作為が鼻についた内容だったのが残念と言わざるを得ない。
原作も終盤にならないと家族と向き合った話に進展しなく、アニメではオリジナル展開で終わるのであるが、
アニメではホスト部の親族すら家族として向き合ってホスト部が人間的に成長するための対象ですらない。
アニメではホスト部にとって、いけ好かない存在でしかなかったり、
親たちですら結局はホスト部である息子たちを持ち上げる物語のコマでしか無く、
ドラマの描き方として観ていて本気でどうでもいい、つまらない終盤展開にしか見えなかった。
原作のほうが、その一点ではそれなりに納得できてマトモだっただけに非常に残念に思った。

ギャグが感性に合う人であれば単純にギャグものとして愉しめば良いし、
恋愛ストーリーを楽しみたければ、こんなもの観ずに重厚に恋愛を扱った他のアニメに切り替えたほうが良い。
ニーズに全く合わない作品である。自分から言えることは以上である。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2019/08/08
閲覧 : 694
サンキュー:

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