「新世紀エヴァンゲリオン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.6
感想・評価
6249
棚に入れた
25232
ランキング
52
★★★★★ 4.1 (6249)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.2

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

今なお衝撃的な平成の怪物アニメ

本作放送の数年後辺り。世に『エヴァ』っぽい作品が氾濫した頃でしょうか。
私には『エヴァ』が嫌いな時期がありました。

『エヴァ』以来、主人公少年も司令官も根暗になり、陰鬱なストーリー展開が増えた。
『エヴァ』以来、巨大ロボットがやたら鋭角になり、ドロドロした生命体と結合したり、浸食されたりするようになった。
『エヴァ』以来、顔バレ&ネタバレしたくない黒幕たちが、声だけで円を囲んで悪巧みとかするようになった。
『エヴァ』以来、放送後も考察ネタで注目してもらうため、結末を投げっぱなしにする作品が増えた。
『エヴァ』以来、画面にやたらドでかいフォントのテロップが打ち出されるようになった。
『エヴァ』以来、死に体のアニメコンテンツが、パチンコ・パチスロで再起を図るようになった。

などなど、今にして思えば、本作のブームが巻き起こした時代の流れで、
アニメの表現、展開の進歩とも取れるこれらの現象が、
当時の私には前向きに受け止められず……。

『エヴァ』の克服こそが日本の喫緊の課題ではないか?
との思い込みすら沸き上がる始末。

そこで、もう『エヴァ』の時代でもないだろう。
そんな舐めた気持ちで、過去の遺物として決着を付けるために、
『エヴァ』に舞い戻って見たら、トンデモナイ。


看板、標識、電線に至るまで緻密に構築された第3新東京市。
そこで対峙する使徒とエヴァの異様なフォルム。
激突。そして、炸裂する臨場感溢れる“庵野爆発”
細部まで詰めた設定により、いちいち具体的に数値化、言語化される戦況報告。
劇伴は鷺巣 詩郎氏の迫力満点のBGMのみでは表現しきれぬとばかりに、
クラシックの名曲まで投入して神話を盛り上げる。

ぴっちりプラグスーツ姿が眩しいレイ&アスカのダブルヒロイン。それとミサトさん。
少年のリビドーをたぎらせる刺激的なシーンの数々。
脇にまで主役級を配した盤石のキャスト陣。
序盤はギャグも交えてサービス!サービスゥ!する。
など攻守ともにほぼパーペキ。

これはもはやTVアニメを視聴していると言うより
襲撃されると言った方が正しい、衝撃体験が繰り返される。

やっぱり『エヴァ』は凄いアニメですよ。


何より嬉しいのは、シナリオの中で、使徒VS人類の存亡を賭けた戦いと、
他者との折り合いに苦しむ多感な思春期少年の悩み。
世界を左右する一大神話と、ギスギスした父子関係など、僕のセカイの一大事が、
同一線上の事として語られること。

人は誰もが心にATフィールドを張り、時にぶつかり、傷つけ合っている。
そんな障壁、他者との区別もろとも、無かったことにできたら、どんなに良いだろう。
初視聴当時、対人関係で針を出しまくっていた、ヘッジホッグな私にとって、
本作のテーマは、私のハートに深々と突き刺さった槍。

ちょっと『エヴァ』みたいな創作物が乱発されてゲンナリしたからって、
容易に抜ける物じゃありません。

因みにTVアニメ版のラストと、その後の旧劇場版のラストでは前者の方が好み。
{netabare}無難に考えれば、外の世界で起こったインパクトの結末まで描ききった劇場版の完成度なのでしょうが、
シンジの内部世界の奥深くまで沈降したTVアニメの余韻の方が私は何だか好きになれるんですよね。
もっとも、いきなり最後に「おめでとう」で締められると、今見ても面喰らいますがw{/netabare}

思えば、この四半世紀近く『エヴァ』を軽んじて挑んでは返り討ちに遭う。ボコボコにされる。
その繰り返しだった気がします。
特にOPアニメーションについては、私は未だに本作より凄い作品に出逢えていません。


好きなキャラは悩みますが、印象的なビジュアルは、
プラグスーツで佇む、月下の綾波 レイ。
私にとっては、本作のと言うより、
90年代のアニメシーンの中でも特に脳裏に焼き付いたビジュアルイメージの一つ。

ここは、ジャズの定番曲のアレンジであるEDの「FLY ME TO THE MOON」でも聴きながら、
秋の夜長なんかに、満月と綾波 レイを鑑賞と行きたい所ですが……。

{netabare}本作の世界はセカンドインパクトの影響で、日本列島ですら常夏w
8月「ヤシマ作戦」終了後、9月になろうが、10月になろうが、学校の制服はず~っと夏服w
日中聞えて来るのは、むさ苦しい蝉の声w
人類は中秋の名月ほか、日本の四季の風情すら奪い去られたのだ。ナンテコッタw{/netabare}


いずれにせよ、鑑賞の際は、衝撃で月まで飛ばされないように十分警戒したい。
私にとっては今なお衝撃的な平成の怪物アニメです。

投稿 : 2019/04/04
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サンキュー:

51

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