「亜人ちゃんは語りたい(TVアニメ動画)」

総合得点
86.5
感想・評価
1113
棚に入れた
5433
ランキング
192
★★★★☆ 3.7 (1113)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.9

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ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ひとのはなし

理性があるから人なんだろう。

例えば、人は栄養さえ取れれば十分な食事を済ませることができるだろう。
なのに、セブンに行くとたくさんの食べ物があって色んな味や食感の物を選べる。
私が夕食前に小腹が空いてパンコーナーに行き、
数ある中からカスタードと生クリームの入ったクリームパンをたった一つだけ買う。
こんな風に夕食や金や好みなどを考慮して判断するような生き物はそんなにいないだろう。
単純に意思疎通が取れないだけで、他の生き物も理性があるのかも知れないが、
分からないことは分からないのでそう判断するしかない。

亜種であっても人は人。
この作品は『亜人』、デミヒューマンと人との人の話かな。

バンパイア、サキュバス、雪女、魔女(いない)からのデュラハンが登場する。
どこかで見たことあるメンツだね。

小鳥遊ひかりは元気で明るくて優しいけどお調子者のバンパイア、
町京子はまじめで運動体形でマッチョ好きで乙女なデュラハン、
日下部雪は可憐そうで活発でギャグやコメディのサブカル好きで裏表のない発言をする雪女、
佐藤早紀恵先生は地味で控え目で恋愛経験の薄いグラマラスな美人な先生のサキュバス、
そして高橋鉄男先生が主な登場人物。

高橋先生が理性的でまじめで頭が良く落ち着いていて分け隔てなく人と接して
身長高くて筋肉質で亜人に興味津々な先生。

亜人は一般の人間と異なる確立した性質をもつ人間だ。
首がなくて頭と胴体が分離しているとか、異性を無意識に魅了するとか、
基本的に血を摂取するとか、体から冷気が漏れるとか。
なので、日常の生活を送るだけで大変だ。
彼女らは高校の新一年生、早紀恵は新任教師。
新しい出会いや環境での生活が始まっていた。

中学校の同級生もいないし、引っ越してきた人もいるので、
そこから生まれる新しい人間関係+αで悩んだりしている。

幸いなのは首がなくても多くの人はあまり驚かないこと。
亜人のことが世間一般に認知されているのだ。

「世の中がなんとなく丸くなった」ことによる差別意識の薄れは好意的なものであり、
そうすることはとても難しい。
政治や法律的なもので環境整備はできても、
人の意識を短時間で変えられるものではない。

日本は昔に比べて、労働者、観光客として外国人が増えた。
受け入れているかどうかは人それぞれだし、地域にもよるだろう。
それでも受け入れている人は増えてきたと思う。
なんとなく受け入れた、
と言うよりも見たり話したりする経験の積み重ねの結果だろう。
日本人、日本国籍を持つ人かな、は冗談で済まない速度で人口が減少しているので、
私が生きている間に日本人よりも外国人の人口が多い町や村も出てくるかもね。
そしてそれを当然と思える未来もあるのかな。

人と亜人との間にある大きな問題は少なくなっているが、
個人間では別、
知らないことは知らないのだし、警戒したり、何となく怖がってしまうものだ。
英語話せないのに英語で話しかけられたら困るじゃん。

亜人の子たちは大なり小なりそういう壁にぶつかってきた。
それっぽいのに高校に入ってからぶつかったのが雪だ。
物語の山の一つ。

ひかりは自由奔放としているが、
優しいし気遣いができるし人に対する言動に芯がある。
ひかりが決して平坦ではない人生を歩んできたからだろう。
それは、
高橋先生が亜人に簡単に会えたことで縮こまっていたときに、
亜人を嫌いなのかと警戒し嫌悪感を表したこと、
ひかりの家族の言動や恰好、生活様式からも分かる。
(高橋先生は、全然会えなかった亜人に一日で4人も会えたことで、
驚きやら喜びやら過去の経験を思い出したりやらで変に驚いただけ)

亜人特有の問題で物語を描くというより、
問いがあってどう答えて、そう答えた人間はこんな人たち、って内容が主かな。
解決した問題は二つだけだし、解決していない問題、性質もある。
性質や問題とどう付き合うか、どう生きるかってのもある。
どう生きてきたかってのは人格形成にも大きく関与している。
そう考えると普通の話だなぁ。

雪は当初、人間関係を希薄にし、暗くうつむいた感じだったが、
蓋を開ければ、親父ギャグや下ネタで笑ったりカラオケを楽しんだりと快活だ。
佐藤先生は異性と接することを怖がり、自分のことを話すことはなかったが、
安心して話せる相手には絡んだり愚痴を言ったりする乙女な女性だ。
ちょっとしたことで自らの人格を塞ぎ込んでしまうことはあるのだろうね。
何でも曝け出せばいいってもんでもないけど。

亜人の悩みを安心して相談できる高橋先生がいることは彼女らにとって、
本当に幸いなことだろう。
何にしても、自分や自分がかかえている物事や問題に理解がある人は、ありがたい。
特殊であまり知られていないことであればあるほど、それに精通している人、
興味があること自体が稀かも知れない。
河豚を調理できる人とか、食べられる茸を見分けられる人とか。

きっと、車椅子とか目が見えないとか腕がないとか、
何でも記憶できるとか文字を覚えられないとか感情の抑えが効かないとか起伏がないとか、
そういうのでも物語を作れそう。
(亜人、体に不自由なところがある人、脳の働きが異なる人、
との違いを語弊なく伝えられないのでここでは控えます)


こんな風に多くを語りたくなるような素適な内容でした。
こうものめり込めたのは登場人物が魅力的なこともある。
登場人物は感情、表情、言動が豊かで同じではない。

ひかりは一つ一つの言葉や手足がくるくるコロコロと跳ねるように動き回る、
雪は強気や元気や疑問や笑いを隠さずに表情に出す、
町の控え目からはみ出して驚く、
その様が可愛らしい。

何より高橋先生が好奇心を絶やさずに、先生としての振る舞いを忘れずに,
人として思いやりのある行動ができるところが凄い。

主役以外の登場人物も魅力的だ。
私の中では、ひかりの妹のひまりを除いて脇役っぽいのは四人いる。
中でも輝いているのは佐竹。
その四人はサブキャラと言うほど登場していないのに印象に色濃く残っていて、
物語にも大きく影響を与えている。
それでいて登場するのが自然だ、物語を通して成長しているし。
物語、登場人物の構築がとても上手い。

主題歌も優れていて、
OPの絵本の様に開かれて表現される亜人たちの特徴が内容も絵としてもいい、
EDのクレヨンで表した鍵盤、小さい頃にしか見なかったスケッチブックの紙みたいなタッチ、
それに合わせた色合い、何より曲良過ぎ。

既にいくつか述べているが、作画イイ。
たまに廊下とかタライとか変なことになったりすることあるけど。
それ以外が良過ぎるから満点にした。


面白いだけではなく、たくさんのことを学んだよ。
男がモテるためには、
身長が高くてマッチョでユーモアがあって好奇心を絶やさないで
思いやりがあって分け隔てがなくて行動力があってけど弁えることができる、
立派な大人で社会人であるということを!

投稿 : 2019/05/10
閲覧 : 216
サンキュー:

6

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