「鬼滅の刃(TVアニメ動画)」

総合得点
75.5
感想・評価
196
棚に入れた
1480
ランキング
501
★★★★☆ 3.8 (196)
物語
3.7
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.7
ネタバレ

参参線維

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:今観てる

鬼も被害者ならば、倒すことで罪から救う。少年剣士の大正ダークファンタジー

最近の作品に対し「主人公なんだから超能力が始めからあっていいじゃん」的な作り方に疑問を持っていました。
でもこの主人公「炭治郎」は、ひとより鼻がいいという以外は完全に普通の少年です。

それが妹を救うため自分よりも圧倒的に強い相手に、知恵と勇気と機敏さで立ち向かい、
「この少年は、将来強力な戦士になる資質を秘めている」ということを、
第一話だけで視聴者に印象づけることに見事に成功しています。

とにかく第一話だけでも観て欲しいです。マンガだったら第一話だけの読み切り、
短編だとしても十二分に作品の魅力を味わえます。
{netabare}
炭治郎は師の教えを受け「本気で殺す気で仕掛けているとしか思えない」修羅の修業を続け、
生死の境界線を綱渡りのように危なげに歩きながら、驚異的な成長を遂げます。
家族を失った後二年という長い時間をかけついに「鬼殺隊入隊試験の資格」を得ます。

しかもこの二年間はまだ始まりでしかない。
「鬼殺隊」に入隊するには、この後の試験に合格しなければならない。
しかもその試験とは「不合格=死」という、試験官のほうが鬼じゃないかと思えるほど。

「試験に生き残れない弱者など生き残る資格すらない。死んだほうがまし」
そんな微塵の容赦もない「鬼殺隊」の頭とは何者でいったい何を考えているのか?

とにかく目上や大人たちの態度が厳しい。
「そんなあまい態度で鬼と戦えるのか。何が守れるものか」という厳しい言葉や、
容赦ない試練をかいくぐって、立派な鬼滅(きめつ)の剣士として強くたくましく生きようと、
重い足を一歩、また一歩ずつ進め成長していく。その姿に感動させられます。
{/netabare}
炭治郎は自分が死の瀬戸際にあってどんなに苦しくても、妹や見知らぬ他人すら優しくほがらかに接する子です。

少年のもつせつなさと純粋さが伝わってきて「負けるな、がんばれ!」と応援をしたくなる、とてもいい子です。


第十六話「自分ではない誰かを前へ」
この回だけは感想を書きたいという衝動にかられた。
炭治郎は鬼を倒すと同時に「人殺しという罪の輪から救っている」ということがはっきり描かれていたからだ。
{netabare}
「人を食い殺す悪鬼は許せない」だが炭治郎にとって鬼とは
鬼舞辻無惨を除き「鬼にされた者もまた被害者」だ。

初めて共に戦う炭治郎と伊之助。前回の対響凱戦では共闘ではなく完全にバラバラだった。

操られている鬼殺隊員を殺さずに戦うという、炭治郎のスタンスに伊之助は同意できない。
それどころか先輩隊員にすら「あいつ一発殴らせろ」というほど、手が付けられないキャラ。

蜘蛛の糸に気づいた炭治郎は、機転によって鬼の母蜘蛛が操る糸を封じることに成功。
しかし怒った母蜘蛛は隊員を皆殺してしまう。

誰も救えなかったことに、炭治郎はショックを受け無言でたたずむ。

さきほどまでライバル心丸出しだった伊之助すらも、炭治郎の心の内に秘める
地鳴りのように伝わってくる怒りに圧倒され、自身も震えほど声も出なかった。
「行こう……」
「……そうだな」

だが炭治郎は怒りに燃えているものの、冷静さは失っていない。

次に炭治郎たちは首のない操り人形(日輪刀で消滅したので元は鬼か)と対決。

自己中心な伊之助に対し炭治郎は「一緒に考え、一緒に戦おう」とゲキを飛ばす。
炭治郎は己自身を踏み台にし、伊之助に高高度から袈裟斬りにとどめを刺す。

全て炭治郎の作戦通りにうまくいった。
だが伊之助はそれが気に入らない。

「こうなるのが必然のようだ まるで川の水が流れていくことほど当たり前に
 こいつは、自分が前に出ることではなく、戦いの、全体の流れを観ているんだ」

勝利によろこぶ炭治郎。だが伊之助は「お前に出来ることは、俺にも出来る!」と
炭治郎を担ぎ母蜘蛛の居場所まで放り投げ、一気に距離を縮める。

ここまで「バトルアクションアニメ」として秀逸な展開を説明した。

だが自分がもっとも重要に感じたのは、この後の「母蜘蛛を安楽死させる」シーンである。

満月を背にし高高度から母蜘蛛に奇襲をかける炭治郎。
まさしく鬼気迫る、血なまぐさい戦場でありながら、優美さを感じるワンカット。

炭治郎は「壱ノ型」の構えをとる。
目前に迫る炭治郎に対し必死に反撃方法を探る母蜘蛛。
だが彼女の脳裏に浮かんだのは「死ねば解放される」という思いであった。

蜘蛛の糸を手放し、救いを求めるかのように両手を差しだす母蜘蛛。
弱点の首は隙だらけである。
「楽になれる」
そう思った瞬間、彼女は目をつむる。

この女はつい先ほど隊員を皆殺しにし、炭治郎を本気で怒らせるほど許しがたい悪鬼。
だが炭治郎はそこに母蜘蛛の気持ちを感じとり、構えを代えた。

「伍ノ型、干天の慈雨」で首を斬り落とす。

干天の慈雨という言葉は「困難な時に待望するものがかなえられる意」にも用いられる。
さらにこの技は「慈雨」と「慈有」をかけているとも思われる。

その直後、陽が差し込み、天から温かな光が二人の周辺を照らし出す。

慈悲 救済 温情 赦免 安楽死 感謝

先ほどの満月に続き、この一連のシーンはもはや芸術の域に思えた。
https://www.anikore.jp/board/641/count:153/mode:jump/

「これは、やさしい雨にうたれているような感覚
 苦しくもない ただ、暖かい……
 こんなにも穏やかな死が、くるなんて
 これで、解放される」

彼女の記憶が再生される。父蜘蛛の暴力を受ける母蜘蛛。
子どもたちは助けようとしないどころか、当たり前のように無情の目で見つめる。
彼女の立場は「母親」とは名ばかりの、虐待と仕打ちを受ける日々だった。

転がり落ちる母蜘蛛の首を慈悲に満ちた目で見つめる炭治郎。

「あの目 やさしい目
 人間だった頃、誰かに優しい眼差しを向けられていた気がする」

彼女が断片的に思い出したそのやさしい人。
「思い出せない
 いつもわたしを大切にしてくれていた人
 あの人は今、どうしているのかしら」

このセリフと同時に血に染まった腕が描かれている。
おそらくは鬼になった母蜘蛛自身が、殺してしまったのではないだろうか。
人としての理性を失ったため、記憶がないのもそのためではないだろうか。

死に際に人の心を取り戻し涙をこぼす母蜘蛛。
その炭治郎のやさしさに感謝を込め、重要な情報を与える。
「十二鬼月(じゅうにきづき)がいるわ 気をつけて……」
そう言い残し彼女は塵と化した。

次回の第十七話で、炭治郎は母蜘蛛をこのように思い返している。
「あの人から、恐怖と苦痛のにおいがした
 死を、切望するほどの」

炭治郎は「あの人」と呼んでいる。「あの鬼」とは言っていない。
炭治郎にとって死んでいった鬼は、もはや鬼ではなく「人」なのだ。

炭治郎は以前、鬼殺隊入隊選別試験の際、何十人もの子どもたちを殺した鬼を倒した後
憎しみではなく、安らかに眠ること成仏を祈った。

前回の響鎧との戦いでも強敵として敬意を払った。
「あんたの血鬼術はすごかった」
それを聞いた悪鬼は人の心を取り戻し、涙を流し安らかに消えていった。
{/netabare}
炭治郎にとって鬼とは「人を殺す許せない存在」
であると同時に
鬼舞辻無惨を除き「鬼にされた者もまた被害者」なのだ。

炭治郎に倒され成仏していった鬼たちは
「人殺しの悪鬼という、罪の輪から救われた者たち」
なのである。


以下は完全に個人的なつまらないひとりごと
{netabare}
もうコレ「令和版 和風仕立て ジョジョの奇妙な冒険」だよね。

吸血鬼は血を吸う。鬼は人を食う。血を吸うほど人を食うほど強くなる。

石仮面で吸血鬼を、ゾンビエキスでゾンビが増える。鬼舞辻の血を与えると鬼が増える。

家族が最初の犠牲者となる。

吸血鬼、鬼になったものは不老不死。なおかつ異常な身体能力と再生能力を身につける。

日光が弱点。対抗出来るのは日光と同じ波動を持つ「波紋の呼吸」か「日輪刀」のみ。

すでに石仮面と吸血鬼、鬼の存在を知っているものが現れ、主人公の師匠になる。

主人公らは特殊な呼吸法によって超人的な身体能力を発揮する。

主人公は温厚で朗らかで誰にでも平等に接する典型的な「優等生型主人公」。
炭治郎=ジョナサン

ジョナサン、炭治郎共に正義感が強く、まだ本格的な戦闘訓練を「波紋の呼吸修業」も
「鬼殺隊入隊修業」もしていないうちから「勇気と知恵と日々鍛え上げた身体能力」
だけで無謀に見える戦いを挑む。
ジョナサンVSディオ 炭治郎VS冨岡義勇

こうなると波紋の呼吸を身につければ鬼を倒せるし、日輪刀があれば吸血鬼一族も
石仮面から生まれた吸血鬼もゾンビも倒せそうだなと思うんだわ。

でも伊之助の日輪刀は強度的にまず折れる。刃筋がまっすぐでも明らかに強度不足。
刃と峰の部分に応力集中するから絶対折れる。

しかもアイツ鞘にいれてねえじゃん。布に巻いてるだけだし。

鞘には「安全に持ち運びする」ためと「刀身を傷やサビから守る」役目がある。
日本刀は未使用白鞘にいれて保管していたとしても、定期的に油を塗り直さなければ
あるいは小さな刃こぼれひとつあっても、そこからサビが広がってしまう、
非常に繊細で入念な手入れが必要な武具なのである。

それにどうやって腰にぶら下げてるんだよ?

さらに鍔という重要な部品がない。
鍔は敵刃から身を守るものだけのものではない。
自身の手が滑って自ら手を斬ってしまわないようにするためのストッパーだ。

その証拠にどうみても強度がまったくないが、芸術品のような精巧に作られた職人技の品や
小さすぎて敵刃を受け止めることなど不可能なくらい小さいものもある。

作者が「一人くらい変わった武器持たせてみよう」という意図なのだろうが
ちょっと刀にうるさい者からみると???の連続である。

そんなこといったら「逆刃刀」なんてナンセンスきわまりないぢゃないのよ。
あれこそ「日本刀の構造をわかってない」よ。

だが「少年漫画なんぞ見栄えとハッタリ効かせてナンボだろが?」といわれれば

ああっ! そのとおりだあぁあああああああ!!
{/netabare}

投稿 : 2019/07/28
閲覧 : 180
サンキュー:

8

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