「月がきれい(TVアニメ動画)」

総合得点
93.7
感想・評価
1794
棚に入れた
7551
ランキング
9
★★★★☆ 4.0 (1794)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

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退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

純愛の先にあるもの

好きな人に告白することは難しい。緊張していますか?心配いりません。心を落ち着かせて、無限の愛をその人に送り届けるのです。
吉か凶になるかはあなた次第。たとえ失敗してもくじけないように。家族、友達、そしてあなた自身が希望です。時には人生に影響を与えます。
答えを教えてほしい?それはできませんね。なぜなら、真の答えは存在しないからです。もう一度言いますが、あなた次第です。
ここまで偉そうな事を語りましたが、僕の学生時代は愛とは無縁でした。当時の僕は内向的で、いつも上の空を見ていました。自分が嫌いでした。
そんな僕を変えてくれたのが...紛れもなく僕の家族です。家族は優しく僕を包み込んでくれました。「ああ、優しさとはこういうものなのか」と、僕は鮮明に気付きました。
同じ境遇の人がいれば個人的に嬉しい。理由は同情できるからです。同情は非常に大切です。そこから人に優しくなれます。
出会いと別れはすぐにやってきます。学生時代、社会時代。時は過ぎてゆくものです。人生はやり直せません。正直に言うなら。
では、長い前置きはやめて、このアニメについて語りましょう。月がきれい。素晴らしい作品です。

本作の主人公である「安曇小太郎(あずみこたろう)」は、ごく普通の中学生。彼は文芸部の部長で、ある有名人のような小説家を目指しています。
その一方で、「水野茜(みずのあかね)」は本作のヒロインです。彼女は陸上部の部員で、これまで好成績を収めてきました。
ある日、小太郎は偶然にも茜と出逢います。そして、お互いを意識し始めます。この点が本編の主軸ですね。
断言しておきますが、ただの恋愛ものではありません。無垢で不器用で、しかし何故かニヤっとしてしまう純愛ものです。
通常の作品なら、三角関係でドタバタやドロドロなどを繰り返すことが当たり前ですが、本作の場合は違います。
小太郎と茜の恋模様が真剣に、真正面に、真面目に描かれています。現実的すぎるという指摘もありますが、確かにその通りです。
しかし、だからこそ二人を応援したくなるじゃないですか。僕にとっては、それが幸福そのものなのだから。
二人には多くの友達がいます。小太郎と茜も含めて、全員が決して充実した生活を送ってきたとは言えませんが、飽くことなく将来に向けて努力してきました。
眩しい太陽の先に、鳥の群れが一同に会して青空へと羽ばたいていく。そんな光景を思い浮かべてみてください。
友情は尊いものですが、恋はもっと甘酸っぱいです。もしかしたら、何かの貴重品よりも欲するものなのかもしれません。
実際に経験した方なら分かると思いますが、そう簡単に上手くいきません。これは序文にて申し上げた通りです。
その人の喜ぶ姿や悲しむ姿を幾度となく見てきたことでしょう。お互いに分かち合うこともまた重要です。それ以上の愛が芽生えるのであれば、尚更だと思います。

主要キャラ二人の関係に注目されがちですが、他キャラ同士の掛け合いも注目です。意外な展開が待ち受けることも。
小太郎は劇中で度々有名人の名言を引用します。この点も本作を語る上で重要な部分ですね。勉強になります。
茜は陸上での活動に紆余曲折しながらも、彼女なりに奮闘します。部活以外でも様々な困難に向き合いますが、それは小太郎も同じです。
内面が丁寧に描かれているため、どのキャラも好感が持てます。僕は男性主人公に感情移入するタイプですので、小太郎派ですね。
本編の後にショートストーリーが挿入されますが、こちらもまた面白いです。元々和む作品の雰囲気を更に和ませてくれます。

作画は透明感があります。言い換えるなら非常に美しいです。時折崩れる場面がありますが、僕はさほど気になりませんでした。
現在人気のイラストレーターであるloundraw氏のキャラ原案とビジュアルも本作の世界観を彩っています。
このお方は様々な分野において比類なき活躍をされているので、興味のある方は調べてみてもいいかもしれません。

音楽もとても気に入っています。特に東山奈央さんの歌うOP・EDテーマ、挿入歌は非常に良いです。
僕はこの作品がきっかけで、奈央さんのファンになりました。奈央さんの声は本当に魅力的で、聴く度に浄化されます。まるで歌の女神様が舞い降りたかのように。
どうやら本作がデビューシングルだそうで。彼女はこれまでも多くのキャラソンを歌ってきましたから、その実力は計り知れないです。

タイトルをあまり活かせていない所です。確かにテーマの一つですが、そこまで強調されていません。

思春期にありがちな片想いからの両想いへの発展。それをありがちな手法ではなく、アニメという特殊な手法で繊細に表現された傑作です。
ほぼ全てにおいて完成度が高く、受けつけられないようなシーンも一切ないので、総合的に満足しています。
人生で一度も観たことがないような作品を観させていただきました。最終回は感動ものです。
僕自身としては、今まで本気で恋愛に興味を示さなかったことに後悔しています。本作を観て、色々考えさせられました。
Blu-ray版を数ヶ月後に買いました。それぐらい僕はこの作品を愛しています。ずっと手元に置いておきたいです。

投稿 : 2019/04/24
閲覧 : 169

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