「もしドラ(TVアニメ動画)」

総合得点
59.0
感想・評価
531
棚に入れた
2036
ランキング
4619
★★★★☆ 3.2 (531)
物語
3.1
作画
3.1
声優
3.4
音楽
3.2
キャラ
3.1

参参線維 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

確かに全体的には不評。それでもいいところもあるじゃないの?

作品そのものの全体評価は、ほかのレビュアーさんたちのほぼ言うとおり。

高校野球をまったく知らない僕ですら「これ競技妨害にならんの?」
って思ったいたら、案の定その通りだったくらい本当にひどいのは確か。

じゃあ本当にほめられるモノがない、全部が駄目な作品なのか?といえば
「いや部分的にはいいところも、一応はちゃんとあると思うけど」
というところを改めて見直し探してみた。

最初に感心させられたところは「顧客とは何か?」に対する回答である。
みなみと夕紀があれこれ思案した結果、「部員そのものが顧客である」
という結論に達したとき、目から鱗が落ちる思いがした。

「練習に参加しないものは、商品やサービスに不満を持つということの現れ」
「ボイコットである」という点も「部員が顧客ならそうなるのか」と感心した。

その後「練習に出なくても、試合には出る部員がいるのはなぜか?」という問いに対し
「働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を与えなければならない」そのためには
「練習にも試合のようなはっきりした結果が出るようにし、責任を持たせ競争心を煽る」
という点も非常に納得した。


つぎにキャラクターに焦点を当ててみる。

宮田夕紀
入部し立てで部員のことを全く知らないみなみが、夕紀に質問するが、
夕紀は監督を含め野球部員全員に対し、プロファイリングし的確に答えている。
このことから鋭い観察眼と深い洞察力をもっている少女だと評価できる。
彼女がわからなかったのは、自分のことをあまり話さない文乃くらいだった。

初登場時点ですでに入院し病室のベッドにいた。このときなぜか麦わら帽子を被っていた。
明らかにおかしいこの様子で、察しのいい視聴者ならばこの少女がどういう状況であり、
何を思いっているのかが、ある程度推測できるのではないか。

たしかに初めてみたとき、夕紀の「退場」はあまりにも唐突過ぎて困惑した。
人によっては「安っぽい悲劇」と言われても仕方ないといえる。

だが二度目以降の視聴で、麦わら帽子に込められた想いは、決して口に出せない、
親友のみなみにも言えない、そんな夕紀の思いを想像すると切ない気持ちになった。


北条文乃
みなみの質問や問いかけに対しすべてはぐらかす、つかみ所のない少女。
だが「お見合い面談」で、ずっと言葉に出来ずに押し殺していた本音を告白。
その後大役に任命され、尊敬する夕紀に「文乃ならきっとできる」といわれて変身。
「粉骨砕身」し監督と議論を交わし、大量の練習カリキュラムを作成する偉業をこなす。

上記の「練習にこなくても試合には出る部員がいるのはなぜか?」という疑問に対し
「試合には勝敗という結果がある。試合は選手がいなければ始まらない責任がある」

「そこで練習の中に試合のように結果のはっきりわかるる競争の原理を導入する」
という結論を監督の加地と一緒に導き出す。

さらにみなみの影響を受け、難解な「マネジメント」を読み解き実戦するようになる。
もともと成績トップの優等生ではあるが、それでもマネジメントを理解するのは
簡単なことではない。読解力の高さと理解度の深さは、みなみにひけをとらないとわかる。


加地誠(監督)
登場時から感情をほとんど表に出さず、理屈屋で近寄りがたく、冷淡で他人の気持ちに
関心のない冷たい印象の人物として描かれていた。

だが浅野が疲労による暴投が原因で敗退した日の反省会。次郎が浅野への抗議に対し、
「そんなピッチャーはいないんだ!フォアボールを出したくて出すピッチャーなどいないんだ!
そんなことをするピッチャーは、うちのチームには一人もいない!」
と突然大声で反論。
「エースとして、ピッチャーだけにしかわからない孤独な悩み」を理解してくれたことに
浅野は感激し涙する。
この日をきっかけに、不仲だったエース浅野を含め部員たちから
「物静かな性格の内に、熱い情熱を秘めた人物であった」ことを強烈に印象づける。

そして大敗した翌日からチーム全員が生まれ変わったかのように、練習に励むようになる。

高校野球への造詣が深く「過去に画期的なことをした監督の例はないのか」という
みなみの質問に対し、自分が尊敬し目標としている二人の監督の名前をあげている。


二階正義
レギュラーに憧れ誰よりも多く練習量をこなしていたが、残念ながら彼は運動センスがなかった。
「自分は決して選手になれない」。そう自覚したとき、ベンチ入りするという夢を捨てる。
チームのために貢献できること、自分にしかできないこととして「マネージャー」への道を選ぶ。

その後はトップマネジメントを構築し「マネジメントチーム」を組みその才能を開花させる。
甲子園を目指すには「イノベーション」が必要であり、「程高だけでなく全国の高校野球部へ、
影響を当たるほどのものでなくてはならない」という大胆な発案を提案。

三年生の春。程久保高校野球部は、まったく実績のない弱小チームであるにも関わらず、
三十人を超える新入部員を獲得。スカウトマンとしての手腕も高いことを証明する。

そして最後の大会のスターディングメンバー発表の日、彼は「キャプテン」として選ばれる。
マウンドに立つことはなくても、念願だった「試合でのベンチ入りする」夢を成就し、
二階はユニフォームを手に涙する。


桜井裕之助
一年生でありながらその才能を買われレギュラーとなる。だがメンタル面で弱さを持ち、
調子がいいときは活躍するが一度でもエラーをすると、途端に萎縮しミスを連発してしまう。

二階と文乃から「決勝戦で裕之助は外すべきだ」と提案がでるが、みなみは反論。
「負けることになったとしても、成長を信じて試合に出すことが、マネジメントのすることだと思う」
このみなみの主張を機に監督の加地は、裕之助の起用を決断。
「あいつは必要な人材。監督を首にすると言われても、変えはしない」と答える。

最終回二死。最後のチャンス。この日はノーヒット。今までの裕之助なら萎縮してしまう場面。
だが裕之助はプレッシャーに弱いという弱点を克服し、積極的な攻撃スタイルをとる。
夕紀から聞かされた戦術により、見事勝利をつかみ取った。

同時にみなみのマネージャーとしての目は確かであったことを裏付けした。


川島みなみ
主人公をあえて最後にもってきた。「マネジメント」を読み解き実践し成果を出す。
こんな女子高生が本当にいたら「怪物」としかいいようがない。

二階のようにはじめから「将来起業して経営者になる」というはっきりした意識を
持っているものならともかく、商業高でもない普通の進学校の女子がドラッカーの
集大成と呼べる「マネジメント」を実際に読んだら、ほぼ確実に数行で投げ出す。

「マネジメント」から「マネージャーの資質」。「マーケティング」。「働きがいと責任」といった内容を周囲の協力を得ながら、租借し実践し、結果を出していく。

かつてプロ野球選手になれると信じていたが、叶わないと知り野球に失望した少女。
「野球なんて大嫌い。みるのもいやだ」というほど失意の底に堕ちた少女。

それが親友の「あの感動をもう一度味わいたかった」という意志と願いを受け継ぎ、
「親友が戻ってくる間だけ始めたマネージャー」が、いつの間にか選手たちの姿から
胸の内からこみ上げる想いを、抑えきれないほどの昂ぶりを感じる。

「みんながんばっている。まっすぐ甲子園を目指してる」
「わたしたちのマネジメントを信じて、まっすぐにがんばっている」
「夕紀の言ったことの意味がわかった。めちゃくちゃ感動してる」
「わたしマネージャーをやってきてよかった」

野球に失望しその思いを一度は失いかけた少女は、その興奮と情熱を取り戻すことができた。
それが夕紀という無二の親友が遺したかったものであった。

投稿 : 2019/05/25
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サンキュー:

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