「ボールルームへようこそ(TVアニメ動画)」

総合得点
81.4
感想・評価
602
棚に入れた
2440
ランキング
405
★★★★☆ 4.0 (602)
物語
4.1
作画
3.9
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

kurosuke40 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

出会いは一瞬、付き合いは一生

原作未読。

好きなことが見つからない多々良が競技ダンス(と痴話喧嘩と兄弟喧嘩)に巻き込まれ、のめり込んでいく前半と、
後半は半面競技ダンスに出会ってしまった人々のお話。

前半の象徴的な言葉は「なんで僕はダンスにもっと早く出会わなかったんだろう」であり、
競技ダンスやバディ、競技ダンスに関わる人たちから多々良が自分を見つけていく。

多々良は相手に合わせるタイプであり、悪く言えば待ち体質で、フォローが上手いタイプだった。
その特性が、競技ダンスという1つの基準の上で、他人と比較し比較され、
自分の立ち位置、特性を自覚していく。
自分探しというのは、すでにある特性が見えることになっていくことなのでしょうね。

多々良にとって競技ダンスというのは、私を導いてくれるものであり、
OP1の「ドアは開けておいたんだよ、奏で給え」「take me out」がぴったりです。

後半は打って変わって「take the way」のお話でした。
自分の立ち位置がわかるということは、他人の位置も相対的にわかってくるわけで、
多々良にとってはちーちゃんは正反対であり、異物。また逆も然り

相手を理解しようとしても、自分を軸にして考えざるを得ない。
頭でわかったつもりしかできない。
ちーちゃんから見たら、自己がなく、他人に合わせる多々良の感覚はむずむずしてムカムカするだろうし、
多々良から見たら、二人競技なのに一人で突っ走るのは体が拒否するだろう。

理屈じゃない、もうこいつはこういう奴なんだ、とすとんと落ちると、
同じ感覚でああ自分もこんな奴でいいんだ、理屈じゃないんだ、
と他人だけでなく、自身を認めることができるようになっていく。

順番は前後しますが、多々良が釘宮のリードを若さゆえになりふり構わず盗もうとはせず、
はっきりと憧れないと彼の中で拒絶したが印象的でしたね。


たださらに深みのある話です。
競技ダンスは、自分を見つけるドアを開けてくれましたが、
ドアの向こうにあったのはまたドアであり、その先にはさらにドアがあり、ゴールはない。
表現を変えれば沼であり、
なんでダンスやっているんだろう、と「それぞれの地獄」がある。

後半で特にフォーカスされるのは、
同じ境遇であり名声を集める本郷にあこがれるちーちゃんや
オールドスタイルを極めることに執着する釘宮。

人生において、それは絶対に成し遂げないといけないことではないかもしれない。
ただ自分の欲望に、自分の人生に責任を持ち「覚悟」をもって生きる彼らはなんて生き生きしているのだろう。
OP2で「咲き誇れ美しい人よ」は特に釘宮を指しているようにしか見えない。

主要な登場人物は、登場当初は嫌な奴として描かれているのに、
気づくと惹かれているのは、そのような美しさに惹かれているからなのでしょうね。
生き生きとした人間を奏でた素晴らしい作品でした。


蛇足
OP2の「美しい人」は、キノの旅で言及されている美に近い気がする。
脇役でここまで掘り下げられると他のメインも期待してしまう。原作のこれからも楽しみですね。
人目を気にして醜い私はなんなんだと思えてしまう。
みんな若い……
OP聞き取れない。
OP2のサビのシンセが良い味出してる。
アニメはもうちょいダンス描写をじっくり見たかった。ちょっとググった。
雫より真子の方が惹かれるかな。なんか昔と趣味変わった気がする。
釘宮はモロに、彼の欲望は彼の先生という他者の欲望であるのだけど、それを指摘したところでなんなんだって感じ。メタに人を分析するところの、それとない非リア感。

投稿 : 2019/06/01
閲覧 : 273
サンキュー:

10

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