「どろろ(TVアニメ動画)」

総合得点
80.2
感想・評価
527
棚に入れた
2170
ランキング
459
★★★★☆ 3.8 (527)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

叶うなら遠くまで。

この作品は、1969年に放送された作品のリメイク版です。
1969年版は未視聴ですが、当時は子供から大人まで幅広い視聴層をターゲットにしていたそうです。
ですが、幅広い視聴層をターゲットにするには少々難のある作品だと思います。
事実、物語の路線が変更されたり当時は産みの苦しみを味わった作品だったようです(wikiより)。


時は戦国。
醍醐の国の主である景光は、
ある寺のお堂で十二体の鬼神像に領土の繁栄を願い出た。
それと引き換えに生まれた景光の世継ぎは身体のあちこちが欠けており、
忌み子としてそのまま川に流され、捨てられてしまう。
時は流れ、鬼神は景光との約定を果たし、国には平安が訪れた。
そんなある日”どろろ!という幼い盗賊は、ある男に出会う。

それは、鬼か人か…

両腕に刀を仕込む全身作り物の男”百鬼丸”は、
その見えない瞳で襲い来る化け物を見据えていた。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

…どう考えても幼児向けの作品とは思えません。
1969年当時は何故視聴層を広げたかったんでしょう…?

何故ならこの作品にはおびただしい殺戮と血が必要不可欠なんですから…
そもそも景光が鬼神に繁栄を願わなければ、こんな事にはならなかったのに…
色んな選択肢を全部試した結果、辿り着いた答えだったら領主としての選択なのかもしれません。
まぁ、こんな事を考えても仕方がないんでしょうけれど…

不思議なのはこの作品のタイトルです。
主人公は百鬼丸なんでしょうけれど、何故タイトルが「どろろ」なんでしょう。
これは個人的推測なんですが、百鬼丸が本懐を遂げた以降の展開を示唆しているからではないでしょうか。
最終回で描かれていた今後…どろろが百鬼丸との再会を願いながら新たな生活を始め、百鬼丸は一人旅に出ます。
その百鬼丸の禊の旅が終わり、お互い人として二人が再会するまでの間を原作者は大切にしたからではないでしょうか。
きっとどろろだって、ただ待っていた訳ではないと思います。
どうしたらアニキと慎ましくも一緒に暮らせるのか…夢に向かって頑張っていたんでしょう。
二人はどんな顔をして再開するのか…考えただけでもワクワクします。

この作品にはおびただしい殺戮と血が必要不可欠と記述しました。
それは、百鬼丸が人に戻る方法がそれしか無かったからです。
何故人間に戻りたいと考えたか…それは愚問だと思います。
もともと百鬼丸の身体です。
取り戻したいと考えるのは決しておかしいことではありません。

一方、不憫だったのは百鬼丸の弟の多宝丸です。
まず、名前が全然違います。
多宝丸はどれほど父親の寵愛を受けて育てられたのかが窺えます。
それでも不憫だと思うのは、母親の目に他宝丸が映っていなかったことでしょう。
愛する我が子が傍にいる…この当たり前が百鬼丸にはゴッソリ抜け落ちていたのですから、母親が我が子を心配するのは当然だと思います。

それだけじゃありません。
あと一歩、百鬼丸に届かなかったことがきっと最大の不憫…
もし、こんな形の出会いじゃなかったら、きっと兄を慕う良い弟であったことでしょう。
そしたらこんなに傷付け合う必要なんて無かった…
それに多宝丸の幼い頃から仕えてきた兵庫と陸奥をも失った…

多宝丸が弱かったから…とは決して思いません。
百鬼丸との力の差は僅差でした…
だから物語のラスト…多宝丸の口から零れた一言と、母親との触れ合いのシーンには、ようやく多宝丸が報われた気がして胸が熱くなりました。

もしかすると、多宝丸は自分の身の振り方について薄々気付いていたのかもしれません。
ですが、領主の跡取りという立場が彼をがんじがらめにして離さなかった。
その結果、引っ込みが付かなくなり越えてはならない一線を越えてしまった結果がこれなんだと思います。

未来に進む手段は失うことだけじゃないのに…
こう思うと、戦国時代ってなんて理不尽に満ちていたんだろう…と本気で思います。
戦国時代に生まれなくて本当に良かった…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、女王蜂さんの「火炎(FIRE)」と、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんの「Dororo」
エンディングテーマは、amazarashiさんの「さよならごっこ」と、Eveさんの「闇夜」
個人的には前期OPである「火炎(FIRE)」が大好きでした。

2クール全24話の物語でした。
物語のラストでチラッと映った成長したどろろ…
どろろはこの先、どんな人生を送っていくんでしょうね。
十分過ぎるくらい苦しい道のりを歩いてきたんです。
相応の見返りのある人生が待っていることを期待しています。

投稿 : 2019/06/30
閲覧 : 259
サンキュー:

23

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