「秒速5センチメートル(アニメ映画)」

総合得点
87.0
感想・評価
3987
棚に入れた
18428
ランキング
171
★★★★☆ 3.9 (3987)
物語
3.9
作画
4.3
声優
3.5
音楽
4.1
キャラ
3.6

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アンチテーゼ

一生叶わぬ想いを引きずり抜け出せない苦しみ。
暗く残酷に描かれるこの世界。
これは新海監督が伝える、次に繋げる「アンチテーゼ」。

〈簡単なネタバレ〉
{netabare}
第一章【桜花抄】
閉じ込められる電車の中で抱く不安と恐怖感。
彼が想う「明里がいなければ」という気持ちは叶わず、深夜の駅で彼女は待っていた。
最悪の結末として。
そして彼女への手紙を無くした時、もし彼は帰える事が出来たなら、
それは初恋の思い出で終わっていたかも知れない。
失うものをしっかり失って。
そしてここから彼は『秒速5センチメートル』の世界に閉じ込められて行く。

第二章【コスモナウト】
花苗の視点で描かれる世界。
もし花苗が告白していれば、貴樹がいる遠い世界に行き、彼を救い出すことが出来たと思う。
しかし彼女は諦めそれをしなかった。彼はそれを待っていたのかも知れないのに。
そして彼は続ける。「たったひとつの水素原子にさえめったに出会うことない、
想像を絶するくらい、孤独な旅」を。

第三章【秒速5センチメートル】
荒廃と絶望。
理沙は彼を真剣に愛していた。だから彼を救い出そうと三年間もメールを出し続けたんだと思う。
しかしその世界に閉じ込もる彼はそれを拒んでしまう。
彼が想う明里はいつの日か本を読み切り「終わり」を迎える。
彼女にとっては既にただの昔の思い出となり、貴樹は未だにその世界に閉じ込められている。
明里はもうその世界にいないのに。
その後すれ違う踏切で、当然彼女は立ち去ってしまう。
{/netabare}

この絶望は、手紙を失い、そして言葉で伝える機会を逃してしまったことから始まった。

気持ちを伝える事の大切さ。
人は、想いを伝え、時に叶わぬ恋を断ち切り思い出にすることで、
孤独の世界に入り込むことから逃れられる。

きっとそう言うことなんだと思う。

投稿 : 2019/07/23
閲覧 : 288

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