「キャロル&チューズデイ(TVアニメ動画)」

総合得点
75.5
感想・評価
395
棚に入れた
1286
ランキング
784
★★★★☆ 3.7 (395)
物語
3.4
作画
3.8
声優
3.7
音楽
4.0
キャラ
3.6

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ネタバレ

アイコン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:今観てる

音楽は好きだけど……

カウボーイビバップやサムライチャンプルーで同じみ、渡辺信一郎監督の作品。
好きな監督なだけに、かなり期待を膨らませて見ています。

が、今のところ「うーん……」という感じ。

その理由ですが、まずひとつ。
ストーリーが古臭い。
紆余曲折ありながらも、自身の夢を一途に見据え、共に切磋琢磨し音楽への道を進む……的な話なわけですが、この過程の描写が如何せんなんの捻りもない。

{netabare}怪我をしてもすぐ治り、喧嘩をしてもすぐ仲直り。
大ブーイングを受けても、特に心が折れることはなし。
オーディションの決勝で遅刻をしても、特別措置でアーティストデビューの権利獲得。{/netabare}

なんかもうちょっと、成功だとか挫折だとか葛藤だとかを上手く描いて欲しいです。
ご都合主義感が半端ない。

しかもこれは一応「SF」という括りなのに、未来描写がちょっとした味付け程度で、ストーリーにもほとんど全く絡んでこないというのはどうかと。

主人公たちの音楽がカントリー寄りなのは、アメリカーナ的音楽ムーブメントを描きたいのでしょうか。確かにこれだけAI音楽に溢れていると、民衆音楽が懐古に還るのも無理はないのかな……。
とりあえずそこはいいのですが、その未来の火星で流行っている音楽が今と変わらない(というか今ではもう古臭いとも言われてる)ゴリゴリのEDMなのはちょっとどうなのかな……って思いました。
時代が変わるにつれて、音楽も変わっていくと思うのですが、こうも今のアメリカと変わらない音楽シーンを描かれると余計に未来感が薄れてしまいます。
AIの音楽と、人の手による音楽の対比を描きたかったのは分かりますが、はっきり言って火星じゃなくても良くね?と言われても仕方ないレベル。
つまらないというわけではないけれど、引っかかるものもない。

少し気にかかるのが、チューズデイの母親、もとい政治家のヴァレリーが掲げる「移民問題」。これをどう物語に絡めていくかによっても変わってきそうです


そして2つ目。
多分これが一番、自分が引っかかっている部分。
それは、彼女達の音楽に対するこだわり、覚悟が全く見受けられないところ。

なぜ音楽でなければいけないのか、そもそも音楽に興味を持つきっかけはなんだったのか。そこが明確に描写されてないので、彼女達がただ周りに流されて「その場のノリ」で音楽をやっているようにしか見えないんです。
それがこれから描かれていくのならいいんですが、今のままだとただ「雰囲気がいい」みたいな中身のないアニメになってしまいそうで怖い。
まぁ今までもこの監督の作品はノリと勢いが主な要素ってのが多かったような気もしますが……(笑)
この部分は恐らく物語の核にもなる所だと思うので(人の手による音楽に興味を持った二人であるからこそ)、丁寧に描かないと大半の視聴者は満足しないのでは?


最後に3つ目。
音へのこだわりがあまりない。
これは単に自分の好みの問題なんですが、音楽をテーマにしている作品なので、ここが1番こだわり抜かなければならない部分だと思います。
アニメ映画で、「リズと青い鳥」という「響けユーフォニアム」の派生作品がありますが、これがとんでもなく音にこだわりを置いた作品になっていて、登場人物の足音や動作の音、個人の心境に応じて変化していく演奏等、細部に渡り「音」を重要視した作品に仕上がっていましたが、これにはそのようなこだわりが見えません。

同監督の坂道のアポロンでは、上記の映画ほどではありませんが、そういったこだわりが所々に見受けられたので余計に残念……。
1話でのThe Loneliest Girlの制作シーンでは、アコギのフィンガーノイズがやたら高音質で聞こえてきたり、環境音がかなり凝っていた分、その後の尻すぼみ感が凄い。
なんか音楽の演奏シーンだけやたらと演出や音響が良いのがかえって浮いてるような感じもします……。

あまり他作品と比べるのは良くない事なのですが、同監督の作品で出来ていた事がこうも雑になっていると、ちょっとファンとして悲しいです。

あとはキャラが弱い、又、そこまで好きになれないっていうのもありますが、そこまで行くと完全に個人的な好みになってくるので控えます。

良いところももちろんあります。
声優陣も、配役に少し違和感を感じるところもありますが、大体は奮闘してくれています。
そしてなんと言っても、音楽がいい!
この作品のテーマ曲とも言えるThe Loneliest Girlは素晴らしい事この上ないですが、その他にも、ミステリアスなモダンジャズの楽曲、Milky Wayや、フレンチポップ風味のエレクトロ、La Ballade、あとひたすら禁止用語を吐き捨てるアカペラ曲「銀河のマーメイド」など(笑)
主要人物以外のアーティストの曲も素晴らしいものばかりで、音楽好きにはたまらない作品になっております。
早くサントラが欲しい!

NulbarichやFlying Lotus、コーネリアス等、やたらと豪華なアーティスト陣の提供曲が聴けるというのは個人的には胸熱モノです。
が、その反面、こうもストーリーが弱いと継続して見て行くのもキツイです。
自分も音楽が好きな分、このように音楽アーティストを目指す人々の道筋を描いた作品は色々見てきたので、どうしてもその中で好きな作品と比べてしまう部分があります
せっかく世界観設定やキャラデザもそれなりに良いのに、もったいない。
今は2クール目に突入していますが、ここから期待値を挽回してくれるのか……正直不安です。
しかし、早計だったという事も有りうるので、一応継続して見ていきます。

個人の好みがはっきり現れる作品だとは思いますが、音楽への力の入れようは半端ないので、そちらの方面に興味のある方は一度目を、耳を通しておくのもありだと思います。

また観終わったら、新たに感想を書きます。


ちなみに小ネタですが、同監督のカウボーイビバップとスペース☆ダンディと世界観が繋がってるらしく、物語中の通貨単位が同じだったりします。

投稿 : 2019/08/01
閲覧 : 313
サンキュー:

7

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