「海がきこえる(OVA)」

総合得点
68.6
感想・評価
271
棚に入れた
1269
ランキング
1977
★★★★☆ 3.6 (271)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

恋愛ものというより青春もの。

【概要】

アニメーション制作:スタジオジブリ
1993年5月5日に放送されたTVアニメ。
原作は、小説家・氷室冴子によって『月刊アニメージュ』で連載されていた小説。
監督は望月智充。

【あらすじ】

高知から東京の大学に進学した青年・杜崎拓は、
吉祥寺駅のホームで見覚えのあるような一人の若い女性を見かけるが、
列車の往来の中で見失ってしまう。
大学の夏休みに入った拓は、帰郷して高校の同窓会へと出発する折、
一枚の写真を部屋で落としてしまう。写真の女性の名は武藤里伽子。
駅のホームで見かけた女性には里伽子の面影があった。
高知空港に向かう飛行機の席で、拓は中学と高校の頃のことを。
高2の夏に東京から転校してきた里伽子との出会い。親友の松野の彼女への恋心。
そして、彼女を巡って引き起こされた出来事を思い出していた。

【感想】

当時のジブリの若手スタッフが手掛けて、宮崎駿&高畑勲がノータッチな作品。

ジャンルとしては一応は恋愛モノということらしいのだが、
観ていてときめかないし、面白くもない。

なんせ、ヒロインの武藤里伽子が作中では凄い美人設定なのであるが、
今どきのアニメに慣れきってしまえば特に美人でも可愛くもない。
顔の造形云々よりも表情が悪い。それにも理由があるのではあるが。
絵柄は人好き好きなのでどうでもいいのだが、
勉強ができるとかスポーツが堪能であるということは作中のモブ男からはプラス査定でもあっても、
視聴している自分から見ればどうでも良いことであり、問題は里伽子が性格○スであること。
ワガママ、身勝手、男…というか拓を財布代わりにしてお金を借りてなかなか返さなかったり、
良いように便利屋扱いしているトンデモナイ女だ!ワガママで気分屋、自分のことしか考えてない。
作中でも女子から嫌われているしね!

拓は拓で訳知り顔で、どことなく小賢しい未成年って感じ。

拓と里伽子が揉めてる様子が微笑ましくもなく、そこから恋愛関係になるの?など興味が全くわかず。
女のワガママを男は許すもの…男はなんだかんだ言って美人に弱い!みたいな?
で、感動した!という人の気持ちが解らなかった。

でも、この作品を観続けて里伽子が置かれている状況が説明されると作者の意図が解っていく。
もともとはこんな酷い女では無かったが、裕福なリア充だったはずの自らに起きた状況変化に脳が追いつかずに、
理想と現実のギャップに心が折れてしまわないためにも、
虚勢を張らざるを得なかった里伽子の心の中を察して優しく見守る。
子供がおとなになっていく途中の段階で原因があって荒れていた里伽子の葛藤やあがきが描かれた作品なのだ。
里伽子の強がりにシンパシーを感じたり、その未熟さを愛でることが可能なら名作として扱うことが出来、
どんな理由があっても、人に迷惑かけるワガママな人間はダメだよ!と思えばそれまでであり、
里伽子が好きであるか嫌いであるかで評価が二分する作品なのである。

まあ…里伽子が美少女設定でなければ拓が早い段階で『ふざけるな!このブ○!!』
と里伽子を殴打して話が終わりでドラマが生まれない気がするが、美人は得ということか?
個人的には思春期の人間のイタイ部分が巧みに描写された挑戦的な作品であるように見えた。

ちなみにこのアニメを気に食わなかった宮崎駿監督が、
対抗心で『耳をすませば』に取り掛かったのは有名な話である。
カリオストロ公国の公女クラリスを理想像として少女に清純さと品位を求める宮崎監督には、
里伽子の心が発する生々しくも毒々しい熱量が受け入れられなかったのかもしれない。
親目線の理想から外れているからとも考えることも可能ではあるが。

ぶっちゃけた話、男より女のほうが作品の内容や機微を理解しやすいのではないか?と思った。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2019/09/11
閲覧 : 335
サンキュー:

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