遊微々 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
プリキュア史上歴代最高傑作
前作のフレッシュプリキュア終了後、東せつなロスに陥っていた自分を見事に救済してくれた作品。
視聴前はかなり子供向けのキャラデザだなーと思っていたので存外期待してなかったのだが、いい意味で裏切ってくれた。
まず目につくのが花咲つぼみと来海えりかのキャラ設定。
それまでのプリキュア作品といえばピンク=天真爛漫で活発、青=クールで知的な物静かな女の子、という図式が出来上がっていた。
しかし今作の二人は既存のプリキュア像とは非常に対照的。
花咲つぼみは運動が苦手で引っ込み思案、来海えりかは活発で少々向こう見ずな性格、という従来とは真逆の方向性に。
しかしこれが絶妙にハマっており、既存のプリキュアイメージとの差別化、さらには新たなプリキュアイメージの方向性を開拓した素晴らしい功績に繋がった。
二つ目のポイントは敵であるデザトリアンの設定。それまでのプリキュアの敵は無機物に対して強制的に悪の力を注ぐことで敵として具現化させていたが、今作のデザトリアンは人が抱える負の感情を元に作り出される。
これによって人が誰しも持ちうる悩みや葛藤を各回のテーマとして据えることができ、かつ敵を倒すことがイコールそのまま悩みの解決へと繋がるため、1話の起承転結をきれいに収めるためのデザインとして非常に勝手のいいものとなっている。
今作以降これに倣ったデザインの敵がいくつかの作品で採用されたが、未だハートキャッチ以上に使いこなせている作品はない。
3つ目は史上初の高校生プリキュアであるキュアムーンライトこと月影ゆりの存在。
基本的には女の子向けの作品のためプリキュアは明るくポップな作風が基本であり、特に今作のハートキャッチはキャラデザの関係かその色が強めに見える傾向にある。
その中で唯一影を落とすのが彼女の存在である。
歴代のプリキュアの中で比べてもひと際大きな闇を背負っている設定なだけに、まあ作中でほとんど感情を表に出さないし笑わない。プリキュアの中では異質とも言える存在だが、だからこそ彼女がその運命に立ち向かい再びプリキュアに変身して前に進み始めた時の感動は大きい。
宿敵であるダークプリキュアとの関係性も子供向けとは思えない重厚な内容であり見ごたえ抜群。
キャラの魅力とシナリオの完成度が総じて極めて高い作品で、歴代プリキュア作品の中でも別格と言っていいくらいの存在感を放つ今作。
子供向けだと侮るなかれ、超おすすめです。
ちなみに来海えりかは個人的に歴代で一番好きなプリキュア。
とにかくコメディリリーフとして見てて退屈しない。ハートキャッチは2期目作って欲しいなあ。