「彼方のアストラ(TVアニメ動画)」

総合得点
80.8
感想・評価
525
棚に入れた
1684
ランキング
289
★★★★☆ 3.9 (525)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
3.9
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人間の「器」〈原作読了・追記あり〉

2019年夏アニメ。全12話。
漫画原作。原作未読です。
序盤を見ていて連想したのは「11人いる!」でした。

作画は全体的に安定していて、キャラクターデザインも少年向けらしく癖が少なくて見やすいです。演出も全体通して素晴らしかった。
音楽・音響も良かったです。EDの毎回変わるポートレートが見ていて楽しかった。挿入歌も良かったです。アリエスのナレーション(キャンプ日誌)が良い演出でした。
声優さんの演技もかなり良かったです。カナタ役の細谷さん流石。


【良かった所】
{netabare}
シンプルに始まった印象でしたが、思った以上に色々な要素を詰め込んだストーリーで最後まで飽きませんでした。重くなってもおかしくないのに、徹底して明るい雰囲気にしていたので楽しかったです。

B5班を支えたのが、キャプテンであるカナタの苦い経験から得た心身の強さ、愛されて育ち自分も他人も肯定するおおらかさを持ったアリエス。二人とも好きなキャラクターでした。
他のメンバーもだんだんと前向きになり、自身を肯定し「自分」になっていくのが納得できる形で描かれていてとても良かったです。

人間関係がスムーズに行きすぎてるかな?と思う時もあったけど、置かれている状況と家庭環境などを考慮すると無理もないですし、暗い鬱屈した物語にしたくなかったのだろうと感じました。

惑星探査に関しては、サバイバルの厳しさよりも惑星の特徴やそこでの行動を通して、キャラクターの能力・精神・役割を描き出すことを重視していた印象。
一番頑なだったウルガーが本音を告白したり、いまいち掴み所の無かったルカが自身のジェンダーを明かすのが、惑星アリスペードの砂浜だったのも好き。楽園めいた美しく開放的な景色が心理描写にもマッチしてたと思います。

SFサバイバルはあくまでもギミックという感じではありますが、私はその割り切り方が肌に合いました。青少年が命懸けで潜り抜けた冒険の先にあるのが不幸なラストでは誰も納得しないですしね。
納得できない人はこの作品は合わないでしょう。

あと、第1話と最終話でちょっとだけ映った先生が好き。卒業写真撮ってるとき大泣きしてて和んだw{/netabare}


【「器」という言葉】
{netabare}
惑星イクリスでポリーナの仲間の形見を植物から取り返す際に、ウルガーはカナタを「キングオブアスリートの器だ」と評しています。
流れとしては身体能力の優秀さを指しているんですが、ウルガーはその前のシーンでカナタを止めようとするポリーナを引き戻している。ここまでの経緯もあり、ウルガーがカナタを如何に信頼しているかがわかるというものです。
だからこの台詞には、身体能力だけではなく心の大きさも含まれている。つまり「人間としての器量」というニュアンスだと感じました。

若返るための肉体という意味でオリジナルが言う「器」とは意味が全く違うのですね。

B5班メンバーの偉い所は、すべての大人を否定しようとはしていないこと。
信用できない大人と信頼できる大人がいると理解していて、信頼できる人の力を借りることを選びました。
そして、オリジナルが自分自身のために教え込んでいた専門知識や技術がB5班の生存率を格段に上げたというのが何とも爽快。
皆で助け合い常に明るく困難に立ち向かったことも含め、クローン達の「人間としての器量」であるのだろうと思います。

だからこそ親(オリジナル)との決別をしっかり見たかったとは思います。ここはおそらくメインではないから描かれなかった・あるいはアニメでは尺の関係で削られた部分かな?{/netabare}


ご都合主義が目立つと思う人もいるかもしれないけど、何故そうしたのか狙いも理解できますし、何よりキャラクターが生き生きしていてハッピーエンドでとても楽しめました。
原作も気になりますね。
(2019.9.20)

【原作読了追記】
内容の濃い面白い作品でした。
気になったら読んで比べるのも良いと思います。
{netabare}
アニメも原作とストーリーラインはほぼ同じですが、毎話、次回が気になるラストにする工夫がされていました。ミステリーとして評価が高い作品だからですかね?しょっちゅうOPやEDが無かったのは尺の調節に苦労したせいなんだろうなあ。
細かなシーンのカットや追加も沢山あって、アニメスタッフの意図を考えるのがとても楽しい。アニメはアリエスの日誌(モノローグ)が増えていたり、手を繋ぐ行為をより強く印象付けていたり、ウルガーと父との決別が描かれていたり、他にも色々。

アニメではウルガーはカナタを「キングオブアスリートの器だ」と評していましたが、原作ではここの台詞、カナタはキングオブアスリートになるために生まれたという趣旨なんですね。
この変更は興味深いところ。
原作は生まれを強調することで親の意図を超える生き様を感じさせるのに対し、アニメでは純粋にカナタ自身の人間性や仲間からの絶対的な信頼を感じました。
とても良いアニメ化だったと思います。

{/netabare}
(2019.11.30)

投稿 : 2019/12/07
閲覧 : 223
サンキュー:

40

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