「響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
3116
棚に入れた
13839
ランキング
39
★★★★★ 4.2 (3116)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.1

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ネタバレ

USB_DAC さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

感動的なアンサンブル

物語:
吹奏楽部の内側を知ることが出来る大変貴重な作品。

冒頭に明確に示される全国という目標。それに立ち向かう顧問と部
員たち。次々と訪れる苦難を乗り越え、懸命に楽器と向き合う姿は
実に清々しい。そして部活動なら間違い無くあるだろう陰湿な部分
を一切描かなかったことは、この作品の爽やかさの一因。良い意味
で非常に京アニらしい作品です。

作画:
業界屈指の美しい作画。女性たちは可愛らしさを重点に輝く瞳、そ
して薄っすらと頬紅を描き、男性はリアルなイケメンばかり。一部
を除き眉間を隠さない前髪も爽やかでとても好印象です。また人物
の動きに応じて微妙に揺れ動く楽器など、手抜きの無い細かい描写
には驚きを覚えました。

次に驚いたのは眼鏡の描き方。流行りのアンダーリムではなく、全
員がアッパーリムをかけている。こういう一見さり気ない拘りから
も、この作品に注がれる制作側の強い思いを感じます。    

声優:
パーフェクト。浮いている人物は全くいません。特に櫻井孝宏さん
演じる滝先生。いつもは厳しい「粘着イケメン悪魔」が時折見せる
優しさと微笑み。彼の声質にピッタリの役です。     

音楽:
OPの「DREAM SOLISTER」。 明るく華やかな楽曲は     
作風に非常に合う仕上がり。そしてEDの「トゥッティ!」。野を
駈け廻る4人の乙女たちは、まさに青春の謳歌そのもの。

因みに劇中の合奏は神奈川県洗足学園音楽大学の1年生で編成され
たバンドとの事。序盤慣れない演奏から息の合ったコンクールの成
熟した演奏まで、段階を踏んで上手くなっていく演出は見事です。

キャラ:
始めは鬱陶しく思えた優子(CV山岡ゆりさん)。麗奈の高い技術
を認め、決して彼女には叶わないと理解しながら頭を下げてまで香
織を推す姿。「 トランペットが好き 」。そう語る彼女にひと華持
たせたい。その為なら例え悪者になろうとも虚勢を張れる。そんな
強さを彼女には感じます。

そしてオーボエと同じダブルリードを使い、合奏に厚みと温かみを
もたらす重要な役割を受け持つファゴット。演奏技術も同じく難解
とされるこの楽器を担当する喜多村来南。容姿も端麗。なのに終盤
ワンカットのみで台詞は殆んど無し。色んな意味で勿体ないと感じ
たキャラクターです。せめて一言二言でも良いから、何か目立つ台
詞を与えても良かったんじゃないかと正直思いました。



[感想]

決して駆け足にならず、ひとつひとつのエピソードを丁寧に描く構
成はとても分かり易く親切な作りだと思います。

全国出場という目標に対して、この弱体化した吹部を如何にしてそ
のレベルまで仕上げ、どうモチベーションを上げていくのか。高み
を目指せば目指すほど、指導方法に対する不満や意見の相違が生じ
るのは当然のこと。しかし、とても理にかなった滝先生の指導方法
は、この部の一層の飛躍を期待させるものです。

4話の序盤、サックス担当の瀧川が彼の指導方法は好きだと語って
いた様に、時が流れ少しづつ自身の成長に気付く者が現れるにつれ、
彼への評価は自然と良い方向に向かって行く。5話で久美子はそれ
を単純な見返りと語っていましたが、まさにその通りだと思います。

「上手くなりたい」「悔しくて死にそう」

こんな言葉は真剣に物事に向き合っていなければ、絶対に発するこ
とはないと思います。「本気で全国に行けるって思っていたの?」。
つい漏らしてしまった冷めた言葉に後悔する久美子。現実を突きつ
けられた今、漸く麗奈の気持ちに気付き、自身の思いを爆発させる。

「私、ユーフォが好き」

そう変わって行く彼女たちには感動すら覚えます。

いつしか部員達には高い向上心が芽生え、緊張から来る高揚感に自
然と打ち勝ち、やがて強い信頼で結ばれている事に気付かされる。

そしていざ府大会。いつもの厳しさは消え、精一杯部員を信頼する
言葉を投げかけては、その場の緊張を解そうと笑顔を見せる滝先生。
彼のこの優しさは高演奏への期待と緊張を煽ります。

それにしてもこの合奏の描写には驚きました。自由自在に動き回る
カメラアングルが、目を輝かせ生き生きと演奏する部員たちを映し
出す。一音一音にピタリと合う指の動き。揺れ合う身体と楽器。曲
の息遣いを見事に表現する指揮者のリズムなど実に生々しい。

この作品の視聴を切っ掛けに、暇を見ては様々な高校の吹奏楽を観
る様になりました。プロの完成された合奏も良いものですが、3年
という限りある時間の中で懸命に練習を重ね、一音一音を必死に奏
でている部員たちがこの場に居るのかと思うと、どうしても胸が熱
くなってしまいます。

改めて吹奏楽の素晴らしさを感じると同時に、京アニの確かな技術
力を再認識する凄い作品でした。




以上、拙い感想を拝読頂きありがとうございました。


2019.12.18  一部修正

投稿 : 2019/12/18
閲覧 : 309
サンキュー:

40

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