「BEASTARS(TVアニメ動画)」

総合得点
77.5
感想・評価
351
棚に入れた
1525
ランキング
602
★★★★☆ 3.8 (351)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

BEASTARS  レビュー

あらすじ(公式サイトより引用)

肉食獣と草食獣の共存する世界。
食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。
犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。

そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。
次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。
『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。
だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。

夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――
小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。

その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。
我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。
腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。
しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。

彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?

オスとメス、肉食獣と草食獣。
それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

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さて、この作品は話題作でしたね。
私もこの作品を視聴している期間に、ミュージカル劇「アラジン」を見に行く機会がありまして、興味深く視聴できました。
なので、作品内の学園祭での劇における、舞台の使い方、役者の上手さ、物語の意味など、私が現実で見た劇との差異を考えたりしてました。まあ、アラジンは愉快なミュージカルだったため、全てが共通の目線で比較できるわけではないのですけどね。

さて、本作の話について、タイトルが獣とスターでBeastarという造語になっています。
タイトルの響きと本編が演劇部を舞台とした物語であるため、演劇的な花形(star)という意味かと思えば、実はもう少し大きな枠でstarという言葉を捉えて、人気を持った獣が社会的に地位のある統率者のポジション、そんな存在がビースターであるようです。私がこの設定を見て思いついた人物は、アーノルド・アロイス・シュワルツェネッガー、俳優から知事になった人物ですね。そういう事例があるからこそ、本作品の設定に違和感がないのかもしれません。

さて、スターの意味は花形、そして人気者、人気を得たものがステップアップして人々を導く存在になる、そういった意味をふくんでいることがわかりました。
では、Beast、獣である事については?
そりゃ、獣が二足歩行で歩く世界は面白いよねっていう企画だったかもしれません。私もこの作品を見たときシルバニアファミリーのアニメとかしまじろーとかムーミン(あれは動物?)熊のぷーさんを思い浮かべました。
人間の作った物に囲まれて生きる動物たち、その設定自体は奇妙であるけれども新しさはない。
そこでstarという言葉と掛け合わせ、人々を導く獣達、というタイトルになった。
シルバニアやしまじろーが道徳や生き方がわからない子供に教える知育、バラエティ番組であれば、本作は生き方に迷う大人に対して、同じく生き方に迷ってる獣たちを描いてみて、先頭に迷わず立ち自然と人を導く生き方を試行錯誤しながら提示する作品でした。
その試行錯誤とは、一人は迷わずに目標に向かう上昇志向の高いルイ先輩、そして、迷いながら目標もなく生きてる主人公レゴシ。
一見Beastarに似合いそうな人と、似合わなそうな人。二人を描くことで、何が人を惹きつけ、人が付いてくる、導く存在であるか、それを試行していきます。作者が明確な答えを持っていて作品を作っているかはわかりませんが、Beastar、人を導く存在というのは、生半可な人物像では人々はついてこないでしょうね。

さて、ちょっとありきたりだと思いますがテーマとして感じた「理性と本能」について考えていきます。
テーマには、「獣の本能」という物が含まれ、それを抑える「理性」との衝突がありましたね。「本能」に対して戦うという意味でルイやレゴシは同じテーマをもっていました。
肉食獣は肉食獣らしく、草食獣は草食獣らしく、あるいは同じ種族の動物と仲良くといった仲間の線引き、その社会的な流れに反発するのが、ルイやレゴシ。ルイは草食獣として肉食獣に食われる存在という恐怖の本能からの脱却。レゴシは、肉食獣として草食獣を食うという欲求の本能からの脱却。それは物語上は演劇という表現手法、恋愛という物語でその過程を描きました。
本能に対して立ち向かう力、理性の力という部分が、ビ―スターズの選定に大きく関わってくるのだろうなと感じましたね。


さて、どうでしたでしょう。「BEASTARS」。
獣達の様々な特有の性格を活かした、屈折であったり、欲求に忠実であったり、矛盾を抱えた人物を描いています。その中で、人が理性と本能、そのどちらにも折り合いをつける回答を求める試行、回答を導く存在となる物語を描いていたと思います。
ライトにレゴシが本能に邪魔されながらも進む恋の物語としても楽しめます。レゴシの迷っていながらも大事な所でカッコよかったり、優しかったりのキャラクター性の良さ、三角関係に発展する恋愛の展開に期待を膨らませながら見れることがお勧めですね。

投稿 : 2020/03/01
閲覧 : 270
サンキュー:

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