「盾の勇者の成り上がり(TVアニメ動画)」

総合得点
88.1
感想・評価
1168
棚に入れた
5458
ランキング
130
★★★★☆ 3.7 (1168)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

絆と心の物語。

【概要】

アニメーション制作:キネマシトラス
2019年1月 - 6月に放映された全25話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説を改訂し、
フロンティアワークスとKADOKAWA メディアファクトリーの共同で編集・発売されている、
MFブックスから刊行されているアネコユサギによるライトノベル。
原作イラストは、弥南せいらが担当。
『コミックフラッパー』にて、漫画家・藍屋球によるコミカライズ版が連載中。
監督は、阿保孝雄。

【あらすじ】

主人公の岩谷尚文は実家暮らしの大学二年生。
人よりも多少、オタクであるという自覚の強い彼は、
見限られた自分と違い両親の期待を背負わされて受験疲れで不良化した弟を、
とある方法での息抜きを教えて脱不良化に成功し、
その弟が有名進学校に合格してその後も順調であるという手柄で、
両親から何も言われず甘やかされ、自由気ままな大学生活を送っていた。

その尚文の懐の寂しいときの金のかからない趣味として、
古本屋での立ち読みと図書館での読書がある。

ある日、尚文に事件が起こった。

“四聖武器書”

図書館で本を漁っていると本棚から落ちてきた何やら古そうな本を読んでみる尚文。
中身は世界を救うために異世界から四人の勇者を召喚するというファンタジー小説だった。
召喚された四人の勇者はそれぞれ武器を所持していた。剣、槍、弓、そして何故か防具の盾。
それぞれの勇者の話を一瞥して、盾の勇者の章に進むとその先は白紙の頁が続いていた。
そして、尚文は光に包まれて気がつくと三人の青年と共に異世界に召喚されていた。
召喚したローブの男たちに請われて、尚文たち四人はメルトマルク王国の国王に謁見。

この世界には、終末の予言が存在していて、予言には世界を破滅に導く波が書かれている。
波とは次元に亀裂が発生し、大量の凶悪な魔物がそこから世界になだれ込み、
魔物たちを撥ね退けなければ世界が滅ぶという。一度目の波は撃退したものの被害が大きく、
波は更に強力になり王国の騎士団や冒険者たちだけでは災厄を阻止することが出来ないという。
そこで四人の勇者が召喚されて、王国からの支援、
そして功績に応じた十分な報奨の約束が話された。

ラノベの主人公になった気分で、明日からの大冒険に心を弾ませる尚文であったが、
このとき彼はまだ何も知らなかった。尚文に強制された職業“盾の勇者”の立場。
王国の根っこにある問題。そして人を陥れる数々の悪意と陰謀の存在を。

【感想】

なろう原作の作品としては作画のレベルは申し分なく、
2クールかけてダイジェスト気味にならずに物語が進むということで恵まれたアニメ化でしょうね。
原作の先の展開が後付設定の印象を持たれないように、複数のキャラの登場の前倒しがあったり、
伏線としての台詞や表情で一部の登場人物の内心を示唆する演出があったり、
外伝ストーリー“槍の勇者のやり直し”(本編では噛ませ犬要素が強い北村元康が主人公)
で始めて明らかになったエピソードを本編で仄めかしてみたり、
原作を非常に大事にしたシリーズ構成であったと思います。

国王と剣、槍、弓の三勇者の愚行、そして卑劣極まりない第一王女の悪行も、
実はそれぞれに物語の中での意味があって、後の展開で回収されていくのですが、
1期時点では未解決なままですので、この作品がどこまでアニメ化されるのか判りませんが、
しっかりと続いていかないと観ている側としても困ったことになりますねw

アニメでは、尚文と三人のヒロインたちの絆が一際強調されていたと思います。
異世界での仕打ちで一度は人間不信に陥った尚文が彼女たちの心に触れて癒やされていく。
一見ハーレムっぽさが無いでも無いですが、人を信じる信じないに比重が置かれていますね。

特に重点的に描かれていて目についたのが主人公の尚文とメインヒロインのラフタリアとの絆。
ただ、ラフタリアの尚文に対する重たい恋慕を何度も何度も言葉で繰り返し表現しすぎて、
個人的には多少くどく、言葉に頼らない演出で処理できなかったかな?と思いました。

絆の強調で最も顕著であったのは15話目にあるラフタリアの悪い貴族への敵討ちで、
どんな悪人相手だろうと人間には不殺な設定が唐突に入ってきた彼女が深刻に苦悩し、
そのあと、尚文の言葉に救われるというオリジナル展開に違和感がありますね。
web版でも書籍版でも漫画版でも仇の貴族への成敗にラフタリアの躊躇いが存在しないのですが、
そこはスタッフの独自解釈で、そのような展開になったのでしょうけど。
丁寧にやりすぎた上に暴走してしまった気もしないですが、
脚本会議で原作者の了承があった可能性もありますので、なんとも言い難いですね。

あと、最初の問題が片付いた後の終盤がダイジェスト気味になったのも残念ですね。
終盤で削除されたエピソードは2期移行に組み込むという前提であるならば良いのですが。

チート無双モノになりがちな異世界転生物語には珍しく、
登場人物の感情がウェットで敵対的な人間関係が多く、
一応は、その人間関係の修復と成長の物語でもあるのです。

長い物語ですので成長面も含めて腰を据えて付き合っていく必要があり、
アニメがどこまで続くか本当に判りませんが見る人も大変だなと思いました。
このスタッフであれば結構安心できますけどね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/01/21
閲覧 : 374
サンキュー:

61

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