「劇場版 GのレコンギスタⅡ ベルリ 撃進(アニメ映画)」

総合得点
77.1
感想・評価
14
棚に入れた
73
ランキング
635
★★★★★ 4.1 (14)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.2

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ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

注目すべきはキャラクター。思い切ってバトルシーンを削っても良い気がしてきた…

2020年2月公開のアニメ映画。「劇場版 GのレコンギスタⅠ 行け!コアファイター」続編です。
TV版の6話から11話までのストーリーを再構成しています。
時期が時期なだけに、他の映画作品と同様に興行収入に響きそうで心配ですね…。

今回はコンパクトに纏めたというより、余韻を楽しみたいシーンを削ってしまったように感じた所があって少し残念でした。
音楽の使い方が相変わらず忙しなくてあまり好みではないのも勿体ない。
ベルリとアイーダの心理を明確にした構成はⅠから一貫しており、メインキャラクターに注目すると楽しめると思います。


【戦闘シーンについて】
{netabare}今回は劇場版を見てからTV版を復習してみたのですが、戦闘回数が多く尺が圧迫されていて、ストーリー展開は駆け足に感じてしまいました。……というか、身も蓋もないけどバトルシーンはもっと削っても良いような…
純粋にSF冒険譚としての方が、個人的には面白いし興味深い。会話シーンやドラマパートがもっと見たいなあ。
船の修理にモビルスーツを使うのはすごく好きです。ハッパさんに誰も頭が上がらないのも良い。

TV版の再構成だからかな?大画面で見るとカメラが近くて戦闘シーンが見にくかったです。
それから、デレンセン戦の台詞はテレビの方が好き。わかりやすさ優先ならこれで良いのだとは思いますが。
Gセルフ、映画で丁寧に描き直されると瞳の内部構造の緻密さもあって強すぎて恐ろしい…敵に同情したくなるほどえげつない活躍ぶりでした。
改めてマスク大尉は可哀想やな(汗) {/netabare}


【ストーリーについて】
今作は起承転結の「承」に当たるため、どんどんスケールが広がってきていますね。展開がハイペースでついていくのが大変…。
ですがキャラクター心理に関しての追加シーンを的確に入れ込み、アイーダからベルリへの感情を若干変更しています。
{netabare}
まず軍拡の様子やアーミィのきな臭さはわかりやすくなっています。
地上の風景の美しさや一般の人たちの生活が見られるのも良い。日常と軍事との境界の曖昧さが描かれるのがとても好きです。こういうシーンは削りませんよね、富野監督は。TV版の時から世界名作劇場みたいな雰囲気が好きだったので私は嬉しい。

「祟り」という言葉はTV版にもあったのですが、周囲の反応が少し違っていましたね。
TV版だと艦長が嫌そうな顔をするんですけど、劇場版だとそのシーンは無くなりました。ベルリやノレドの言葉に「祟りを止めないといけないでしょ」というような答え方に変更されています。
アメリア側の人間(この発言は確かアイーダだったかな…?)も、事態が事態だし呉越同舟の状況なので余計な波風を立てません。艦内の雰囲気は少し穏やかになりました。 {/netabare}


【キャラクターについて】
この時期になると、ベルリとアイーダは少し視野を広げ、自分で考えるようになってきます。
{netabare}
アイーダが強力なメカに対して「確かに助けられたけど、こんなものがあって良いのかしら」と言うようなシーンが2回あります。技術の発展が必ずしも正しいわけではないのかも?と考え始めるのですね。
アイーダにはさらに自分自身を省みるシーンも増え、周りに目を向け始めるのがより強く感じられました。
恩師を殺したベルリの姿を目にしたことでアイーダの心理にも変化が生じ、TV版に比べてベルリへの態度が棘の無いものになっていたり、周囲からの要求と現在の自分の乖離を自覚しているらしいのもわかってきます。

ベルリの心理もわかりやすくなりました。
ベルリは器用な割に頼まれたら断らないし、結構貧乏くじ引かされてるんですよね…。
デレンセンを殺してしまった次の朝には仕事に追われてベルリは考える暇もない。曲がりなりにも軍事行動中のメガファウナで、ベルリはGセルフのパイロットとして働かざるを得ない。
その後にケルベスとベルリの会話が追加され、状況を整理すると共に二人の心理をよく描いています。このシーンではキャピタル・アーミィに対するケルベスの反発も強く感じられました。
母子関係にもきちんと尺が割かれていて好き。母の愛情の強さとスコード教を深く信じるが故の脆さを知ったことで、ベルリは精神的に一歩自立し、自分の意志でメガファウナに残ることを選ぶのですね。

6話分一気に見られるせいもあり、ラライヤが段々回復しているのもTV版より解りやすくなっています。
マスクの情けなさは強調されていますが、都合良くアーミィに使われてしまっているのを再認識できました。TV版から大きく変更されたわけではないのですが、不思議と飲み込みやすくなっています。 {/netabare}


今回は6話分の内容を詰めてありストーリー展開にはあまり変更は無いので、どうしても第1部より切り張り感がありました。
反面、心理描写の追加はとても良かったです。
第3部以降はもう少し余裕も出ると思いますし、新規パートが多いと聞いているので、もう少しすっきり纏めてくれることを期待しています。(2020.3.22)

投稿 : 2020/03/22
閲覧 : 328
サンキュー:

7

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