「東京マグニチュード8.0(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
2690
棚に入れた
13807
ランキング
200
★★★★☆ 3.8 (2690)
物語
4.1
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

当たり前の大切さ

 東京タワーの倒壊、ビルの崩落など、キャラの危機的状況を作るためのドラマティック展開こそ
あったものの、ヒャッハー的な暴徒や極限状況を仕切るプチ独裁者が登場したり、主要キャラが
超人的行動で危機を脱するといったような展開はなく、かなりリアリティを感じる内容。
 防災意識を啓蒙するような番組で大地震をシミュレートした再現ドラマが流れることがあるが、
あんな雰囲気に近いものを感じた。
 制作時期が阪神・淡路大震災後ということもあってか、高速道路の崩落、震災後の火災など、
阪神・淡路大震災の時の被害を思わせる描写が多々。
 もし東日本大震災後に制作されていたら、地震発生時に主要キャラがお台場にいたこともあって、
津波の描写などもあったのではないか?と思う。

 展開的にはお台場で震災にあった小野沢 未来と悠貴の姉弟と日下部 真理が自宅に帰るまでの
話で、主要キャラが3人だけとかなり絞られたもの。
 テレビ放映時は震災前から震災後の序盤の未来の態度がネットなどで批判されていた記憶が
あるが、あれぐらいの年齢なら反抗期であんな態度を取るのもむしろリアリティがあるなと
思ったり。
 そんな未来が、震災により家族と普通に会えるということがどれぐらい大切かということか
判ったり、人として成長していく過程が良かったりする。マイナス要素の中にもなんらかのプラスが
あるみたいな。

 基本的展開は割と良かったんだけど、細かいプロットが色々と気になるところが。
 まず3人のいずれも突発的な単独行動が多すぎ。そういうことをしないような約束をしても何度も
それを破るような展開。キャラの危機的状況を作りたいのだろうが、何度も同じようなことの
繰り返しは話作りが下手に思えてしまう。

 そして、悠貴の死。未来の両親との再会や真理の子供との再会が、再び家族に会えた喜びを象徴
するものなら、悠貴の死はもう会うことのない悲しみを象徴するものとして、作品内では充分に
意味のあるものだとは思う。
 それでも未来が変わっていく原動力は「お姉ちゃんとして弟を自宅に連れ帰る」というもの
だっただけにそれが報われないのはちょっとやりきれない感が。
 あと作品外の事情も踏まえてしまうが、直接的被害はなくても多くの日本人は現実での震災による
悲しみは散々見聞きしているはずで、個人的には「あえてここで描かなくてももう・・・」という
感もあった。

 死そのものとは別に「実は悠貴は病院で死んでいた」という演出も気になるところ。
 退院後の動き回る悠貴は、作品世界では幽霊が存在する世界観なのか、未来が現実逃避で見た
幻覚なのかはよく判らないままだったが、まあ映画「シックス・センス」などに代表される
サプライズ演出。
 視聴者を驚かせるための演出なのだろうが、個人的にはサスペンス作品ならともかく、比較的
リアリティがあり、人間ドラマに重きを置いていたり、防災意識を啓蒙する要素もあるこの作品には
不要な演出に思えた。

2020/04/26

投稿 : 2020/04/26
閲覧 : 239
サンキュー:

6

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