Tnguc さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
クラウドファンディングで支援したい女の子No.1
~
両親との死別により祖母の旅館へ引き取られることになった少女・織子(おりこ/通称・おっこ)が、旅館に住まう幽霊の少年・ウリ坊と出会うことで若女将としての道を進んでいく物語。おっこの一生懸命で一直線な性格も相まり、すぐに若女将としての頭角を現していくため、修行的な描写こそはあるものの、あらすじから想像されるような成長ドラマは殆どない。訳あって色んな問題を抱えた客ばかりがやってくる旅館に対して、誠実な態度と言葉遣いで接するおっこの大人顔負けな姿はまさに児童文学のお手本のよう。自らの悲劇的な立場やトラウマよりもお客様(他人)を優先する優しさは、もはや旅館が持つ信条(誰も拒まずにすべてを受け入れる包容力)だけではないおっこの本質的な自己犠牲愛があり、ポリコレやサイレント・マジョリティなどで騒がれている昨今に反して、おっこは何もかもが立派で美しい。ただ、最初にも言ったように、この作品はおっこの献身から見える道徳的な要素がメインであり、子どもの成長や立志伝などは全く描かれていないため、似たような設定の「千と千尋の神隠し」みたいな、孤独な環境で成長する子どもの過程や、それが物語の結末に直結している力強いドラマ性などはない。おっこは、苦手意識やトラウマこそはあるものの、人としては初めから完成されているため、両親の死に対する悲しみも、挫折しない強い精神力で吹っ切れている。終始一貫として、おっこはそういう偶像として徹底された(させられた)キャラクターなため、おっこ自身は立派の極みだが、人生自体はとても不憫に見えた。また、この作品はおっこの慈愛を中心に展開させている歪みからか、物語がやや力任せになっていることは否めない。お姉さんが車でやってくるタイミングや、幽霊の存在意義、最後に登場する家族客に対する配慮など、全てゴリ押し。(というか初対面の子どもにそんな話するかおっさん?)。ゆえにドラマとしてはやや薄味に感じた。ただ、描写自体は素晴らしいアニメーションで補完されているため、涙腺を揺さぶるパワーは十分にあると思う。何よりもジブリ畑の著名なアニメーターたちが参加しているだけあってどのカットを切り取って見てもおっこは愛くるしい姿で描かれていて、TV版とは比べものにならないくらいに健康的な可愛さが映し出されている。
個人的評価:★★★★☆(4.0点)