「二ノ国(アニメ映画)」

総合得点
60.5
感想・評価
79
棚に入れた
195
ランキング
5699
★★★★☆ 3.1 (79)
物語
2.6
作画
3.6
声優
2.7
音楽
3.8
キャラ
2.8

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8
物語 : 1.0 作画 : 2.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

夢もワクワクもなくイベント処理するだけのふわふわアニメ。

【概要】

アニメーション制作:オー・エル・エム
2019年8月23日に公開された劇場アニメ。

原作は、開発元・発売元がレベルファイブのニンテンドーDS用ゲームソフト。
監督は、百瀬義行。

【あらすじ】

足が動かず車椅子生活の優等生・ユウ。
バスケ部のキャプテン・ハル。
快活な少女・コトナ。

三人は仲のいい幼馴染だった。

ある日、通り魔に刺されたコトナを巡って、
救急車を呼んで待とうというユウと自分で病院に運ぼうというハルで対立する。
コトナを抱きかかえて車道に飛び出すハルを追いかけるユウ。
トラックに轢かれそうになる三人ではあるが、
気がつくとハルとユウは異世界「二ノ国」に居てユウは歩ける身体になっていた。

コトナも、この世界にいるに違いないと酒場で情報収集するふたり。
この国の姫であるアーシャの絵がコトナにそっくりであることから、
ふたりは王城に向かうのだった。

【感想】

酷く評判の悪いアニメ映画として、2019年度では『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
と競っている作品のようですが、年間ワーストアニメ部門では個人的には『薄暮』推しですかね。
もっとも『薄暮』は自主上映作品とか同人アニメとか言われていますが。

『二ノ国』は、スタジオジブリがゲームのアニメーションパートを担当していて、
ゲーム制作に参加しているジブリ出身の百瀬義行氏がアニメ映画の監督を任されていて、
ジブリアニメでお馴染みの久石譲氏が作曲しているのですが、
PVなどみるに劣化ジブリな絵柄と俳優キャストで釣るのか?というのが本編視聴前のイメージ。

三角関係 + 王道ファンタジーなのかな?と思って見てみました。

さて実際見てみると、男女の恋愛の機微も友情描写もおざなりでかなり素っ気ない。
登場人物の思考や感情が無いに等しくて、
脚本を書いた日野晃博氏の設置したレールの上で喋らされて行動している単純さ。

片方の世界で死にそうになったら、もう一つの世界に移動する、
とか根拠のない推察で何の保証もないのに躊躇わずに自殺行為をすると、
二ノ国(ファンタジー世界)から一ノ国(日本)に戻ってしまうなど、
いきあたりばったりの行動が何故か全部正解になってしまう。

各事柄の結論に達するまでの熟慮と煩悶が全く描かれてないために、
妙にあっさりした印象を受ける。

姫の命の恩人(ユウたち)に感謝の意を示しながら、
大臣の口車ひとつで罪人として扱う国王。
不法侵入者(ユウ)を姫を狙う下手人扱いしながら、
潔白を証明したいなら姫を守ってみせよ!と姫の護衛につける大臣。
展開と結果ありきのちぐはぐな行動が多すぎ、
キャラが脳みそが付いてる人間に見えずにストーリーの駒でしかない。

アニメは絵のお芝居、声優の演技、伴奏などで盛り上げて視聴者を魅了するものですが、

主演声優のユウとハルと、そして特にコトナ(&姫)の芸能人枠が足を引っ張っている。
脇役に本職の声優を多数起用しているために声の演技力の違いが際立つ。

このアニメは、主人公らの根拠の無い思いつきに合わせて都合よくコロコロ変わる設定。
説明台詞の羅列が過剰であり、キャラが台詞と展開の奴隷のよう。
更にはキャラの作画表現も感情の籠もった人間に見えずに大して良くもない。

とにかくトチ狂った展開と言動が多すぎて登場人物の誰にも感情移入できない。

一ノ国と二ノ国で魂がつながってる対の存在がいて、片方が命を落とせばもう片方も死ぬ。
という設定を見せておきながら、本来死ぬはずだった片方が死ななかったために、
もう片方が死ぬという話になり、話の都合でコトナが急に余命三ヶ月になったりする。
更には魂がつながっている姫を殺せばコトナが助かるといった根拠のない思い込みに操られて、
姫の命を狙う親友・ハルの行動が特に支離滅裂で知能を失っているようにしか見えず、
お前は何を言っているんだ?状態。展開の都合で病気になったり引っ込んだりする、
ご都合主義満載なサイコなストーリーに絶句することだらけ。

キャラの行動が正しくない&めちゃくちゃであっても、
それが感情や倫理性の歯車が狂った人物として扱われている、
たとえば『火垂るの墓』の清太のように、
若い未熟さなゆえの無理解や非協調性が悲劇的な結末を生むみたいな、
因果関係をもたらすストーリー上の意味があるのなら理解可能ですが、
こちらでは、ご都合主義の連鎖でなんとかなっちゃう展開で、
キャラの行動から何も感じることがない虚無感。

人間の描き方にリアリズムが皆無で超薄っぺらい。

ユウの足が動かない障碍者設定が物語、特にユウのメンタル面に重要な意味を持つと思いきや、
実は何も意味が無いという適当さ。
『命を選べ!』のキャッチフレーズも重要テーマかと思いきや、単なるキャラの勘違いでしかない。

そもそもキャラ設定や作品テーマに真摯に向き合ってない、万事適当さ。
言い逃れの出来ない、“ご都合主義”“ガバガバ設定”のオンパレードで、
現実に障碍を抱えて生きる人間を愚弄するかのような展開。
人間関係のドラマも出来てなければ全部ファンタジーのご都合主義で逃げてしまう。

そして、劣化ジブリ的な中途半端な作画で演出面も甚だ凡庸で、
多すぎる欠点を覆い隠すほどのハッタリも存在しない。

特にシナリオの悪さにおいてはこれまでみた全てのアニメでも五指に入る出来で、
未見のひとに対して『期待しないほうがいい』と断言できる本当にイマイチな作品でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/05/18
閲覧 : 342
サンキュー:

33

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