「イエスタデイをうたって(TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
293
棚に入れた
926
ランキング
819
★★★★☆ 3.7 (293)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.6
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

真ヒロインとともに恋愛の肝が表現された作品

世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:8
キャラクター:8
情感:6
合計:36

<あらすじ>
新宿にほど近い私鉄沿線の小さな街で、悩み、迷いながらも懸命に生きる4人の男女の姿を描いた、人生と愛のストーリー。
ほんの少しの誤解がすれ違いを生み、それぞれの想いが錯綜する。
49%うしろ向き、51%まえ向きに生きる、日常のものがたり。
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大学卒業後、定職には就かずにコンビニでアルバイトをしている魚住陸生。
特に目標もないまま、将来に対する焦燥感を抱えながら生きる陸生の前に、ある日カラスを連れたミステリアスな少女ハルが現れる。
ハルの破天荒な振る舞いに戸惑う陸生。
更に、かつて憧れていた大学の同期生森ノ目榀子が東京に戻ってきたことを知る。
(公式サイトより)


恋愛系アニメはあまり得意ではないため視聴することが少ないですが、本作は恋愛系とも認識せずにおすすめの声を拾ったため視聴した経緯です。原作は90年代から連載開始したようですが、その辺の知識もなかったので、黒電話の登場シーンでいつの時代だ!?と思ってしまいました(笑)。

さて、本作は一見、男女がくっついたり離れたりする平凡な恋愛物のようですが、リアルな面や含蓄ある面もあり、思春期のよき教材になると思われましたし、人生において伴侶が見つかっていない(が、結婚願望はある)方や恋愛不器用な方にも視聴をおすすめできると思いました。

{netabare}本作の最終話を見て、恋愛って何だろうというそもそもの疑問に立ち帰り、納得できたところが個人的なポイント。

まず、恋と愛の違いを思い出してみると、こんな区分けができますよね。
恋…利己的、思い込み・幻想的(相手の美化)
愛…利他的、現実的(相手の許容・妥協)

恋愛というのは、恋から始まるものですが、それを愛に変えていくことかなと思っています。お互いにそれができればハッピーエンド。どちらか一方でもできなければ、歪んだ形のカップルになり、それが結婚に至るまで(あるいはさらにその後)の障害になるといったイメージ。

本作では、ヒロインのしな子の態度がすっきりしないのですが、彼女の陸生への対応は、付き合う前も後も、恋の範囲を超えられていませんでした。陸生の悪いところも見ている点で冷静さはありますが、陸生と付き合ってから浪君に見つかった時、彼女は浪君を追いかけているように、陸生への気持ちに芯があるように見えません。

一方の陸生も、しな子と付き合っていても、しな子を本当の意味で振り向かせる努力をしていません(これは、自分のためだけでなく、しな子のためにも行うべきと思います)。学生時代に片想いをした人(幻想)との認識を変えていこうとしていないのです。

なので、最終話で二人が出した結論はかなり納得がいきました。展開が急すぎる、理解できないとの意見もあるようですが、必要な伏線はRP(レディーパーフェクトリー)だったと思っています。とはいえ、最終話はもっと晴(ハル)の幸せな姿を見たかったという気持ちはありますけどね。(原作で、12話Bパート以降がもっと描かれているなら興味あります)

本作の真ヒロインはハル。それは、エンドクレジットの並び順を見れば実は最初からわかるところですが、中終盤の痛々しさは見ているほうも辛く、どうなることかと思いました。

ハルの陸生に対する行動は、既に愛の領域です。もちろん、ハルも一目ぼれから始まっているため、恋としての不安定な部分はありますが、局所で元気を振りまいて陸生を励まし、陸生がしな子と付き合っている現場を見ても彼がそれで幸せなら良いという姿勢を見せていました(ベーグルを落とさなかった所も受け入れる心根が感じられた)。この姿勢が最終的に陸生の気持ちを動かしたということです。

現実においても、カップルの一方がもう一方の仕事ややりたいことを支援する形で身の回りの世話などしていて、そのままゴールインするという一類型があって、献身すること・できることは、恋愛を進められるかのひとつの判断基準になりえます。もちろん、失敗すれば自己犠牲にすぎず、みじめな気持ちになるだけなので、それが嫌だと思うかもしれませんが、それが嫌なら逆にその程度とも考えられます。

恋愛は他方でシーソーゲーム的な観点もあり、片方が重くなりすぎてもうまくいかないものですし、恋に落ちた側が最初に献身すべき側になるので、実際陥ると大変ですよね。

ちょっと時代背景の話に脱線しますが、古臭さを感じるのは黒電話だけでなく、喫煙がどこでもできるところや、相手の家の前で待つというトレンディドラマ的シーンが目立ったところです。現代だとスマホ・SNS等の普及で、相手への連絡は簡単ですし、ストーカーという概念の広がりもあって、少なくなった行動でしょう。

待っている時間が長ければそれだけ相手のことを想っている、というのは残業している人が偉いという勘違いと似ていて、この面での効率化は良いと思いますが、それがもたらす風情みたいなものがなくなる側面はありますね(寒い中待っていたら、家に入って暖まる展開がありうる)。

他の登場人物、陸生のライバル役として登場した湊(ミナト)はハルに告白して玉砕し、颯爽と退場していきましたが、けじめをつけて次に進みたいという真っ直ぐな恋心に共感しました。
6話だけ登場した元カノの柚原も、陸生の状況を把握して早く出ていく配慮を見せる良キャラでした(しな子とハルがお見舞いに来て遭遇するシーンはお約束ながら楽しかったです)。
浪君はしな子への態度などで反感を買われそうですが、しな子がいまだに早川家に料理を作りに行っている行動が引きおこしたもので、浪君は悪くないと思います。今後二人の関係がどうなるかは未知ですが、とりあえず陸生の退場は良い方向に向かうのではないでしょうか。(こっちはまだこれからでしょう)
その他、コンビニの先輩や大学時代の友人、ミルクホールのマスターなどもモブになっておらず良かったです。あと、カンスケもね(最終話GJ)。

あらすじを書くために公式ページを開いたところ、まず出てくる「愛とはなんぞや?」とのフレーズに満足。{/netabare}
全体的に、等身大の恋愛が描かれていて、結論部分も含めて現実的にまとめられており、真ヒロインの魅力とともに恋愛の肝をしっかりと表現されている作品でした。

(参考評価:3話4.2→8話4.1→9話4.0→12話4.2→調整4.3)
(視聴2020.6)

投稿 : 2020/06/25
閲覧 : 88
サンキュー:

29

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