ちょま さんの感想・評価
3.2
物語 : 1.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
バブル時代ってスゲー!
かつてこれまでにないくらい日本が好景気に湧いた時代があった…バブル時代である。
「値段が高かったから」という理由で機能もよく分からない高い車を買い、就活では企業説明会に行くだけで内定、仕事が多すぎて人手不足で倒産、公務員は負け組とかいう今からすると変態すぎな時代。
で、そんな中で生まれたOVAが本作。
とにかく金に物言わせたのだろう、作り手が趣味全開で好き勝手やってるアニメで、今からしたらよくもまあ商業ルートに乗せたもんだってレベル。
いや技術は高いと思うんだけど、内容が売る気ないでしょ。
機械生命と人類の大戦から1000年。かつての意識を持つ戦闘ロボが目覚め、少女と共に未だに残る邪悪な機械生命と戦いを繰り広げるというもの。
とにかく作画がすごく独特で、ロボットや背景がバンド・デシネ(メビウスとか)をそのままアニメーションにしたかのよう。質感や影を表現する線の入れ具合、パッキパキの配色、言ってみれば他作品で言えば「回想シーン」でしか使われなさそうな作画を、全編通してやってる感じ。これに関しては単純に見て欲しい。
普通なら絶対やらないこの作画の趣味全開ぶり。当然キャラとストーリーも趣味全開!
冒頭シリアス感出していて、戦闘ロボットも渋い声(家弓家正さん)でナレーション入れるんだけど、いきなり目覚めた瞬間「1000年経っちゃったんだな〜これが!」と軽快なセリフ。そのままそんなノリが続くので「!?…?…!…!?」と困惑したよ!
少女と出会い何かこう心通わせていくのかな〜絆が生まれていくのかな〜と思ったら、ロボがたまたま手に入れた「天津甘栗」を少女がちょうだい、ってするだけ。え、なに?なんなのこのノリ?
いや、機械生命とバトルはあるけど別にそれも特別見所じゃないし、キャラそれぞれの個性や目的みたいなのが全く噛み合ってない感じで、話は進んでるのに内容ゼロという逆にすごい結果に。
あ、ちなみにメインキャラは3人のみで、割と広さを感じる世界観なのにストーリーはこじんまりという印象だ。
なんだこの凸凹感、原作漫画があるらしいが原作はもっと違うのか?逆に知りたくなるぞ?
極めつけは全編40分くらいあるけどアニメーション本編は25分くらいということ。
え、じゃあ残りの15分くらいは?
①冒頭に謎の実写特撮パート
③エンドロール後に制作秘話(らしきもの)が語られる
のである!しかも別に面白くない内輪ノリ!ちなみにエンドロール映像も特撮製作中のみなさんが映し出される。たまにカメラ目線意識して!うわ〜!うわ〜!うわ〜しか言えねえ!
いやほんともうやりたいことやってんなこのアニメ!
正にバブルの時代も相まって作りたいものを作った!という心意気あふれる作品。ものを作るタイプのオタクにはかなり刺さると思うが正直オススメできないくらい変な方向に尖っている。
技術は高いよ、声優さんも今で言う大ベテランだよ、でも視聴は自己責任で!