「Dr.STONE(TVアニメ動画)」

総合得点
85.7
感想・評価
751
棚に入れた
3279
ランキング
218
★★★★☆ 3.8 (751)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

知的好奇心を呼び起こすかも?

【概要】

アニメーション制作:TMS/8PAN
2019年7月5日 - 12月13日に放映された全24話のTVアニメ。
原作:稲垣理一郎、作画:Boichiによって『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画作品が原作。
監督は、飯野慎也。

【あらすじ】

西暦2019年6月3日。高校生の大木大樹は女子高生の小川杠に対する五年越しの想いをぶつけて、
告白することを、幼馴染の親友で科学部部長の石神千空に伝えた。
校内のクスノキの下に杠(ゆずりは)を呼び出して告白を始めた瞬間、
謎の光に覆われて地球上の全人類が石化して活動を停止した。

西暦5738年10月5日。
大樹が石化を破ると、周りは森になっており石化した人間の成れの果てが散乱していた。
クスノキのあった場所に行くと石化した杠の姿が、そして幹に彫ってあった字に従って、
川を下ると半年前に石化から目覚めていた千空がいた。
豊富な科学知識を完全に記憶している千空。並外れた体力を持つ大樹。
二人で力を合わせて石化からの復活方法を突き止めて杠を、そして全人類を復活させる。
自分たちで地球上から失われた文明を復活させる。
と壮大な目的に立ち向かう少年たちの物語が始まった。

【感想】

『本好きの下剋上』のレビューを読んだらやたら名前が出てくる作品なので視聴開始。
現在、『ワンパンマン』の作画担当の村田雄介氏と組んでアニメ化された、
アメフト漫画の『アイシールド21』という15年ぐらい前の作品と同じ原作者。
ああ、うん?『Dr.STONE』は確かに稲垣理一郎氏の作品だわ!って思える特徴がちらほら。

主人公である石神千空はツンツン頭で口が悪い。悪巧みの顔をしながら頭脳担当で,
マッチョな連中をこき使っては、すげえ!大したやつだ!と言われる。
人使いが荒く憎まれ口だらけだが、自分も泥と汗にまみれて勝利に邁進する執念深さ。

前作の、名目上の主人公の小早川瀬那より遥かに優遇された実質主人公で作者の分身キャラの、
蛭魔妖一を元に、こちらの作品では見た目が蛭魔みたいな耳が尖った悪魔のような不良でないし、
口の悪さも緩和してジャンプの主人公向けにアレンジした感じ。
原作者の稲垣氏は、千空を神龍寺ナーガの金剛阿含とキャラ的に同一と言ってるけどバレバレ。

歴史SLG三國志での諸葛孔明みたいに知力MAX助言100%的中キャラが脳筋共を、
駒として使いこなしての名采配が作者の理想のヒーロー像なのでしょうけど、
そのヒーローキャラの天才的頭脳設定の使いみちを前作では、
フィジカルもテクニックも上回る敵チームを、言い換えれば努力も才能も上回る相手を、
作者の寵愛補正を受けた名将?蛭魔パワーと、相手が何故か弱体化するご都合主義で、
ぶち倒して踏みにじる。主人公たちは目一杯努力をアピールしてるが、
相手の方が才能も技術も努力に費やした時間も上回っているのに、
主人公側の努力だけが報われる世界。『アイシールド21』では、
特定のキャラを天才と持ち上げるいっぽうで筋肉おばけを算数もできない学力にして、
ギャグ扱いするなどスポーツと言う土俵での価値観や作風の見せ方に歪さを感じた、
自分としては原作者の稲垣理一郎の前作での作劇には賛同できずに色眼鏡で見がちだったです。

千空の天才描写も歩くGoogle状態。化学のあらゆる工程を完全に記憶しているデータベース。
計算機代わりになる演算能力。それは発明や創造の才能ではなく、
記憶力と知識の利用に秀でているということで、
凄いのは千空自身の発想力でなく現代社会の道具の作りかた数多く記憶しているということ。
むしろ何度失敗しても諦めない気合と根性が本分?
知識や技術よりもむしろ精神性を作者が見てほしかったところかも。

千空はやがて、文明が失われた未来世界に生きる人々と出会い、
村の人々との関わりで徐々に信頼を得て仲間を増やして行くことになります。『Dr.STONE』では、
そこでの一部のキャラの見せ方がバカっぽかったり相変わらずのノリだったりするのですが、
筋肉おばけを見下した感じが薄れてたり、また知力の使いみちが人助けであったりと改善されてる。

現代知識を原住民に伝授する話は、領地経営系なろうでは定番であり目新しくもないのですが、
一方で、この作品の面白いところは素材獲得や加工などの地道な作業の一つ一つを説明して、
みんなで力を合わせて達成していくという、作品によっては数分で終わらせたり省略される工程に、
何話も費やすところでしょうか。天才言っても失敗続きでようやく完成するまでを見せることにより、
達成感を視聴者(読者)に共感してもらう、結果よりも過程の面白さこそが作品の醍醐味でしょうね。
我々が普段お金で買えるあらゆる日用品のすべてが、科学や化学で出来ている。
そのありがたみを実感するきっかけとして、見る意義の強い作品であるかもしれません。

また、基本的には自分でできることは全部自分でやる主人公ですが、腕の足りなさを自覚している。
そこで、有能すぎる熟練した技術者の協力を得て作業の精度を飛躍的に向上。
技術者キャラをドラえもん的便利キャラにし過ぎというきらいもありますが、頭脳キャラ主人公は、
自分を決して褒めない、人類の叡智や技術者をリスペクトさせるなどで相互関係を強調。
自分はろくに働かないくせに人に指図したからオレは天才!全部オレのおかげ!みたいな、
私が嫌うワナビー的な謎の全能感とは別物になっている点では悪くはないですね。
見ててイラつく、ここは違うんじゃないか?な部分をできるだけ排除して見てて納得できるような、
バランス取りが出来ている。蛭魔妖一は名目上は主人公ではないですが、
(実質)主人公称賛系の『アイシールド21』と共通の作者のエゴやクセを感じながらも、
こちらのほうが作品への好感度は上かなと思いました。

原作がジャンプ漫画ですので、相容れない考えな人物との対立関係や、
バトル的な展開が当然のようにストーリーに織り込まれているのですが、
作品途中であった村でのトーナメント大会。ここだけハッキリ言ってつまらなかったです。
特徴的な口調にしようとして日本語が美しくなかったり個人的には趣味ではない内容ですが、
そこらのマイナスを踏まえた上で概ね楽しめる出来でした。


これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/07/07
閲覧 : 421
サンキュー:

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