「日本沈没2020(Webアニメ)」

総合得点
57.1
感想・評価
134
棚に入れた
395
ランキング
6926
★★★☆☆ 2.6 (134)
物語
2.3
作画
2.5
声優
3.0
音楽
2.9
キャラ
2.4

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ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

あまめのレビュー。1話が一番良かったなんて言えない。

湯浅監督作品。
一話が一番良かったなんてことにならなければ名作になるだろう。
一話全体を通してBGMが流れているけれど、これが相当効果的に効いている。Netflix見れるなら観ておいて損はないかと。

これから数時間この作品に時間を割こうと思う。

ananを買ったのは攻殻機動隊_2045の草薙素子と目が合ってしまったからなので、神山監督と荒牧監督の対談インタビューが載っていたり、田中敦子さんのインタビュー記事があったから。反射的に買ってしまったので中身をあまり精査せずに持ち帰り、中身を読み進めると、なんと湯浅監督のインタビュー記事もあるじゃないか! と興奮したのを覚えている。
その記事の中で、この作品の事にも触れているのだけれど、その中で印象的だったのが多様性の話だった。まさにこの作品の肝にもなる部分だと私は感じた。なので、この話を最初にしようと決めたのだ。
しかし、ananを買ったのは初めてだった。というかこの雑誌って普段どんな内容の雑誌なのだろうか…もし、攻殻とこの作品に興味があったら購入してみても良いかもしれない。たかが5見開きのためにお金を出そうと思えるならだけれど。

話を戻そう。
多様性というキーワードを使ったのだけれど、主人公の家族構成がそもそも多様性を表している。日本人の父とフィリピン人の母のハーフの長女と長男の4人家族。
最初ここに違和感は感じない。まわりの人間と分け隔てなく存在しているように描写されているからだ。
主要な登場人物には外国人も存在し、物語の中で重要な役割も果たしている。この作品名は「日本沈没2020」となっているこの2020は未来ではなく今、これを読んでいる今日にでも、この大災害が起こった場合を想定していることを示している。
ネットがあり、YOUTUBEがあり、GPS機能、もちろんスマホもある。
マクガフィンとして利用されているものリアルであり、今身近に存在するものだ。これを見ているデバイスもネットに繋がっているだろうし、PCで見ていたとしても手元にはスマホがある人がほとんどだろう。
冒頭で映し出される日常は本当に今を切り取ったままだ。地震が起こったところから独自の物語として導入されていく。
今の日本には外国人はもはや少なくない。これは完全に個人的な主観になってしまうのであまりこういったレビューにはふさわしくないけれど、黒人に対する差別意識はほとんどないだろう。当たり前だけれど、受け入れられているかは別だ。ここを混同してしまう人が差別がどうこう叫んでいると感じる。

日本沈没というタイトルにして日本人を描いていない点については批判してはいけない。大事なのは監督がどうしてこういう家族構成にしたかを考えることだ、分からないから批判するのでは子供が分からないことに泣いているのと変わらない。
これは日本を表しているのではなく、2020を表していて、現代であることを印象的に見せることに意識が向けられている。
世界へという点も意識されているのかもしれないけれど、それだけじゃないと私は感じた。

各話の構成では露骨な引きに辟易してしまった。
1回や2回くらいなら良いのだけれど、それ以上やられるとツライ。
文章だって体言止めが連発すると読むのに疲れてしまうのと同じように次回の引きに人を殺すのは何度もやっていいものではない。
一週間まってまた視聴とは違って時間があれば一気に見れる配信のやり方とマッチしていないのだ。そこまで含めて考えるべきだったかもしれない。
一週間待ったとしてもちょっとキツイけれど。

またキャラデザを簡略化している点がこの物語とマッチしていない。
この物語は心情の機微をもう少しちゃんと見せるべきだった。脚本の中にはちゃんとあって、父親を亡くした後の話では娘が拗ねるし、その後の和解までを考えると良いプロットだったと言える(間延びしてるけれど)。
内面を出せる演出ができる原画であればもっと良かったのかもしれない。最近のレビューでもあげているけれど『イエスタディをうたって』レベルで演出されていたらかなり違ったものになっただろう。
また、父を亡くし、母との和解までのプロットは良いと書いたけれど、1話にまとめるべきだったと感じた、最低でも2話。
現実逃避に近い大麻を使用しているコミューンに身を置き、安らぎを得る。これは分かる。でも、それと父の喪失と母との和解を織り交ぜるとなると違和感が生まれてしまう。ここで彼女を完全に理解できなくなってしまった。
もしくはそれが狙いなのかもしれない。
つまり、誰かの視点で物語を見るのではなく、状況を見せたいと考えるとまぁ理解できるかな。
それは最終話までみて、もしかしたらそうだったのかもレベルの話で、この時には完全にどの視点で見たらいいのか分からなくなったし、やっぱり感動のシーンに見せようとした所でまったく感動できなかった。

最終話ではちょっと感動してしまったのだけれど、最後の2話がたのしめてしまったからなのだけれど、先輩やカイトの行動は自己犠牲の精神は純粋で尊いように感じた。つまりそこそこの説得力があったということ、自然だったということ。
母親の死はどうしても自分でなければいけない理由付けに失敗している点が気になった。これは自然ではないし、説得力に欠ける。安易に感動する方向へもっていったのだとしたら、失敗だろう。そこに制作側が気づいてないから駄目。もし気づいていたとしてそのままでOK出したのだったらそれはそれで嫌だ。もし他に理由があったり、見落としていたら教えて欲しい。

キャラが死なない方が不自然だ。これは間違いない。激闘を繰り広げて誰一人死なないアニメや漫画もあるが、不自然だ。でもそれが面白くないにつながらないようにしているから楽しまれているのだろうし、そこが気に食わない人には刺さらない作品になってしまう。これも同じで、どこまでが許容できるかは個人差だと思うけれど、私にはこう映ったってだけの話。共感を得られるかも別の話。

次にBGMについてだが、基本的には素晴らしかったと思う。
ここまで全面的に使った作品も中々珍しいのではないかな? 音楽に全く詳しくないから憶測で書かなければならないのがくやしい。とりあえず感じたことを書いてみる。
このBGMだけれど、二つの音楽を合わせたような作りになっていて、ピアノっぽい音とテクノっていうのか電子的な音を組み合わせた音楽をよく使っている。高音がピアノで低音がテクノっぽいのだ。これが場面によって反対になったりすることで高揚感だったり喪失感だったりを表現している。
音楽の良し悪しではなく使われ方が大事だと常々思っているのだけれど、それは見ている人たち全てがそうだと良いなと思っている。
使われ方はスゴイ良いです。これだけBGMを使って物語の邪魔にならないようになっている点はものすごく評価したい。

作画の話をしよう。
キャラデザの話は前述したとおりなのだけれど、作画は良い。
特に走るシーンの作画は美しい。動きをよく表現できている。うごきの表現という点に関しては満点に近いレベルだと私は思うのだけれど、どうなんだろう。ただ、動画として見た時の粗さは確かにあって、動きの滑らかさを出せれていれば…とかわがままを言ってしまいたくなるほど、作画が良いのよね。
これは完全に個人的な部分なのだけれど、こういった簡略化した作キャラデザでなおかつ粗い動画になっていると歌ったり踊ったりといった行動に違和感が半端ない。正直みていて恥ずかしくなってくる。
最近は他の作品でも歌ってるシーンとか不自然に感じなくなて来たのだけれど、久しぶりに不自然だった。
こういう意味でも4話から6話あたりは本当に上手くいってないのが残念で仕方ない。脚本自体が駄目。言ってしまえばアニメを分かってるのか? とか申し訳ないが思ってしまう。歌や音楽で表現する方法がアニメでのやり方に即してないからこうなる。簡単に言えば、寒いんだよなぁ。
前述したクリフハンガーを意識しすぎてこってりしすぎているのもそうだけれどうーん。という感じ。


さて、そこそこレビューとして書けたかと思うので、この辺でまとめておこうかなと。

全体的には良いんだけれど、粗が目立つ作品かなと。テーマが重いだけにこの作品は厳しく評価されて当たり前だと思う。
だがしかし、テーマだけで見るのは間違った見方だと私は思っていて、なんか簡単にこのアニメを投げ捨てるようなレビューをみて悲しくなったので、気合入れてこんなに書いてしまったわけだ。
でも、投げ捨てられてしまう理由もちゃんとわかる。
でもね、この作品は私の中では結構好きな部類なんですよね。良し悪しよりも好きか嫌いか。どうしてかといえば、ちゃんとやりたいことをやろうとしているからなんだ。それが何となく伝わったので良いものでなくても好きになってしまう。今回は脚本がちょっと残念だったのだけれど…。

あー! まとまらないぞ。そうだな、物好きは見ればいいのではないでしょうか? というところに収まってしまう。
思いっきりおススメできないのがツライ所。
最初の1話目は完璧な滑り出しだと思ったのだけれどなぁ。そういう事もあるよねってことで今回はおしまい。

次回はサイコパスの前シーズンまとめを書いてるので、多分それになるかな。時間かかりそうだけれど。

では、乙です。

投稿 : 2020/07/20
閲覧 : 295
サンキュー:

7

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