「Re:ゼロから始める異世界生活(TVアニメ動画)」

総合得点
91.2
感想・評価
4049
棚に入れた
16664
ランキング
37
★★★★☆ 4.0 (4049)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

遊微々 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

生きてる人、いますか?

異世界モノリベンジマッチ3本目。これで異世界かるてっと組は全部制覇ですね。
レビュータイトルは・・・思いっきりパクりました!すいません!

さて、前回挑戦時は5話あたりで断念でしたが、今回も途中で脱落しかけました。まあ前回は内容が理由で、今回は主人公が理由でとそれぞれ違うんですけどね。最後まで完走出来たのは、何とか自分なりに今作の考察が建てられ、それに沿って見ることが出来たからです。
以下自分の考察

{netabare}
・掴みづらかったナツキ・スバルというキャラクター
前回断念時の懸念材料でもありましたが、これが今回は本当に厳しかったです。特に13話あたりの中盤、マジで見るの止めようかとも思いました。
とにかくこの主人公の行動理念が分からなかった。
他人の為に命張れる究極のお人好し?しかしそんな人間なら周りの忠告を無視して好き勝手に走り回るようなことはしないし、自分や周りに対して言い訳もしないと思うのです。しかしスバルは、自分の辛さを早々に訴え、挙句の果てには「自分への借り」を理由に理屈を押し通そうとしています。この時点で、相手のことを100%思っているような人間ではないなと捉えました。
では自分のことだけを考えた自己中なのか?これも少し違和感がありました。自分のことが大事なら、何度も死地に飛び込むような真似をするでしょうか。死に戻りの能力があったとしても、死ぬ際の苦痛が軽減されるわけではない、何より彼は死ぬことを恐れているように見えました。自分可愛いだけの人間はまずこんな行動は取れません。何か理由があるはずです。

この二つの矛盾が理由で、ナツキ・スバルがどういった人間なのか理解するのに苦労させられましたが、一つだけ思い至った結論があります。
それは、ナツキ・スバルは「悲劇のヒーロー」に焦がれる人間なのではないか、ひいては不幸を求めているのではないかということです。
こう考えると結構合致がいくんですよね。

「悲劇のヒーロー」に焦がれる理由は、彼自身は自分が何の力も持たないちっぽけな存在だと理解しているため。そんな自分に存在価値を与えるために見出した道が「他人の為に何度も命を張って苦しむ哀しき存在」だったのではないでしょうか。
ヒーローとして周囲から認められたいけど、その前段階としてなるべく自分を小さな存在に見せたいんですよ、自分の無力さを本来以上に誇張するために。「何の力もない小さな自分が何度も苦難を乗り越えてその果てに英雄になる」というカタルシスを味わいたいんでしょうね、多分。

彼が何度も死地に飛び込み、死に戻りを敢行できるのは、不幸こそが自分の価値を高めてくれる存在であり、自分の不幸な境遇にすら酔いしれることが出来るからだと思います。
彼が自決を望まず他者から殺されることを望むのは、自決行為は不幸からの逃走になるから。嫌なことから逃げてやり直すことは、「悲劇のヒーロー」としての理由にはならないですから。他者から殺されるなら、それは志半ばで自分の命を蹂躙されたという理由付けが出来るます。
8話で彼が飛び降りることができたのは、彼を守ってくれるベアトリスという存在がいたため。自分を守ってくれる存在がいるにも関わらず、それを振りほどいて自分のけじめをつけに行く姿は「悲劇のヒーロー」としての充分な理由付けに出来ますからね。事実、全てを失った時の彼は自分から命を絶つという行動には出ませんでした。
周囲に対して反感を買うような言動を繰り返していたのも、自身をわざと孤立させ、不幸な境遇に身を追いやるためだったのではないかと思います。これは「どうせ誰も自分のことを分かってくれない。自分のことが分かるのは自分だけ」という感情と、「本当は誰かに助けて欲しい。誰か自分を見てくれ」という感情、この二つの孤独感を同時に得ることが出来ますね。


レムやエミリアに対しての言動もそうです。
18話でレムに対して共に逃走を問いかけましたよね。あれは恐らくレムの優しさに付け込んでの発言です。「レムならきっと止めてくれる。そのうえで自分を気づかった言葉をかけてくれる」という期待を込めて彼女に投げかけたんだと思います。自分で自分のことを否定していたのは半分本当、半分は計算だと思ってます。否定しても、レムは肯定してくれると多分信じてますから。「自分で自分を否定するほど卑屈になった現状、しかしそんな自分を理解してくれる人が存在する」という自分が再起するための体のいいきっかけ作りだったんじゃないか、とここは捉えました。
エミリアに対しての感情もそう。彼女を守りたいと思うのは、彼女が自分を救ってくれた恩人だから、彼女のことが好きだから、というのは建前。本当の理由は彼女が半魔と恐れられているハーフエルフだからだと思います。彼女の周囲には危険が隣合わせ、そんな状況の中で「哀れな少女の力になってあげられる自分」という自尊心に酔うことができますからね。


まあまとめると、報われない中頑張る俺カッケーがやりたい厨二病自己中野郎ということになりますね。
これだけ聞くととんでもない下衆に見えますが、自分としてはすごく理解が出来ました。というのも、これって人間だれしも持ち合わせてる部分だと思うんですよね。人って苦労話を自慢気に語ったりするじゃないですか。人って自分の苦労を誇りたい生き物なんですよ。だからスバルのこういった部分はすごく人間臭いところだと感じたんですよね。
またこれらの要素は彼の深層心理の部分にあり、彼自身も気づいてない、もしくは何重にも蓋をして閉じ込めているものであるため、彼自身もそれを考えることはないのでしょう。だから作中の彼の胸中では語られていないのかもしれません。
しかし作者の方が本当に描こうとしているナツキ・スバルというキャラクターの本質はこうなのではないかと自分には思えました。

・「ループもの」であるようでそうでないREゼロという作品
前回断念した最大の理由はこれになります。今回視聴して改めて思い知らされました。今作、主人公が「死に戻り」という能力を用いて、何度もやり直しを行いBADENDを回避するために奔走するのがコンセプトです。一見するとループものとしての側面が強い内容ですし、私自身も最初はそう捉えていました。しかしこれが間違い、というよりは既存の「ループもの」の型枠に当てはめてこの作品を評価しようとしていたことが間違いでした。
というのもこのREゼロ、既存のループものに比べて随分ご都合主義が多いなと思ったんですよね。まず一つがループの起点と終点が安定しないこと。基本的にループものはこれがきっちりと定められていると思うのですが、REゼロはこれが唐突に変わります。しかも特に説明やきっかけがよく分からないまま。とりあえず事態が好転したら次のループへ、という仕様。
二つ目がループものなのに少なすぎるループ回数。これが特に致命的でした。何十回、何百回とループを重ねても中々変化が訪れない環境、好転しない状況、その中で必死にもがき苦しむ主人公の姿、これこそがループものの醍醐味の一つだと思うのですが、今作たかだか数回のループで解決へと至ります。上記の仕様と併せ、「せっかく上手くいったのにまた1からリセット」という繰り返しの絶望もないため、正直舐めてんのかと思いました。
しかし上記のナツキ・スバルのキャラクターとすり合わせることで、こちらにも一つ納得のいく結論を出せました。

このループ設定は、すなわちナツキ・スバルの欲望を満たす都合のいいシステムであると同時に、彼のキャラクターに二面性を持たせその実態を掴ませないためのフェイクではないかということです。
彼の自己中心的な欲求を満たすような行動を繰り返せば、人は彼から離れていきます。しかしこれがループでやり直せるとしたらどうでしょうか?何度も絶望という悦に浸れるうえ、周囲の悪い心象はリセットできる。積み重ねれば、悲劇のヒーローの出来上がりというわけです。
ループの起点が更新されるのは、彼の欲望が一定以上満たされた瞬間をきっかけにしているのではないかと考えました。
彼の欲望を満たすうえで、これほど理にかなったものはありません。

しかしそれを描かないことで、大事な人のために何度もやり直しを行う彼の悲痛な姿の方に目がいきますよね。こうすることで、彼が単なる下衆野郎ではないという誤魔化しになっているのではないかと思います。ナツキ・スバル自身が自分を偽っているのと同様に、この作品自体が敢えてそういうカタチを取っているのではないかと。
さらに主人公の悲痛な境遇を描くことで「何回も死に戻りなんていう苦行平気でこなせるわけねーだろバーカ!」というような、既存のループもの(All 〇 Need Is Killとか)に対するアンチテーゼの様相を示しているのも秀逸です。
もしこれが私の想像通りだとするなら、かなり巧みに描かれているなと思いました。ストーリー部分を☆5評価にしたのはこのためです。


まあもっとも、これは全て1期を見た時点での私の痛い妄想なので、2期以降の展開次第では「全然違うじゃん!」といったことになるかもしれませんが。
{/netabare}

その他のキャラクターについては、レム可愛いっていうのは視聴前から方々で聞いていたので若干期待していたのですが、私自身は可愛いとは思いつつもそこまでハマらなかったキャラクターになりますね。
やはり評価すべきは大罪司教ペテルギウス・ロマネコンティ、というより彼を演じきった松岡禎丞氏でしょう。これがきっかけで悪役が増えたというような話を聞き及んでいますが、私は『ハイスクールD×D』でフリードを演じていた時から「この人って主人公よりこっちのが向いてね?」と思っていたので、どちらかというと「ようやく世間が気づいたか」という印象が強かったですね。

2期はどうしようかなーと迷ってますね。続きが気になる終わり方ではありましたが、自分の考察外れてた時のことを考えると、もうナツキ・スバルをどう見ていいか分からなくなるので。

投稿 : 2020/12/05
閲覧 : 379
サンキュー:

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