「ふしぎの海のナディア(TVアニメ動画)」

総合得点
78.2
感想・評価
578
棚に入れた
3123
ランキング
562
★★★★☆ 3.9 (578)
物語
4.0
作画
3.6
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

カミタマン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

タイムカプセル

結構,見終わるのに時間がかかりました。
理由は・・・
・全39話と(やや中途端に)長いこと
・続きが気になって止められないと言うわけでは無いこと
・昔の作品なので,映像的にかなり古さを感じること。

では,見る価値が無いかと問われれば・・・
自分としては見て良かったと思います。

良かった理由その1
見終わってみれば,それなりに面白かった事。特に自分はのんびりとした無人島での漂流生活が割と気に入りましたw
良かった点その2
本作品が日本のアニメの歴史を考える上でもなかなか興味深い位置付けの作品で,押さえておいて損は無いと思う点。具体的に言うと「ナディア」の企画自体は未来少年コナン2として宮崎駿が立ち上げ(ウィキペディアより。出典は岡田斗司夫の海賊生放送だそうなので,関係者の話なので確かかと思われます。)同じ企画を元にした「天空の城ラピュタ」と共通点が見られること,庵野秀明の監督作品として「トップをねらえ!」と「新世紀エヴァンゲリオン」の間に位置していること。特に,後のエヴァンゲリオンの原型となる設定や演出などが見られることなど,見ておけば何かの時にちょっと知ったかぶり出来そうな所です(笑)ただし,ナディア自体の認知度があまり高くないような気がするので「何かの時」はなかなか訪れないかもしれませんが・・・^^;

では本題で,「不思議の海のナディア」を見て感じたことなど1日1話とか2話ペースでメモを取ったわけでも無いので既にあやふやな部分もあったり,忘れてることも多い気がするのですが^^;


「不思議の海のナディア」というアニメを見るとてとにかく「時間」と言うものを意識させられ,ちょっとしたタイムトラベラー感覚を味わえました。

中でも強く感じたのがアニメが制作されてからの時間の経過です。ナディアは1990~91年の放送ということなので30年前の作品と言うことになります。30年前の空気感や30年でのアニメの進歩などについて随所に感じます。
具体的には
・画面の両端が余っている。
・作画の質が現在のレベルで見ると全体的に低い。ちょこちょこ作画崩壊している。さらに,作画以上に撮影のひどさが目立ちます。作画でスケジュールが押してよっぽど時間が無いところで撮影したのか,当時のセル画撮影の標準なのか?(たぶん前者?)ピントが合っていなかったり,ぶれたり,瞬間移動したり,埃がちらちらしたり,変な光が映り込んだり・・・かなり問題があります。
・セリフ的には今ではほとんど使わないなーといういわゆる「死語」がちょいちょい出てきます。「ああ!そんな言い回し昔有ったなー」的なたとえば,「お陀仏だぜ」とか「インチキねー」とか他にも最近あんまり聞かないなーって表現がいっぱいあります。
・冒頭のナレーションも時代を感じさせます!特にシリーズ後半の女性ナレーションは微妙にずれた感じがして変な味わいがあります。「いったいナディアは何を考えて生きているんでしょう?」みたいな感じで笑えます。
・パロディーというかオマージュというかパクリというか^^;小ネタ満載です。90年時点でのネタ化しているものなのでそれなりに古いです。しかも物語の核心に関する設定部分にも^^;さっと思い浮かぶところで列挙すると,ウルトラマンのカラータイマー,ひょっこりひょうたん島,アイアンキング&レッドキング,ハクション大魔王の壺,美味しいとメガネがずり落ちる件,「人の迷惑顧みずやって来ました・・・」などなど枚挙にいとまがありません。
・この作品おおらかというか,テキトーというかwキャラクターの一貫性の無さも昔の作品によくあったような感じです。設定が甘いのか共有されていないのか各話の脚本家がそれぞれの人物像でシナリオを書いているようなイメージです。
・OP「ブルーウォーター」神曲です。脳内で無限ループしています(ただし,脳内ではレイアースの「ゆずれない願い」と一体化してループされています^^;)90年っぽい点は歌詞です!まず作詞が来生えつこ!!この時点で90年ぽさ全開w歌詞を見てみるとなんか全然意味が理解できません(もちろん日本人なので言葉の意味は理解できますが歌詞全体としての意味という意味で・・・),番組との関連性も全く無さそうwただ耳障りの良さそうな単語を並べた感じ?とどめは「愛はjewelより~」の部分,今聞くと聞いてるこっちが恥ずかしいレベルwww一方,歌ってる森川美穂さんは歌唱力もさることながら,動画を見ると90年のアイドルとは思えないほどキレッキレッのダンスを披露していました。

 さてそんな1990年(平成2年)はどんな年だったか調べてみると,スーファミが発売され東側の崩壊が顕著になっただけでなく
バージニア州で初のアフリカ系アメリカ人州知事が誕生
ネルソンマンデラが27年ぶりに刑務所から釈放
アフリカ最後の植民地ナミビアが独立
などがあり,人種差別問題的にも大きく世界線が変動した年と言えると思います。
 そんな年にヒロインがアフリカ系人種設定(単に色が濃いだけのようにも見えますが作中で「黒人」と言っているのでアフリカ系人種(いわゆるネグロイド)と勝手に判断しました)のアニメがNHKで放映されたと言うのも,企画や放映開始までにかかる期間を考えると偶然なのですがシュタインズゲートの選択と言われれば納得してしまいますwそして自分が世界的にBLMが叫ばれている2020年現在にこの作品を見たことも。(こじつけw)


二つ目の時間軸として,19世紀後半という時代があります。
作品の舞台として設定されている1889年明治22年は明治の中頃,「ナディア」放映時の101年前になります。
作中で描かれている通り
パリの万国博覧会が開かれ,エッフェル塔が完成した年です。
ちょっと調べてみると
エッフェル塔の完成が3月15日,開業が3月31日だそうです
1889年のパリ万博は5月6日から10月31日まで開催されたそうです。
フランスがらみでは他に
ムーラン・ルージュ開業し象牙海岸がフランスの保護国となった年だそうです。
日本はと言うと,大日本帝国憲法発布され任天堂骨牌(任天堂の前身)設立された年だそうです。ちなみに任天堂はナディア放映時の1989年にスーパーファミコンを発売したそうです。
時代的には,まだまだ飛行機は往復20km程度,潜水艦は電気式が前年に作られた程度だそうです。
19世紀にはもう一つの時間,原案とされたジュール・ヴェルヌの「海底2万マイル」の発表された年が有ります。
1870年でこの年について調べるとフランスがらみでは
普(プロイセン)仏戦争開戦。そして,ナポレオン三世が捕虜となったり,第3共和制成立したり,ローマ教皇領では普仏戦争のための仏軍撤退によってイタリア軍による教皇領接収が行われた年でした。
つまり「海底2万マイル」は1870年時点で19年後の近未来である1890年描いた作品なんですね!
1970当時世界はまだ広大で,地球上にはまだまだ人類が知らない場所があるかもしれない状況だったと思われます。たとえばミッドウェー島の発見は1859年,ジャネット島1881年,ヘンリエッタ島1881年,日本の南鳥島の発見が1864年,だそうです。こうしたことを考えると,たびたび,どこの島かも分からない絶海の孤島的な無人島が出現したり謎の海底洞窟や地下空洞など,当時の空気感が感じられる設定が随所に見る事が出来ますね。(現在も海底部分など不明な部分は無いとはいえないが・・・)



1870年に19年後の近未来1889年を描いた作品を原案に,物語の舞台から約100年後の1990年に作られたアニメをさらに30年後の2020年に見ている自分こんがらがってきたwいろんな時間軸が入り乱れて不思議な感じです。19世紀と20世紀と21世紀が交錯する,ちょっとしたタイムトラベラー感覚です。
{netabare}さらに言うと,ナディアの話はエンディング後に,12年後の様子に触れ膜を閉じます。{/netabare}


その他

いままで勝手に,ナディアは褐色の天使的なイメージでいたのですが,全く違いましたw
{netabare}自己中で,頑固で,わがままでツンデレともちょっと違う厨二病全開のキャラといったイメージに変わりましたw{/netabare}

ナディアのブルーウォーターですが,当初カラータイマーっぽいなーと思っていたら,終盤忘れた頃に{netabare}まさかのM78星雲設定w本当にカラータイマーだったんですねwそして形状は横にするとメビウスの物と全く一緒です!しかしウルトラマンメビウスは2006年から2007年の放映なので逆にナディアが影響を与えたのかもしれませんね。{/netabare}

グランディス,サンソン,ハンソンは{netabare}ドロンボー一味的位置付けかと思ったらまさかの仲間展開!!結局ジャンとナディアに最も深く関わっった大人になりましね。{/netabare}

「トップをねらえ」や「エヴァンゲリオン」と似ている点なども見つけるとちょっと嬉しいですね!自分としてはナディアの誕生日が判明したときの{netabare}みんながおめでとうという場面とか,最終回のエレクトラさんの白いスーツとナディアの赤いスーツがかなり嬉しかったです。他にもメカの描写や戦艦名などいろいろあります!!{/netabare}

ところで,作中に出てくる「ノーチラス号」と言う名前,そもそもジュール・ヴェルヌが参考にした設計だけの潜水艦の名前だそうですが,「海底2万マイル」の影響か潜水艦(艇)の鉄板の名前になっているようで,米軍では歴代の潜水艦名として引き継がれています。ミッドウェー海戦に参加した潜水艦の一つだったり,米軍が開発した世界初の原子力潜水艦の名前だったりしています。そして自分のお気に入りは米軍とは別の研究目的のノーチラス!
https://nautiluslive.org/

気が向いたら見てみて下さい。

深海からライブ配信しています。でも配信よりはgalleryがオススメ(笑)

いつもにもましてぐちゃぐちゃな内容ですいません^^;

2020.09.14
2020.09.28 誤字訂正など

投稿 : 2020/09/28
閲覧 : 768
サンキュー:

14

ふしぎの海のナディアのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
ふしぎの海のナディアのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

カミタマンが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ