「劇場版ぼのぼの(アニメ映画)」

総合得点
70.8
感想・評価
18
棚に入れた
84
ランキング
1437
★★★★☆ 3.8 (18)
物語
4.0
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

もぐもぐ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ぼのぼのといえばこれ

ぼのぼのたちの棲む森に、なにか巨大な生き物がやってきて通り過ぎていくという話。
それが通った後は『何か』が変わってしまうという。
“あえて”何ひとつ変化していないように描かれていますが、ヒグマさんはぼのぼのに対して、変わったのはあなた自身なのかもしれないと言います。
「楽しいことはどうして終わってしまうのか」というのが、今作のぼのぼのが抱く疑問でありメインテーマであることを考えると、あらゆることに対して自問自答を繰り返すことで、自分自身のことが少しずつ分かってくる、という話なのかなと思いました。

あることが起こったときにどうすればいいか、最初は周りの大人が教えてくれて、子供はそれを模倣します。例えば貝の食べ方を、ぼのぼのはお父さんに教えてもらいました。周囲の大人の存在は子供にとって重要な役割を果たします。
以下、今作のぼのぼのの周囲の大人たちに対する自分なりの雑感を書いておきます。まずヒグマの大将。
見るからに堅気ではない彼曰く、誰かのために軽々しく命を賭けることは愚かしいと。
{netabare} なんと、自分の息子が巨大生物に轢かれそうになったとき、一度は立ちはだかったが、すぐに避けた(悪く言えば、見殺しにした)のです。 {/netabare}
自らの信念を行動で示して見せたイナセな漢ではありますが、まるで自らの信念に縛られているようにも見えます。行為だけを見ると、野生動物そのものといえるかもしれません(自分の命を最優先に守る本能的行為)。でも実際は、とても人間的なものの考え方に支配されている人物だと思います。
次にアライグマくんの親父さん。ヒグマの大将の行為に内心怒っていたと思います。アライグマくんは鋭い。(質問攻めがしつこすぎてぶっ飛ばされるの好きw)
でも表情に出さないし言葉にもしないところが大人ですね。これは想像に過ぎませんが、アライグマくんの親父さんは息子の存在に多少なりとも依存しているところがあるのでは。認めたくないから無意識に仕舞い込んでいるのに、それをヒグマの大将に指摘されたような形になったから苛立っていたのではないでしょうか。良くも悪くも普通の親父だと思います。
最後にスナドリネコさん。ヒグマの大将やアライグマくんの親父など色んな立場の人間を理解し、全てを受け入れる懐の広い世界観を象徴する存在。子供に対しても例外ではなく、ぼのぼのの難問に対しても、ちゃんと子供が聞いて分かるように答えをくれる人です。教師のような人物だと思います。(ラストの含蓄ある台詞は必聴)
本当に様々な価値観を持った人間が世の中を動かしていて、出来事ひとつとっても考え方が全然違うし、ちょっとした疑問に対する答えも人によって違ってくるわけで、そこから子供たちは「自分ならこうする」「だから自分はこういう人間だ」ということを少しずつ学んでいくのではないでしょうか。つまり『ぼのぼの』とはまさしく人間社会の縮図であり、だからこそ面白いのだと思います。
自分の好きなキャラはスナドリネコさん。スナドリネコさんの紡ぐ言葉の前では、自分も子供だったときの気持ちでいられるからです。子供特有の『なんで攻撃』にまじめに答えてくれる大人がいたら絶対楽しいし、前向きに自発的に学ばせる姿勢には誇張抜きで尊敬の念を抱いてしまいます。最後の笑顔に自分も救われた気持ちでした。

投稿 : 2020/10/07
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