「天晴爛漫!(TVアニメ動画)」

総合得点
71.4
感想・評価
261
棚に入れた
864
ランキング
1309
★★★★☆ 3.5 (261)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.4

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

レースものと言うより、西部劇の方が近いような

 設定や世界観のざっくりした印象は「スティール・ボール・ラン」+
「チキチキマシン猛レース」。
 他にも題材が題材なだけに往年の映画を色々と思い出してしまうもので、古い時代の
コメディテイストのレースものという点では「グレートレース」や「モンテカルロ・ラリー」、
自動車ではないが「素晴らしきヒコーキ野郎」を思い出してしまうし、
アメリカ大陸横断レースという観点では時代が下がるが、「激走!5000キロ」、
「キャノンボール」なんかを思い出す。

 ただレース自体はトラブルによる仕切り直しが多く、更に終盤はギル・T・シガーとの対決が
主軸となるため、レースそのものの勝敗を巡る展開はほとんど楽しめなかったのは残念。
 長距離走になると競技者の位置がばらばらになってくるため、群像劇スタイルにならざるを
得なくなり、本作のように1クールでキャラの掘り下げがあまりできない状態で
レギュラーキャラを一つのフレームに収めるための措置が、仕切り直し展開だったのかなという
気がする。
 個人的にはレギュラーキャラを一緒にしておきたいなら、例えばお宝探しや悪党退治など
レース以外の展開を主軸にした方が良かったように思えた。

 全体的雰囲気は西部劇のようで、やはり色々な映画を思い出してしまうが、特に主人公である
空乃 天晴と一色 小雨という二人の日本人が西部劇世界で活躍する展開は「レッド・サン」や
「EAST MEETS WEST」を思い出したりした。
 天晴に関しては発明に夢中になるあまりに、他人に対する付き合いの下手さや関心の薄さに、
問題がありすぎて、当初は主人公らしからぬものを感じてしまったが、次第に成長していくことが
むしろ見どころの一つだった。レースを通して、天晴と天晴号という、人とマシンが共に
成長していく構成はなかなか良かったと思う。

 天晴と小雨の日本人コンビ以外にも、中国系の景・夏蓮や、ヨーロッパから来た貴族のような
アル・リオンなど西部劇らしからぬキャラが登場するが、前者はデビッド・キャラダインの
「燃えよ! カンフー」を、後者はロシア貴族が主人公の仲間で登場する
リー・ヴァン・クリーフの「西部決闘史」をそれぞれ思い出す。
 前述の「レッド・サン」も含め、いずれも異色感の強い作品だが、本作もそういった異色感が
漂っている。

 西部劇ではあるが、メインモチーフが自動車レースであるように、時代設定的には近代化の
波が押し寄せる頃のもの。
 近代化に伴い、「サウザンドスリー」のような荒野を駆け回るアウトローは次第に姿を
消していくわけで、ギルの行動は単なる悪行というだけでなく、滅びゆくアウトローの抗いの
ようにも見えたし、その結末もアウトロー自体の行く末を表しているようだった。

 全体的にダメなところはなかったが、逆に突き抜けたものもなく、どうも最近のP.A.WORKSの
オリジナル作品は、及第点は取るがそれ以上の上積みが感じられないことが多く、本作もそんな
感じ。

2020/11/01
2022/07/24 加筆・修正

投稿 : 2022/07/24
閲覧 : 236
サンキュー:

5

天晴爛漫!のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
天晴爛漫!のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

STONEが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ