「ヴィンランド・サガ(TVアニメ動画)」

総合得点
79.8
感想・評価
417
棚に入れた
1622
ランキング
475
★★★★☆ 3.9 (417)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

全てが高水準。採算度外視(?)の時代アニメ!

原作の幸村誠さんは、説明不要かも知れませんが「プラネテス」の原作者でもあります。
制作はIGグループのウィットスタジオ。
監督の籔田修平さんは「進撃の巨人」で3DCGを担当されていた方で、シリーズ構成・脚本も、「進撃の巨人」の原作・脚本を手がけられたの瀬古浩司さん。
というわけで本作も、雰囲気はかなり「進撃の巨人」です。

ただ、バリバリのファンタジーだった進撃と比べて、こちらは11世紀初頭のヨーロッパを席巻していたヴァイキングたちを描いた時代アニメで、ファンタジー的な要素はほとんどありません。
個人的には、「ベルセルク・鷹の団編」辺りが好きな方にも相性が良いと感じました。

主人公も含めて、登場人物の多くはエゴの塊。
自分たちの欲求を満たすために非道も辞さない、現代の倫理観など通じない荒くれ者たちの世界観が厳しく再現されています。
勧善懲悪とか、正義と悪とか、そう言った二元論的なお話が好きな人にはあまり向いていないかもしれません。

とにかく、作画・脚本・演出、全てが高水準で完成度の高い作品です。

まず息を呑むのが、集団戦や行軍など多くの人物が描かれるシーン。
普通は、動いたとしてもフォーカスされた一部のキャラだけに限定されるか、下手をすれば静止画で済まされることも多いモブシーンですが、とにかく画面の隅々まで動くので、どのシーンも臨場感たっぷり。
TVシリーズですが、その辺の劇場版アニメのクオリティをあっさり超えています。

バトルシーンも素晴らしい。
必殺技もありませんから、誤魔化しも利きません。
理に適った、説得性のある攻めと守り、体捌きを、ひたすら組み合わせて決着を付けていきます。
でも、決して地味ではなく、寧ろ爽快。
この辺りは、「カバネリ」や「進撃の巨人」でCGを担当されてきた籔田監督の演出手腕でしょうか?
身体能力が誇張されて描かれている部分はあるとしても、少年漫画のバトル物によく見られるような、派手なエフェクトや必殺技の応酬でよく分からないうちにケリがついてた……なんてモヤモヤは一切ありません。

戦闘シーンが多いので、人は結構死にます。
ゴア表現もそこそこ多いですが「PSYCHO-PASS」レベルが大丈夫な人なら本作も問題ないと思います。

脚本も、素晴らしい。
原作の、成人前のエピソードが2クールに渡って描かれていて、視聴前はテンポの遅さで中弛みしないか不安もありましたが、まったく杞憂でした。
むしろ、尺が足りないくらい?と思わせられるほど毎回山場があり、引きも上手く作られているので、二日間で一気見しちゃいました(。✪◡✪。)

{netabare}少年時代に過酷な運命を背負い、復讐のためだけに生きることを決めた主人公、トルフィンは、父の仇であるアシェラッドが率いるヴァイキング集団と、行動を共にすることにします。
しかし、彼らの手段は冷酷非道。

序盤で、負傷したトルフィンが村の老婆に介抱されるシーンがありますが、その後、村がアシェラッド達に蹂躙された際には、命を落とす老婆に対して、何もできずにただ見つめているトルフィンの姿がありました。

彼に優しい気持ちがないわけではありません。
アシェラッド達に合図を送る前に、老婆には逃げるよう伝えていました。
しかし、老婆を助けられないと知ったとき、トルフィンは自分のエゴを優先します。
父の仇を討つという目的のためだけに生きようと決めた、トルフィンの非情の決意が見られるシーンです。

か弱き命の恩人をあっさりと見捨てる……一般的な少年漫画の主人公像とはかけ離れた選択ですが、しかし、怨憎会苦の人生を誓ったトルフィンのその後の生き様を視聴者に知らしめる、とても印象的なエピソードでした。{/netabare}

舞台背景は11世紀の北欧で、日本の戦国時代や中国の三国志などと比べるとピンとこない方も多いと思います。
世界史選択だったはずの私も、きれいさっぱり忘却の彼方でしたが、まあ、イギリスとデンマークの位置だけ分かっていれば、なんとかなると思います。
時代アニメではありますが、エンターテイメント作品としても一級の出来なので、あまり身構えずに観ていただければいいかな、と思います。

そうそう、言い忘れてましたが、OP、EDもいいです。
とくにOPは、1、2クールどちらもカッコいいですね。
本編のカットがそのままオープニングアニメーションに使われているので、先の展開を想像しながら観るのもいいかもしれません。

後にイングランド王・デンマーク王・ノルウェー王を兼ねて北海帝国を築き上げた、若き日のクヌートとの邂逅で物語りも大きく動き出す!
……という感じのところで一期は終了。
いいところで終わっているとの感想も多く、まあ、確かにその通りなんですが、この一期の内容だけでも十分に満足感を味わえる肉厚の24話でした。

セールス的に成功しているかどうか分かりませんが、ほら、NHKですし、他の放送局と比べれば採算度外視で続きも作ってくれる可能性は高いんじゃないかな?
第二期の成人編も、期待してます!

投稿 : 2020/11/16
閲覧 : 284
サンキュー:

12

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