「彼方のアストラ(TVアニメ動画)」

総合得点
89.5
感想・評価
975
棚に入れた
3808
ランキング
76
★★★★☆ 4.0 (975)
物語
4.2
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

終盤、一気に加速!怒涛のミステリーアドベンチャー

原作は少年ジャンプ+で連載されていた篠原健太さんの漫画作品。
「スケットダンス」以来二作目の連載作品だそうです。
先日観た「ハクメイとミコチ」がとても面白くて、同じ制作(Lerche)と監督(安藤正臣)と言うことで鑑賞してみました。
(ただ、ハクミコとはまったく趣の違う作品でしたけど(ˊᗜˋ;))

因みにシリーズ構成の海法紀光さんと、キャラデザの黒澤桂子さんは「ダンガンロンパ3」「がっこうぐらし」等と同じタッグ。
全12話構成ですが、初話と最終話が50分弱なので、実質14話分くらいあります。

内容は、一言で言えば、ミステリーアドベンチャーという感じかな?
冒頭、「ゼロ・グラビティ」を彷彿とさせるような宇宙のシーンからも分かるように、舞台の大部分は宇宙や未開拓の惑星なので一見SF作品に見えますが、科学考証部分は結構ガバガバで、少なくともハードなサイエンスフィクションを期待して観ると肩透かしになる可能性が高いです。

{netabare} ツッコミ部分からになっちゃいますが、初話で、全員で手を繋いで宇宙空間のアリエスとカナタを回収する場面。
あそこは、カナタがカラビナを外した時点ですぐにロープを回収して誰か他のメンバーが救出に向かうか、或いは近くに寄ってきた二人をキャッチしてスラスターで戻ればよいだけでは?

推進エネルギーは宇宙空間から取り込むとか、リアリティを出すには重要な設定なのにそれ以上の説明がなかったり、20日分の食糧を加工保管する様子も一切描かれていません。
可食判定機とかいうアイテムも、ドラちゃんの秘密道具かと……。
そもそも、5000光年まで離れなくても、移住候補惑星、たくさんあるし……。

あ、でも、惑星イクリスだけは、実在するトラピスト1などをモデルにしたと思われる潮汐ロック状態(自転周期と公転周期が一致)の惑星で、生物の生存圏がトワイライトゾーンベルトのみという設定。
太陽が赤色矮星だったらさらにリアルでしたが、Nスペの宇宙特集とかが好きな私的には楽しめる惑星でした。

科学考証部分とは別ですが、犯人がメンバーの中にいるという事実を、どうしてあのタイミングで打ち明けたのかも疑問でした。
確たる証拠もないうちに推測だけで情報を共有しても、互いに疑心暗鬼になることは目に見えていましたし、実際にそうなりかけると、「危険なのは、お互いが疑い合って団結が崩れることだ」と自制を呼びかけるカナタ。

それなら最初から言わなきゃいいじゃん!
と、あの辺りはちょっと突っ込みながらの視聴になりましたね(ˊᗜˋ;)

ギャグの寒さに関しては……まあ、個人差があるのでノーコメント。
個人的には、5回に1回くらいはクスッとできましたよw{/netabare}

宇宙漂流ものという設定から「無限のリヴァイアス」「無人惑星サヴァイヴ」あたりと似ている感じがしましたが、メンバーの中に一人裏切り者がいる、という設定は「11人いる」や「六花の勇者」なんかとも近い雰囲気でした。

冒頭のカットからハードSFを連想してしまったせいもあり、中盤までは、SF作品というよりはジャンプらしい気合系主人公の空想アドベンチャー作品って感じで、ちょっと期待外れ感もありながら、まあ、観れなくもないかな?という程度の感想でした。

ただ、物語が大きく動き出したのは9話以降。
遭難メンバーが偶然集められたわけじゃなく、ある共通点に従って集められていたことが判明してからです。
その事自体は序盤から予想されていたことなんですが、どんな共通点なのか……というのが9話で判明してから、一気に怒涛の展開。

宇宙船の目的地に関する真相、人間の歴史の秘密、そして、裏切り者の正体など、風呂敷もどんどん広がり、複層的に真相が絡み合って物語が加速します。
ラスト四話は、次々と明かされていく驚くべき真相に釘付けになって観ていました。
いろいろ突っ込みどころも多いシナリオなんですが、終盤のテンポとスピード感はそれを補って余りある面白さがありました。

原作が完結作品だけに、序盤からきちんと計算されて張られていた伏線が回収されていく様子も、観ていてとても気持ちよかったです。
最終話を観終わってから一話を観直すと{netabare}最初のシーンのバックにある凍りついた星の正体とか{/netabare}、あそこからいくつものヒントや伏線が張られていたことに気づきます。

ラストは、ちょっと蛇足かな?と思うくらい、各メンバーのその後についてもじっくり描かれていて、お腹いっぱい!という感じもありましたが、鑑後の満足感は高かったです。

あまり細かいところは気にせずに、クローズドサークルで繰り広げられるヒューマンドラマ部分に焦点を絞れば、かなり楽しめる作品だと思いました。

投稿 : 2020/12/06
閲覧 : 558
サンキュー:

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