「無職転生 ~異世界行ったら本気だす(TVアニメ動画)」

総合得点
89.6
感想・評価
1042
棚に入れた
4322
ランキング
73
★★★★☆ 4.0 (1042)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:今観てる

人は一人では生きていけない

《原作について》
{netabare}
思えば今作の原作入門は2018年頃で、なろうweb投稿ではなくコミック第1巻からだった。
しかし主人公があまりに下品で不快だったので数巻で一度挫折。その後アニメ化発表を機に今度はコミックではなくラノベ書籍を読み始め、徐々に面白さが高まり2020年12月現在の既刊24巻中、23巻まで読了。

実はそこまで読んでも主人公ルディのことはあまり好きではない。弱虫だった彼の前世に同族嫌悪を感じる点。親や親族を蔑ろにするという因果応報の理から見て、来世の運と才能と縁に分不相応を感じる点。さらには正直、たった一度の生まれ変わりで百八十度の幸せな人生に大逆転するなんて、という妬みの感情もある。

ただ主人公も含め、場面毎に入れ替わり登場する様々なキャラクターたちは、一所懸命に努力絶やさぬ者たちであり誰一人欠いても物語が成り立たない。一部の例外はあれど全員が物語の主人公だとさえ思える。つまり個性豊かな愛すべきキャラの群像劇の魅力があり、時に浮き草のように揺れ動く人間模様が描かれ、立位置も敵かと思えば味方に、またその逆もありでなかなか目が離せない。そんな他の同系統の作品と一味違う魅力で、結果的には読み進むほどに物語に引き込まれていった。その点では原作者の、裏切りや誤解など人間の弱さ脆さも直視した、綺麗事だけでは済ませない人間ドラマの創作力は素晴らしい。清濁合わせの人間味溢れる、家族愛に溢れるルディの一生を軸とした大河ドラマと言ってもいい。
{/netabare}
《アニメについて》
{netabare}
アニメ本編は全23話予定(WikiよりBlu-ray発売時期参照)。分割2クール(公式Twitterより)で、おそらく2021年冬クールは第1話から第11話迄、同年夏クールに第12話から第23話。

本作が近年のTVアニメ作品の中でも出色の出来であることに異論はない。神作品認定する人も多いだろう。作品全体が高度なバランス感覚で調和しており、主人公の前世の生き様から滲み出る原作のえぐ味を巧く緩和できている。様々な要因あれど、特に岡本学監督の貢献もかなり大きいと思われる。

アニメダ・ヴィンチでのweb公開の岡本氏のインタビューによると、この原作は大河ドラマ的な作品と捉え、最初から最後までアニメ化することに意義を感じたそう。大河ドラマとは実に言い得て妙。そこは全くの同感だ。氏はシリーズ構成と脚本のメインライターとしても作品の要を担う。作品を管理調整する上で非常に有利であろう。その上での作り込みとなれば納得の現状だ。流れも丁寧で23話で原作のどこまで描くか予想も付きやすい。このままのレベルで今期突っ走って、これで終わらず何年掛かろうとも原作の結末まで辿り着いて欲しいものだ。

《作画》
劇場作品レベルと言っても過言でない。キャラクターデザイン、表情、動作、背景すべて高レベル。下手にアニメ的な萌えやギャグで受けを狙うこと無く、堅実かつ的確で好印象。目力のあるキャラクターで、仮に音声無くとも表情だけでも感情がダイレクトに伝わる良さがある。極大魔法やバトルの表現力は、音響と共に圧巻の出来で迫力が段違いだ。作画だけでも大河ドラマとして製作しているのがよくわかる。

《声優》
すべてのキャストが適材適所。中でも出色なのは杉田智和氏。氏のタレント性とキャラクター(ヲタク系の前世の男)の相性が抜群。杉田氏は、素のトークでも個性豊かでサービス精神旺盛。観察眼が鋭く物真似も得意、周りの声優仲間のニックネーム付けも巧みで有名。頭の回転も早いのでアドリブへの対応力が高い。そんな本作での氏の演技は、落ち着いたトーンが基本だが時折、氏ならではのアドリブっぽい瞬発演技があって楽しい。モノローグ担当であることであまり作画に左右されず遊べる余地も大きいのだろう。氏の長所はこれからもどう発揮されるか楽しみだ。
{/netabare}

投稿 : 2021/03/07
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サンキュー:

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