「映画 えんとつ町のプペル(アニメ映画)」

総合得点
64.8
感想・評価
26
棚に入れた
67
ランキング
2789
★★★★☆ 3.2 (26)
物語
3.1
作画
3.5
声優
3.1
音楽
3.3
キャラ
3.1

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

い・ち・ぷ・ぺ

何かと賛否の有るタイトル「えんとつ町のプペル」

何故こんなに“鼻につく”という意見があるのかも含めレビューという名の感想を書いていきたいのですが、まず世間で多い意見として作者とされるタレントの西野亮廣さんが個人の力だけで制作した絵本では無いというものが散見されます。本来、絵本やイラストへの評価は個人が描いたものを指すもので、複数のクリエイターが西野さんの案を元に制作した本作は邪道であるというもの。

複数の企業に出資してもらう“制作委員会方式”が近年だと主流になってきましたが、この方式とも違う「クラウドファンディングサービス」による金策や「オンラインサロン」という自身の支持者を募る、ファンクラブや、ともすれば宗教にも映るような活動にも批判は有るようです。

これらを踏まえた上でその批判に対して妥当だと思う部分と、そこに引っかかるのかと思う意見を自分なりに分類していこうかと思っています。

批判する人の意見として、大学での講演やYouTube、オンラインサロンでビジネスモデルや生き方を提唱する彼の言葉を聞いて感銘を受けた人達が映画の終わりに毎回スタンディングオベーションで拍手し、繰り返し映画を見ることを「私は◯プペ(単位)目~」などと言い足繁く映画館に通うファンの姿を見れば、そりゃあカルトじみていると感じるでしょう。

様々な活動をする西野亮廣に付加価値があるから起こるもので、有名ブランドのロゴがついた品質的にはそこまで高くならない鞄や、局と代理店に御輿を担がれスターへとのし上げられたタレントを有難がるような、傍から見て滑稽な現象そのものです。コ◯ンや鬼◯にも映画館へ何度も足を運ぶキャラクターの熱心なファンである「~の女」と自称・他称される方々がいますが、一緒にされたくないと同族嫌悪を起こすかもしれません。

西野さんは度々“ウォルト・ディズニーを超えたい”と言っています。ディズニーを超えるという目標を掲げた作者の作ったものが「ディズニーっぽい」と揶揄された皮肉に対して、むしろ私は純粋さゆえだと捉えていました。

以前に書いたダーリン・イン・ザ・フランキスのレビューで業界に憧憬を抱いたクリエイターの作ったものに既視感を覚えることについて、人の心を大きく動かす経験なんて短い人生の中で何度もあるものでなく、ましてや人生の半分を捧げる「仕事」にするまでの熱量なのですから、そりゃあアニメーション業界に憧れた人の作品は似通うだろうと書いたのですが、

これを当てはめると
「あぁ…ホントにディズニーを意識しているのだな」という一つの見え方があります。

世界最高峰のクリエイターはこいつだ!と定め、自分なりに傾向やビジネスモデルを研究し大まじめに良さを取り入れたものを作る。ある種のピュアさとバカバカしさに少し引きながらも、タレントの影響力でもって最速の実現が出来る金策と、本来であれば数を打ち出せない絵本制作にスタッフを募り時間と労力を短縮しクオリティを上げ、何度も足を運ばせるほどのブランド力を自分が生きている間に実現するのはお見事としか言いようがありません。

ウォルト・ディズニーという個のクリエイターではなく、ディズニー社がここまで培った功績をもってして「世界のディズニー」と称される巨大な壁に対し、挑んでいるように見せかけて大リスペクトをもって模倣する。まさに詐欺師…いや、優秀なビジネスマンであると言えます

クリエイターとしての格や挟持を疑問視する声も聞き及びます。芸術性と、脳内に有る構想を形にするための実現力、コンテンツ力のバランスは常に話題に上がるものでしょう。

ウォルト・ディズニーが存命の時代に彼の手も含め作られた作品群を見て下さい。とても実験的で革新的ではあるものの完成度はあまり高くないものが見られます。

ディズニー社が記念すべき第一作目のキャラクターである「オズワルド」の権利を契約先にほとんど持って行かれた話は有名ですが、だからこそ生まれたのがキャラクター戦略やブランド力を高め多角化させたビジネスモデルでした。東洋のディズニーと呼ばれる「ポケットモンスター」の成功例や、先ほど触れた探偵に鬼殺隊、もうすぐ完結編が公開されるエヴァンゲリオン、ネット発の初音ミクやVtuberなど例を挙げればキリがないですが、日本でも様々なケースやブームによってキャラクター産業は展開をしています。

ウォルト・ディズニーや彼らが作ったもので最大の功績は、キャラクター戦略や多角的な戦略により自社で完結させる金策をして最高峰のクリエイターをかき集めることで作品のクオリティを上げていく、先に挙げた複数の他企業から出資してもらう“製作委員会方式”とは真逆のシステムでした。


最後に総括すると、
否定的な意見を言う方々に何の異論もありませんし薄気味悪いと感じるのも正常な反応です。

私は自主制作や世界のコンペディションに提出されるアートアニメーションまで追いかけるようなアニメ好きですので、クリエイターの肩を持ち過ぎなのだと自覚はしています。そして、集金能力のない、才能やクリエイター気質にこだわって一部のコアなファンにだけ密かに支持される作家やタイトルが有る事も知っています。

多くの人が思うほど、クリエイティブな世界に夢や希望は溢れてはいないかもしれません
だからこそ存在する、携わる人々のリアルや熱量、そして野望があります。

最大公約数を狙ったような映画にあまり感動はしませんでしたが、面白い事をするクリエイターが出てきたのだと興味深い気持ちはありました。西野さんの次回作やこれからがどうなるかは全くの未知数ですが、Netflixなどの集金方や制作形式、本作のような形、もしくは全く新しい方法で日の目を見る才能や作品が増えることを期待しながら、これからも成り行きを見守りたいと思っています。

投稿 : 2021/02/09
閲覧 : 290
サンキュー:

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